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●鬼神楽● 【〜楽業の章・第4話〜】 | |
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この色…東風 この色…鬼火 この色…武士・女中・ガヤ(注:ガヤ・全員部分は、ファイル名 セリフ番号_お名前 ) | |
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【ガヤ:一本のファイルに、最低でも三パターンほど入れて下さい。 その際には、それぞれの間を2秒ほど空けてくださると助かります】 ※万一使用セリフに不安がある場合には、よろしければ、こちらから指定させていただきます。 | |
| セリフ番号 | |
| (睦月を東風の里に連れ帰ってから割りとすぐの出来事。羽霧が死んですぐあとくらい) | |
| 01_真木 | 「―――鬼火一族の一人を捕らえたのですって?」 |
| 02_碧 | 「うん。アタシたち東風一族がこの前まで使ってた 丘の向こうのあの里で、 左京が一人仕留めて、もう一人を白銀が連れて帰ってきたんだ」 |
| 03_八重 | 「人質に、だって」 |
| 04_真木 | 「わざわざそんな事を…? 役に立つのかしら」 |
| 05_春日 | 「良くわかんないけどさあ。でもあれを使っておびき寄せれば、 馬鹿みたいに仲間思いの連中らしいって言う話だし、少しはひっかかるんじゃない?」 |
| 06_碧 | 「円や浅葱なんかは、それを狙ってるみたいだけど。真木はどう思う?」 |
| 07_真木 | 「わたくしは何とも。そもそも人質を取るだなんて方法、好きではありませんわね」 |
| 08_碧 | 「だよね…アタシもなんかヤだな」 |
| 09_真木 | 「―――卓麻、何処へ行くんですの?」 |
| 10_卓麻 | 「その鬼火とやら、どんなヤツか興味ある」 |
| 11_八重 | 「あのねえ、女の子なんだよ!」 |
| 12_卓麻 | 「女ぁ?」 |
| 13_碧 | 「まだ子どもらしいけど」 |
| 14_卓麻 | 「ふうん。強いのか?」 |
| 15_碧 | 「さぁ…どうなんだろ。白銀は何も言ってなかったよね、春日」 |
| 16_春日 | 「うん」 |
| 17_真木 | 「行って、ご自分でお確かめになったら?」 |
| 18_卓麻 | 「ま、アイツに捕らえられるようじゃ、期待は出来そうもねえか」 |
| 19_真木 | 「本当に、卓麻はいつも「強いか否か」。こればかりですのね」 |
| 20_卓麻 | 「うるせえな、殺すぞ」 |
| 21_真木 | 「ふふ…。今、有能な駒を減らすのは、得策とは言えませんわよ、卓麻」 |
| 22_卓麻 | 「…」 |
| 23_真木 | 「お気に障ったのでしたらいつでも殺して下さって結構。 でも、今だけはお勧め出来ませんわね」 |
| 24_碧 | 「ま、真木…」 |
| 25_真木 | 「さ、早くお行きなさいな、卓麻。近衛に報告もなさるのでしょう?」 |
| 26_卓麻 | 「―――ああ」 |
| (卓麻出て行く) | |
| 27_真木 | 「(その後姿を見送って)…やっぱり、本気だと気づいてないようですわよね」 |
| 28_碧 | 「真木…やっぱり本気だったんだ…」 |
| 29_真木 | 「おーほほほ! 戦で討ち死にも結構ですけれど、 そういう死に方もありかしら、と思っただけですわ!」 |
| 30_八重 | 「…難しい話だね、春日」 |
| 31_春日 | 「…それが乙女心ってヤツなんだろ」 |
| (モノローグ) | |
| 32_亜夏刃 | 「―――特に、強く何かを望んだ事はなかったかもしれない。 当たり前の日常を過ごしていられれば、それで良かったからだろう。 いつもと同じ顔ぶれに囲まれて、任務で戦い、里で安らぐ。 単調にさえ見える、ただその繰り返しだけだったとしても、 その、当たり前さが大切だった。 …口に出して言う事は無いが、自分にとって、 当たり前の事が、何よりも失くしたくはない物だった。 …特に、強く何かを望んだ事はなかったかもしれない。 ―――今まで、今、この瞬間までは」 |
| (卓麻、入ってくる) | |
| 33_卓麻 | 「随分回りくどい事するんだな、近衛」 |
| 34_近衛 | 「戻ったか卓麻。守備はどうだ」 |
| 35_卓麻 | 「まあまあってとこだ」 |
| 36_近衛 | 「主の屋敷の方はどんな様子だ」 |
| 37_卓麻 | 「これが屋敷の見取り図だ(巻いた紙を放る)」 |
| 38_近衛 | 「(受け取って広げる)…ふむ。想像以上だ。かなりの広さだな」 |
| 39_卓麻 | 「馬鹿みたいに武士共が群がってるが…役に立つんだか捨て駒なんだか」 |
| 40_左京 | 「いくら数だけがあっても無駄な気がするがな」 |
| 41_卓麻 | 「同感だぜ、左京。で、人質だって?」 |
| 42_左京 | 「ああ。一人は殺したが、子どもの方をな」 |
| 43_近衛 | 「白銀が連れて来た。今、円と浅葱が立ち会っている所だ」 |
| (タイトルコール) | |
| 44_亜夏刃 | 「『鬼神楽』最終章 〜楽業の章〜 第四話」 |
| (そのころ、その里では。羽霧を簡単に埋葬した4人) | |
| 45_彩登 | 「(心配そうに見上げる)…珠菜ぁ…」 |
| 46_珠菜 | 「彩登、…大丈夫。…わたくしは、大丈夫よ」 |
| 47_彩登 | 「珠菜…」 |
| 48_千波流 | 「とにかく、…出来るだけみんなと合流した方が良いかもしれん」 |
| 49_亜夏刃 | 「自分も千波流に同感だ。このままバラバラに行動するのは―――」 |
| 50_千波流 | 「(頷いて)睦月たちの行方を追う手がかりが何も無い以上――― 闇雲に探し回るのは危険すぎる」 |
| 51_亜夏刃 | 「(頷く)主の屋敷へ戻ろう。比奈伎と佐久弥、寿々加、各務が残っているんだろう?」 |
| 52_千波流 | 「ああ」 |
| 53_珠菜 | 「では、決まり。ですわね」 |
| 54_千波流 | 「ああ。…みな、無事でいてくれると良いが―――」 |
| (東風の里にて。人質とした睦月を囲む、円・浅葱・白銀。睦月、震えながらも気丈に耐えている) | |
| 55_円 | 「―――名は?」 |
| 56_睦月 | 「…アタシは睦月です。鬼火の睦月」 |
| 57_浅葱 | 「鬼火…。こんなに早く本物に出会えるとは思っていませんでしたね」 |
| 58_円 | 「本当だな。鬼火一族の構成は、どうなっている?」 |
| 59_睦月 | 「……」 |
| 60_浅葱 | 「…大人しく、質問に答えてくれませんか?」 |
| 61_睦月 | 「ねえ…羽霧をどうしたの!?」 |
| 62_円 | 「はぎり?」 |
| 63_浅葱 | 「白銀、心当たりは?」 |
| 64_白銀 | 「ああ…あの女か。左京にやられて、あれで生きてるとは思わないけど?」 |
| 65_睦月 | 「ひどい…!! 羽霧をかえして!! かえしてよぉ!!」 |
| 66_白銀 | 「(溜息)キャンキャンうるさいなぁ…」 |
| 67_円 | 「おい、白銀やめないか」 |
| 68_白銀 | 「(円にかぶせて)あのさぁ(ぐいっと睦月の頭をつかむ)」 |
| 69_睦月 | 「!(びくっ)」 |
| 70_白銀 | 「アンタたち鬼火一族だって、主の命令で散々戦に出てるんだろ? 山ほど相手を殺してるんだろ?」 |
| 71_睦月 | 「そ、それは…っ」 |
| 72_白銀 | 「自分の仲間だけは死なないなんて、そんな夢みたいな事信じてたわけ?」 |
| 73_睦月 | 「…っ!」 |
| 74_白銀 | 「随分、都合が良いよね(手を離す)」 |
| 75_睦月 | 「(息を整える)……あ、アタシをどうするつもりですか」 |
| 76_白銀 | 「アンタは餌だよ。鬼火の連中を釣る、ね」 |
| 77_睦月 | 「餌―――」 |
| 78_円 | 「白銀! 言い方が悪いぞ」 |
| 79_白銀 | 「言葉を飾ったってしょうがないだろ、円。本当の事だ」 |
| 80_睦月 | 「(ぼそ)足手纏いになんか、絶対ならないんだから―――」 |
| 81_浅葱 | 「? 今、何て」 |
| 82_卓麻 | 「(少し遠くから)―――オイ! そいつを止めろ!!」 |
| 83_円 | 「え?」 |
| 84_睦月 | 「(素早く小刀を出して、喉をつく)…っ」 |
| 85_浅葱 | 「!!」 |
| (睦月の脳裏に、別れ際のみんなの顔が浮かぶ) | |
| 86_千波流 | 「(E)睦月、今回は特に重要な役どころだ。羽霧と二人で、しっかり頼むぞ」 |
| 87_瀬比呂 | 「(E)睦月、気をつけてね。僕らも頑張るからね!」 |
| 88_彩登 | 「(E)それじゃ、後で会おうね、睦月!」 |
| 89_羽霧 | 「(E)睦月、逃げろ―――!」 |
| 90_睦月 | 「はぎり、……っ、み、んな、…ごめ、…な、さ―――(倒れる)」 |
| 91_朱音 | 「(E・微笑んで)すごいな、睦月は。私の刀は、お前に研いでもらうのが一番だ」 |
| 92_睦月 | 「(E)朱音さま…アタシの研いだお刀、今も、持っていてくれていますか…?」 |
| 93_睦月 | 「(E)アタシは…、力でも、戦の技でも、お役に立てなかったけど…… アタシの作った武器が、みんなを、朱音さまを、守って、くれます…ように―――」 |
| (睦月の小さな手から力が消える) | |
| 94_浅葱 | 「…しまった…っ」 |
| 95_円 | 「クソッ、仕込み刀か! やられた!」 |
| 96_浅葱 | 「卓麻、どうですか」 |
| 97_卓麻 | 「―――ダメだな。完全に死んでる」 |
| 98_円 | 「…(溜息)しくじったな」 |
| 99_卓麻 | 「(溜息)」 |
| 100_白銀 | 「…なんだよ、卓麻」 |
| 101_卓麻 | 「お前の落ち度だな」 |
| 102_白銀 | 「ハ!? 何でボクの!」 |
| 103_卓麻 | 「ここまで連れてきたのはお前なんだろうが。仕込み武器に気づかなかったのは、 落ち度とは言わねえのかよ?」 |
| 104_白銀 | 「…!」 |
| 105_近衛 | 「…敵ながら見事というべきか」 |
| 106_浅葱 | 「子どもで、女だと思って油断しましたかね」 |
| 107_円 | 「近衛。とりあえず、生きているという事でしばらくは誤魔化しますか」 |
| 108_近衛 | 「仕方がない、それでいこう―――どうした、浅葱」 |
| 109_浅葱 | 「…いえ。嫌なものですね、こんな…少女を」 |
| 110_近衛 | 「そうだな。だが、それが戦というものだ」 |
| 111_円 | 「相変わらず、女子どもには、甘い顔を見せるんだな、浅葱」 |
| 112_浅葱 | 「円。弱者であれば、それは決して敵にはなりえないからですよ」 |
| (突然喧嘩を始めている二人…) | |
| 113_白銀 | 「―――ふざけるな!!」 |
| 114_卓麻 | 「フン、悔しかったら一度でも俺を殺してみせろよ」 |
| 115_白銀 | 「…へえ? 殺していいんだ。ふぅん」 |
| 116_卓麻 | 「(壮絶な微笑み)……やれるンならな」 |
| 117_白銀 | 「やってやろうじゃないか。後悔しても知らないよ―――近衛! 聞いたな!」 |
| 118_円 | 「白銀! 何を勝手な事を―――」 |
| 119_近衛 | 「全く…仕方ないな、お前たちは。好きにするがいい」 |
| 120_円 | 「近衛! こんな時に何を言ってるんです!」 |
| 121_近衛 | 「だが、止めた所で抑えられる状態ではないからな。 一度思い切りやらせた方が、かえって良いかも知れんぞ」 |
| 122_円 | 「そんな、呑気な事を言っているような状況ではないはずでしょう」 |
| 123_近衛 | 「大丈夫だ。いざとなれば、私が止める」 |
| 124_円 | 「近衛…」 |
| (白銀、刀を抜く) | |
| 125_白銀 | 「(刀を構える)獲物はどうする気? まさか丸腰で僕とやり合おうってわけじゃないだろ」 |
| 126_卓麻 | 「……―――やめた。お前ごときに、武器を振るうのも面倒臭い」 |
| 127_白銀 | 「!! お前―――!」 |
| 128_卓麻 | 「くだらねえ。わざわざこんな事に付き合う義理はねぇな」 |
| 129_白銀 | 「卓麻ァ!! お前が言い出したんだろうっ!」 |
| 130_卓麻 | 「なんとでも好きに言えよ」 |
| 131_白銀 | 「じゃあ、やるんだな」 |
| 132_卓麻 | 「(じいっと白銀を見る)―――お前こそ。 わざわざ、近衛の許可無くして、動けねえのかよ?」 |
| 133_白銀 | 「…っそんなわけないだろ!」 |
| 134_卓麻 | 「フン、口では何とでも言えるよなァ」 |
| 135_白銀 | 「近衛は一応一族の頭だから、使える駒が減る事を知っておくべきだろ!」 |
| 136_卓麻 | 「は、ご丁寧な事で。ついでに、墓石も主にねだってもらったらどうだ? お前のな」 |
| 137_白銀 | 「―――ッ!!」 |
| 138_円 | 「もういい加減にしないか、二人とも。 今後、お前たち二人で組んでもらおうと思っているのに…」 |
| 139_白銀 | 「ハァ!? 僕が卓麻と!?」 |
| 140_円 | 「卓麻! 何処に行く気だ。単独行動は控えろ、計画通り白銀と組んで動け」 |
| 141_卓麻 | 「断る」 |
| 142_円 | 「卓麻!」 |
| 143_卓麻 | 「つるまなきゃ、俺には仕事が出来ないとでも?」 |
| 144_円 | 「そういうわけじゃない、 今回は 一人でやるよりも数名で組んだ方が確実だ、と言ってるんだ」 |
| 145_卓麻 | 「円。足手纏いなら居ない方がマシだぜ」 |
| 146_円 | 「卓麻!」 |
| 147_近衛 | 「では、左京と組んでくれ。それならどうだ?」 |
| 148_卓麻 | 「ふぅん……。分かった。それなら異存はない(さっさと出て行く)」 |
| 149_白銀 | 「―――!! な…っ」 |
| 150_近衛 | 「(白銀の激昂を遮るように)白銀。私の顔を立てて、今はそれに従ってくれ」 |
| 151_白銀 | 「近衛…っ! 僕の技量が左京に劣るって言うのか!?」 |
| 152_卓麻 | 「(ゆっくり振り向き)お前と左京とは違う」 |
| 153_白銀 | 「!」 |
| (出て行く左京と卓麻) | |
| 154_碧 | 「な、何? ちょっとどうしたの、何かあったの? 左京と卓麻、出て行っちゃったけど」 |
| 155_真木 | 「それに、随分と騒がしいですわよね」 |
| 156_浅葱 | 「碧、真木。…ええ、まぁ…いつもの事なんですけど」 |
| 157_円 | 「白銀! 何処へ行く気だ!」 |
| 158_白銀 | 「うるさいっ!! 誰かと組む必要なんてない、僕は一人でもやれる!」 |
| 159_近衛 | 「白銀。一人で何処へ向かう?」 |
| 160_白銀 | 「…主の屋敷だよ。何人か殺してくる」 |
| 161_春日 | 「白銀! ま、待ってよ!」 |
| 162_白銀 | 「春日。ついて来たら、―――殺す」 |
| 163_春日 | 「…!」 |
| 164_白銀 | 「(出て行く)」 |
| 165_春日 | 「白銀…っ!!」 |
| 166_芳 | 「騒がしいな、何事だい?」 |
| 167_春日 | 「芳…っ、白銀を止めてよ!」 |
| 168_芳 | 「アタシが白銀を? そりゃやるだけ時間の無駄ってもんだよ、諦めな、春日」 |
| 169_真木 | 「そうですわよ春日。あまりにも、いつもの事すぎますわ」 |
| 170_浅葱 | 「……図らずも、これで予定通りですね、円」 |
| 171_円 | 「…(少しだけ疲れたように息をつく)、そう、だな―――」 |
| (外を移動しながら) | |
| 172_左京 | 「…卓麻。分かっていて言っているのか? 情けなら無用だぞ」 |
| 173_卓麻 | 「ハン? …ああ、お前の病の事か」 |
| 174_左京 | 「長くないとお前も分かってるんだろう」 |
| 175_卓麻 | 「ンな事は不安材料にはならねえよ」 |
| 176_左京 | 「何? どういうことだ」 |
| 177_卓麻 | 「もしお前が俺の足を引っ張れば、その時は俺がお前を殺すからな」 |
| 178_左京 | 「……」 |
| 179_卓麻 | 「最初から一人だったと思えば、同じ事だろ」 |
| 180_左京 | 「…なるほどな。それは確かに、その通りだ」 |
| (倒れている睦月の身体を前にして) | |
| 181_碧 | 「…ねえ浅葱。その子、死んでるの?」 |
| 182_浅葱 | 「ええ」 |
| 183_円 | 「喉を一突きだ。この潔さ、まるで、絵に描いた武士のようだな」 |
| 184_真木 | 「鬼火のかたは、育ちがよろしいのかもしれませんわよ」 |
| 185_近衛 | 「そうかもしれん。―――敵の手中にあって己の一族を守るため果てる、か。 どうも、ただの烏合の衆では無さそうだな」 |
| 186_円 | 「そうですね。…頭領の人格が伺えるようです」 |
| 187_近衛 | 「ああ。是非とも、会ってみたいものだ」 |
| 188_浅葱 | 「そういえば、当面、ここに、その鬼火の頭領を預かっている事としろ…とは、 随分変わった指示だと思いますが…これはいつまで有効なんでしょうか」 |
| 189_近衛 | 「さてな。主のお考えは、我々の考えの及ばぬ所にある―――」 |
| (会話にかぶせて) | |
| 190_芳 | 「ふぅ…手足もこんなに細くて、ほんの子どもなのにな。 たいしたものだ。碧と同じくらいじゃないのか」 |
| 191_春日 | 「潔いのは格好良いのかもしれないけどさあ」 |
| 192_八重 | 「でも、死んじゃったらそれまでじゃん。ね、春日」 |
| 193_碧 | 「それで芳、どうするの、これ」 |
| 194_茶々 | 「…このままと言うわけには、さすがに、いかないと思うけれど…」 |
| 195_春日 | 「茶々。静の面倒見てたんじゃないのかよ」 |
| 196_茶々 | 「見ていたわよ、…いえ、見ているわ」 |
| 197_春日 | 「え?」 | 198_静 | 「…死んじゃったの? その女の子…」 |
| 199_芳 | 「静! お前、下に居たんじゃなかったのかい」 |
| 200_巴 | 「どうしても、みんなの居る所に行くんだと言ってきかないのよ。 うるさいから、連れて来たわ」 |
| 201_静 | 「ねえ、巴…この女の子、死んでるの?」 |
| 202_巴 | 「…そうみたいね」 |
| 203_静 | 「どうして、死んじゃったの?」 |
| 204_円 | 「それは、…」 |
| 205_真木 | 「今更ですわよ、円。隠したからって真実が消え失せるわけではありませんわ」 |
| 206_円 | 「真木」 |
| 207_真木 | 「それに、この少女の死だけが、特別なわけではありませんわよ」 |
| 208_碧 | 「アタシたちだって、いつこうなってもおかしくないって事でしょ」 |
| 209_浅葱 | 「(頷く)碧の言う通りですね」 |
| 210_近衛 | 「ああ、そうだ。それは」 |
| 211_静 | 「…それ、は?」 |
| 212_近衛 | 「―――今が、戦乱の世だからだ」 |
| (主の屋敷で合流した寿々加・比奈伎・佐久弥組、その後) | |
| 213_寿々加 | 「―――比ィー奈」 |
| 214_比奈伎 | 「なんだ」 |
| 215_寿々加 | 「お前、朱音の行方知れずの話聞いてからずっとヤバイ顔してるな。 眉間にしわが寄りまくってるぞ」 |
| 216_比奈伎 | 「はあ? ッ、触るなっ!」 |
| 217_寿々加 | 「悪い方悪い方にばっか考えるんじゃねえぞ?」 |
| 218_比奈伎 | 「余計なお世話だ」 |
| 219_寿々加 | 「何を考えてる?」 |
| 220_比奈伎 | 「関係ない」 |
| 221_寿々加 | 「………はぁ…」 |
| 222_比奈伎 | 「……何だよ」 |
| 223_寿々加 | 「もちっとだけで良いからさ、素直になれよなあ」 |
| 224_比奈伎 | 「そんな必要ない」 |
| 225_寿々加 | 「会合ではあれだけ口も聞くし、理路整然と 理屈を捏ね回してる割には、日常では、ほんっと言葉が不自由だよなあ」 |
| 226_比奈伎 | 「う、うるさいっ」 |
| 227_寿々加 | 「はははー、年中以下がいなくなると途端にこれだよな、うちの副頭領は」 |
| 228_比奈伎 | 「寿々!」 |
| 229_佐久弥 | 「―――(様子見から戻ってきて・苦笑)寿々、比奈。 あんまり大きな声を出してると、敵に殺到されるよ?」 |
| (一人でイライラしながら主の屋敷に入った白銀) | |
| 230_近衛 | 「(E)では、左京と組んでくれ」 |
| 231_卓麻 | 「(E)それなら異存はない」 |
| 232_白銀 | 「(M)全く…! 何様だよ卓麻のヤツ―――! ちょっとくらい強いからってさ。―――左京とは仕合うくせに」 |
| 233_卓麻 | 「(E)お前と左京とは違う」 |
| 234_白銀 | 「(M)お前・お前って―――人を物みたいに―――、(ハッ)! 気配だ。 あれは…鬼の面! (T・にや)…1人目、見ぃつけた」 |
| (そのころ、反対側では) | |
| 235_寿々加 | 「しっかし…なんでこう、複雑な造りになってるんだこの屋敷は!」 |
| 236_佐久弥 | 「声が大きいよ、寿々加」 |
| 237_寿々加 | 「(気持ち声を抑えて)他の大名とかの屋敷も、こんなんだったか?」 |
| 238_比奈伎 | 「いや…少なくともこんなに複雑ではなかったはずだ」 |
| 239_寿々加 | 「だよなぁ…。佐久弥、その、謁見の間とやらは、どの辺りなんだ?」 |
| 240_佐久弥 | 「もう少し、先だよ。あの角を曲がって、突き当りを右へ」 |
| (警戒しつつ、進んで行く三人) | |
| 241_比奈伎 | 「寿々加。他のみなはどうしている」 |
| 242_寿々加 | 「横槍と、先発隊は、そろそろここに居るんじゃねえか? ほかは、里に戻ってるはずだ」 |
| 243_佐久弥 | 「うん」 |
| 244_寿々加 | 「こっちには、各務も追ってきてるはずだ。もうすぐ合流するだろ」 |
| (その反対側に、追ってきていた各務) | |
| 245_各務 | 「(殺気を感じ)!(ばっと振り向く)」 |
| 246_白銀 | 「―――あれ? アンタ、もしかしてあのときの」 |
| 247_各務 | 「…! その白い狐の面…お前は」 |
| (回想シーン{神立風第二話・2の84〜/楽業第一話 〜参照}) | |
| 248_白銀 | 「―――鬼火と呼ばれる者は、護りが得手と聞いた。出直すよ」 |
| 249_各務 | 「駄目だ―――完全に消えた。追えぬな―――」 |
| (回想シーン終わり) | |
| 250_白銀 | 「ふーん…まーた一人でウロウロしてるわけ。 よっぽど自分の力に自信があるのか…それとも、よっぽどの、 ―――愚か者なのか!(攻撃!)」 |
| 251_各務 | 「くうっ!!」 |
| 252_白銀 | 「ちょうど、むしゃくしゃしてた所だったんだよね…アンタ、運が悪いな」 |
| 253_各務 | 「―――っ」 |
| 254_白銀 | 「限界まで粘ってよね? そうでないと、つまんないじゃん」 |
| 255_各務 | 「何?」 |
| 256_白銀 | 「少しでも、僕の憂さ晴らしになってくれなきゃ、困るんだよ」 |
| 257_各務 | 「勝手な…事を!(刃を弾く)」 |
| 258_白銀 | 「(もちろんそれを簡単に受け流して)さっきの変な仕込み武器、 あれは嫌な感じだったから…まずは、それ!」 |
| 259_各務 | 「くっ!!(仕込んでいた睦月の装置を壊される)しまった…っ」 |
| 260_白銀 | 「(…とん)ヘェ…すごい仕掛けだよね、これ。 あれ…どっかで、同じようなものを見たなァ…」 |
| 261_各務 | 「……なに…っ」 |
| 262_白銀 | 「あぁ、そうだ。思い出した! 里で捕まえた子どもが持ってたんだっけ。 使えそうだからって、八重がもらってたな」 |
| 263_各務 | 「まさか…睦月!?」 |
| 264_白銀 | 「ああ、そうそう、確か、そんな名前」 |
| 265_各務 | 「睦月を…どうしたっ!!」 |
| 266_白銀 | 「死んじゃったよ?」 |
| 267_各務 | 「!?」 |
| 268_白銀 | 「言っておくけど、僕が殺したわけじゃない。勝手に死んだんだよ」 |
| 269_各務 | 「そんな…睦月、が…!」 |
| 270_白銀 | 「里では、ほかに一人殺ったばっかり! はぎり、とかいう、生意気そうな女」 |
| 271_各務 | 「何っ、…羽霧までも…」 |
| 272_白銀 | 「大丈夫だよ」 |
| 273_各務 | 「なに…?」 |
| 274_白銀 | 「どうせアンタも、すぐ追う事になるんだから」 |
| 275_各務 | 「おのれ…っ」 |
| 276_白銀 | 「ははは! 恨むなら、自分の力不足を恨むんだね!!」 |
| (そのころ、反対側では) | |
| 277_比奈伎 | 「…っ」 |
| 278_佐久弥 | 「比奈伎」 |
| 279_比奈伎 | 「…悪い、大丈夫だ」 |
| 280_寿々加 | 「どうした?」 |
| 281_比奈伎 | 「…何でもない」 |
| 282_佐久弥 | 「少し、休む?」 |
| 283_比奈伎 | 「そんな事を言える状況じゃないだろう」 |
| 284_寿々加 | 「なんだぁ? 酷い顔色だなお前」 |
| 285_比奈伎 | 「何でもないと言ってる」 |
| 286_佐久弥 | 「…」 |
| 287_寿々加 | 「(ぼりぼりと頭をかいて)あのなぁ。言っておくが」 |
| 288_比奈伎 | 「…何だ」 |
| 289_寿々加 | 「頭領が居ない今、確かに副頭領のお前があとを継いで動くのは必然かもしれない。 けど、別にお前一人で何もかも背負えってわけじゃねえ。 お前が一人で何でもやれちまったら、俺や佐久弥は何のためにここに居るんだよ」 |
| 290_佐久弥 | 「…」 |
| 291_寿々加 | 「朱音だって、決して一人で総て背負おうとはしなかっただろ」 |
| 292_比奈伎 | 「…っ」 |
| 293_寿々加 | 「力不足結構! それが何だっていうんだ? 足りない分は誰かが補えばいい。そのための仲間だろ」 |
| 294_比奈伎 | 「―――……」 |
| 295_寿々加 | 「―――バーカ。ンな事くらいで、泣くな」 |
| 296_比奈伎 | 「な、泣いてない…っ」 |
| 297_寿々加 | 「ははっそーかそーか。じゃ、俺は先を見てくる。佐久弥、任せた」 |
| 298_佐久弥 | 「ん」 |
| (片手を振りつつすいっと去る寿々加) | |
| 299_比奈伎 | 「(その背中を見送って)寿々加…っ 勝手な、事を…」 |
| 300_佐久弥 | 「私も同意見だよ、比奈伎」 |
| 301_比奈伎 | 「ぅ」 |
| 302_佐久弥 | 「一人でいこうとしないで」 |
| 303_比奈伎 | 「…」 |
| 304_佐久弥 | 「寿々加の言う通り、みんながいる。…もちろん、朱音も、だよ」 |
| 305_比奈伎 | 「…佐久弥」 |
| 306_佐久弥 | 「比奈伎は、独りじゃないんだよ」 |
| 307_比奈伎 | 「……」 |
| 308_佐久弥 | 「…ね」 |
| 309_比奈伎 | 「………ん(頷く)」 |
| 310_佐久弥 | 「…比奈」 |
| 311_比奈伎 | 「もう、…大丈夫だ」 |
| 312_佐久弥 | 「…ん」 |
| 313_寿々加 | 「(ちょっと遠くから)―――オイ! 何だか変な部屋を見つけたぞ!」 |
| (SE:武器と武器が激しく交差する) | |
| 314_各務 | 「しまった…っ」 |
| 315_白銀 | 「遅い! ―――とった!」 |
| 316_各務 | 「!!」 |
| (ついさっきまで羽霧と睦月がいた、パネルのある部屋に入った三人。やはり画面が映し出されている) | |
| 317_寿々加 | 「佐久弥。これが何だか分かるか?」 |
| 318_佐久弥 | 「こんなものは…私も初めて見るね」 |
| 319_比奈伎 | 「…何なんだ、これは…」 |
| 320_佐久弥 | 「―――寿々加、比奈伎、ここを見て」 |
| 321_寿々加 | 「えっ…な、なんだこれ!?」 |
| 322_比奈伎 | 「……朱音!?」 |
| 323_寿々加 | 「お頭だ! お頭っ!! …聞こえてねえのか!? なんなんだ、これはっ」 |
| 324_比奈伎 | 「この里…鬼火の里に見えるが…何となく、違和感があるな」 |
| 325_佐久弥 | 「うん。とても良く似ているけれど…そっくりだけど、違うね―――何処なんだろう」 |
| 326_寿々加 | 「そうだな……って、冷静に話してる場合か! これ…絵みたいに見えるが、動く絵なんてあるのかよ」 |
| 327_佐久弥 | 「…おそらくこれは、絵ではないよ。…今、起こっている出来事なんじゃないかな」 |
| 328_比奈伎 | 「何故そう思う、佐久弥」 |
| 329_佐久弥 | 「一番下の、左側のを見て。―――私たちだ」 |
| 330_寿々加 | 「…!!! う、動いてる…おんなじように」 |
| 331_佐久弥 | 「どういう事かは分からないけれど、これは…今起きている事を、 見る事が出来るんだと…(はっとして)右上の!」 |
| 332_比奈伎 | 「―――あれは!」 |
| 333_寿々加 | 「…各務っ!!!」 |
| (刺された各務、辛うじて倒れず、ただ立ち尽くしている。足元には夥しい血が) | |
| 334_各務 | 「……っ」 |
| 335_朱音 | 「(E)各務」 |
| 336_各務 | 「―――ああ…我は…」 |
| 337_朱音 | 「(E)各務―――私がいなくなったあとは、一族を…みなを頼む―――」 |
| 338_各務 | 「(M)―――お頭!!!―――(腕を伸ばす)」 |
| (屋敷を取り囲むように物々しく警備を続ける武士たち) | |
| 339_武士:ガヤ | ※(戦ガヤ5〜10秒になるくらい)「もたもたするな」 「持ち場に着け!」「準備は出来たのか!?」「今しばらくのお待ちを」など |
| 340_武士:1 | 「一の郭、固めました!」 |
| 341_武士:2 | 「二の郭、同じく厳重に固めました」 |
| 342_武士:4 | 「三の郭、四の郭は、現在陣を組んでいる所です」 |
| 343_大将 | 「急げよ。あまり猶予はないぞ」 |
| 344_武士:4 | 「は!」 |
| 345_武士:7 | 「(少し遠くから)本陣、整いましてございます!」 |
| 346_武士:6 | 「(少し遠くから)こちらも、抜かりなく整いましてございます!」 |
| 347_大将 | 「よし!」 |
| 348_武士:5 | 「殿を本陣にお呼びいたしますか」 |
| 349_大将 | 「いや。殿は、屋敷にて我らの働きを見ておられる」 |
| 350_武士:5 | 「ははっ」 |
| 351_大将 | 「みな、存分に戦おうぞ!」 |
| 352_武士:全員 | ※「はっ」 |
| 353_大将 | 「東風も鬼火も関係はない。―――総て、討つべし!」 |
| 354_武士:全員 | ※「はっ!!」 |
| 355_大将 | 「鬼火・東風、共に討つべし!!」 |
| 356_武士:全員 | ※「討つべし!!」 |
| 357_武士:全員 | ※「えい、えい、おー!」 |
| 358_武士:全員 | ※「えい、えい、おー!!」 |
| 【続く】 | |