●鬼神楽● 【―とある日の出来事―】 | ||
キャラ | :番号 | |
(2005年6月20日作成) | ||
各務 | :01 | 「…騒がしいようだねえ、佐久弥。何事だえ?」 |
佐久弥 | :02 | 「ああ、各務。それが…」 |
(所 変わって) | ||
比奈伎 | :03 | 「…行方不明?」 |
各務 | :04 | 「そうなんだよ、比奈伎」 |
比奈伎 | :05 | 「行方不明って…誰がだ?」 |
佐久弥 | :06 | 「…それが」 |
(さらに所 変わって。捜しに出た三人) | ||
比奈伎 | :07 | 「…どうして、朱音の留守中に限って、こういう事が起こるんだ」 |
佐久弥 | :08 | 「狙ってるのかもしれないね」 |
各務 | :09 | 「誰かが、故意に、かえ?」 |
佐久弥 | :10 | 「そうだよ。それこそ、それが運命と呼ばれるもの…なのかもしれない」 |
比奈伎 | :11 | 「ふん、くだらない。運命などという言葉だけで、左右されてはたまらない」 |
佐久弥 | :12 | 「ふふ、それでも、私たちのあずかり知らない所で、 万事、物事は動かされているものだよ」 |
各務 | :13 | 「(可笑しそうに)では、これも、その一件かえ?」 |
佐久弥 | :14 | 「(楽しそうに)さあ、どうだろう?」 |
比奈伎 | :15 | 「(溜息)何にしても、迷惑な話だ―――」 |
(さらにさらに所 変わって。噂の二人は、そのころ…) | ||
彩登 | :16 | 「千波流ー、彩登、足が痛いよぉ…」 |
千波流 | :17 | 「大丈夫か? ああ、少し腫れて来たな。よし、負ぶってやるから」 |
彩登 | :18 | 「えっ、でも千波流大変でしょ?」 |
千波流 | :19 | 「大丈夫だ。そんなにヤワじゃないぞ、俺は!」 |
彩登 | :20 | 「千波流…ありがと!」 |
千波流 | :21 | 「おう!」 |
(戻って、捜している三人) | ||
各務 | :22 | 「…それにしても」 |
佐久弥 | :23 | 「各務、どうかした?」 |
各務 | :24 | 「いや、こうしてみなで手分けして捜していると…いろいろな事を思い出すよ」 |
佐久弥 | :25 | 「例えば、どんな事を?」 |
各務 | :26 | 「そうだねえ…。あれは、まだ比奈伎が瀬比呂より少し小さかった時だね」 |
佐久弥 | :27 | 「十(とお)にも満たない比奈伎か…そりゃあ可愛かっただろうね」 |
各務 | :28 | 「そうだよ。あのころのアレは、本当に可愛くてねえ。 そういえば、あの日もこんな風に少しばかり汗ばむような、そんな日だった。 今日の彩登と同じように仕事で里を離れてね。一晩たっても、里に戻ってこなくて…」 |
佐久弥 | :29 | 「それで? 無事に見つかったの?」 |
各務 | :30 | 「もちろん。 一山超えた所で、一人で膝を抱えて泣いている比奈を見つけたのは、我だもの」 |
佐久弥 | :31 | 「良かったねえ、比奈伎。各務が見つけてくれなかったら、大変な事になっていたよね」 |
比奈伎 | :32 | 「うるさいッ!! 各務、余計な事を話すな! 佐久弥! お前も分かっててわざと話をふるんじゃない!」 |
(そして、例の二人はそのころ) | ||
千波流 | :33 | 「彩登、どうだ? 何か見えるか?」 |
彩登 | :34 | 「千波流は? 見えた?」 |
千波流 | :35 | 「…いや、駄目だな」 |
彩登 | :36 | 「どうしよう、千波流ぅ…お仕事に出て、道に迷っちゃったなんて、彩登…彩登…」 |
千波流 | :37 | 「大丈夫だ、彩登! 俺がついてるだろう?」 |
彩登 | :38 | 「千波流ぅ…!」 |
千波流 | :39 | 「大丈夫だ、俺を信じろ」 |
彩登 | :40 | 「千波流…!」 |
千波流 | :41 | 「彩登!」 |
彩登 | :42 | 「って、千波流のせいで迷っちゃったんじゃないー!!」 |
千波流 | :43 | 「はっはっは! そうとも言う! これぞ、言いえて『だえ』、だな!!」 |
彩登 | :44 | 「もー!! 千波流のばかー!!(ばかー! ばかー! ばかー…(エコー(笑)))」 |
(一方、山のこちら側では) | ||
各務 | :45 | 「…おや? あの声は」 |
佐久弥 | :46 | 「(くすくす)聞こえた、ね」 |
比奈伎 | :47 | 「(溜息)…ああ、聞こえたな。…何をやったんだ? 千波流は…」 |
(そして。) | ||
各務 | :48 | 「―――そうか、それは大変だったねえ、彩登」 |
彩登 | :49 | 「うん」 |
各務 | :50 | 「おや、足が少し腫れているようだえ、見せてご覧」 |
佐久弥 | :51 | 「ああ、マメがつぶれたんだね。彩登、ちょっと待っていてね。千波流!」 |
千波流 | :52 | 「何だ?」 |
佐久弥 | :53 | 「このすぐ下に、澤があったから、はい、これ」 |
千波流 | :54 | 「? 手ぬぐい?」 |
比奈伎 | :55 | 「鈍いヤツだな、それで冷やしてやれば、彩登も楽になるだろう?」 |
千波流 | :56 | 「あ、ああ! そうだな、ちょっと行って来る!」 |
比奈伎 | :57 | 「…全く」 |
各務 | :58 | 「千波流の極度の方向音痴のせいで、苦労したねえ、彩登」 |
佐久弥 | :59 | 「方向音痴は、比奈伎だけだと思っていたけどね」 |
比奈伎 | :60 | 「佐久弥!」 |
彩登 | :61 | 「ううん、各務、佐久弥、ありがと! 比奈伎も、迎えに来てくれてありがとう!」 |
各務 | :62 | 「お安い御用だよ。 …そうだ。彩登、ここは我が、千波流に、ガツンと言ってやろうかえ?」 |
彩登 | :63 | 「ううん、良いよ、各務!」 |
佐久弥 | :64 | 「言わなくて良いの? それは、どうして?」 |
彩登 | :65 | 「千波流ねえ、ずっと彩登を負ぶって山を降りてくれたの。だから、許してあげるんだ!」 |
比奈伎 | :66 | 「そうか。優しいな、彩登は」 |
彩登 | :67 | 「えへへ」 |
千波流 | :68 | 「おーい、水に浸してきたぞ! ついでに、飲み水も汲んできた…ん? 何だ?」 |
佐久弥 | :69 | 「いいや? 何でも無いよ?」 |
千波流 | :70 | 「…そ、そうか? 俺の顔に、何かついてるのか?」 |
各務 | :71 | 「何でもないったら。さあて、それじゃ少し休んだら、我らの里に帰ろうか」 |
比奈伎 | :72 | 「そうだな」 |
彩登 | :73 | 「彩登、おなかすいちゃった!」 |
佐久弥 | :74 | 「さてと、千波流、帰りも彩登を負ぶってくれるよね?」 |
千波流 | :75 | 「ああ、もちろんだとも」 |
各務 | :76 | 「(くすくす)良かったねえ、彩登」 |
彩登 | :77 | 「(くすくす)うん!」 |
千波流 | :78 | 「??」 |
佐久弥 | :79 | 「さあ、行こうか」 |
千波流 | :80 | 「おう! よーし、行くか!」 |
比奈伎 | :81 | 「…千波流」 |
千波流 | :82 | 「ん? 何だ、比奈伎」 |
比奈伎 | :83 | 「(溜息)勢いよく歩き出すのは良いが…里は、反対方向だ」 |
千波流 | :84 | 「ありゃっ!?」 |
彩登 | :85 | 「もー!! 千波流っ!!!」 |
(おしまい) |