●鬼神楽●
【〜楽業の章・第5話〜】
この色…東風
この色…鬼火
この色…武士・女中・ガヤ(注:ガヤ・全員部分は、ファイル名 セリフ番号_お名前 )
この色…その他
ガヤ:一本のファイルに、三パターンほど入れて下さい。
    その際には、それぞれの間を2秒ほど空けてくださると助かります】
※万一使用セリフに不安がある場合には、よろしければ、こちらから指定させていただきます。
セリフ番号
「セリフ」
(主の屋敷にて。真木特製の火薬弾が辺りで轟音を上げている)
01_武士:ガヤ ※戦ガヤ
「ぐあっ」「気をつけろ!」「弓矢の代わりを持て!」「ええいひるむな!」など
02_武士:1 「撃て撃てー!!」
03_武士:2 「応戦しろ!!」
04_武士:5 「ひるむな!! 見れば女子のみではないか! 我らの敵ではない!」
05_武士:6 「あの邪魔な女共を一人残らず殺せ!」
06_真木 「おーっほほほほほほ!!
冗談も休み休みになさいな、よくもそんな事がわたくしの前で言えたものですわね!
その汚らしい口をさっさと閉じたらいかが!?
もしご自分で閉じられないと仰るのでしたら、心から嫌ですけれど
是非ともお手伝いして差し上げてよ!
その時になって後悔なさらない事ね!(火薬弾を投げる)」
(真木特製の火薬弾がそこら中で爆発、響き渡る爆音)
07_武士:ガヤ ※(悲鳴)
08_春日 「(煙に咳き込んで)真、真木! 落ち着けってば!」
09_真木 「春日!!!」
10_春日 「な、なにっ!?」
11_真木 「わたくしは至って冷静ですわよ」
12_春日 「あ、そう…」
13_真木 「全く全く!! 腹立だしい事この上ありませんわ!!」
14_碧 「(少し遠くから)ま、真木〜!」
15_真木 「碧ったら…まだもたもたなさってるんですの?」
16_碧 「ね、ねえ! これって、どうなってるの!? こんなの、浅葱も言ってなかったよ!?」
17_真木 「全くですわ! 主の屋敷に武士の連中が
こんなに蔓延っているだなんて、わたくしも聞いてませんわよ!」
18_八重 「このまんまじゃ、弓も足りなくなるよ!」
19_茶々 「ここだけではなく、あちらもすごい数で固めているようだわ…」
20_真木 「茶々。貴女も来ていたんですのね」
21_茶々 「ええ…大変な騒ぎね…」
22_巴 「いったい、何だというのかしら、この物々しさは。…それに」
23_真木 「それに、何ですの? 巴」
24_巴 「『鬼火を殲滅せし』。彼らも、私たちと同じくその命を受けたはずなのに」
25_武士:全員 ※「総て、討つべし!」
26_巴 「そのはずなのに、何故―――」
27_武士:全員 ※「鬼火・東風、共に討つべし!!」
28_武士:全員 ※「双方、殲滅せし!!」
29_巴 「何故、私たち東風一族までが標的になっているの」
(モノローグ)
30_夜紫乃 「…それこそ、夢にだって見たことも無かった。
だって、信じられないだろ? そんな事。
僕らは今まで、そんな思いをした事がなかったんだもの。
ずっとみんな一緒だって思ってた。
強くて奇麗なお頭の下で、大切な仲間たちと、ずっと一緒だって。

今でも思ってるよ。
一晩ぐっすり寝て起きたら、全部が夢で、
またいつもと変わらない一日が待ってるんじゃないかって。

夢から覚める事をこんなに必死に願ったのは、…初めてだ」
(モノローグ終わり/どん、どん、と床を踏み鳴らすような音)
31_武士:全員 ※「鬼火・東風、共に殲滅せし!!」
32_武士:全員 ※「鬼火・東風、共に殲滅せし!!」
(タイトルコール)
33_夜紫乃 「『鬼神楽』最終章   〜楽業の章〜 第五話」
(再び、主の屋敷にて、思わぬ数の武士に追われてやや押され気味の東風女性陣)
34_武士:ガヤ ※(東風の面々を追いかける声:3〜5秒ほど)
「逃がすな!」「追え!」など
35_春日 「真木、巴、茶々っ、いったい何処まで走るんだよ!?」
36_碧 「っていうか春日、どういう事なのこれ!?」
37_春日 「俺に聞くなよ碧!」
(走ってきて、それぞれが止まる/全員、それとなく肩で息を)
38_巴 「そもそも主は、私たち東風と、鬼火を戦わせたいのではなかったの?」
39_真木 「そうですわよね。ですからその先発として、
白銀と左京と卓麻が、一足先にこの屋敷に入ったのでしょう?」
40_八重 「八重たちは、鬼火一族だけを相手にすれば良いんじゃなかったの?」
41_茶々 「…巴、真木、春日、碧、八重。
…ひとまず、みんな一度戻って、近衛に事の次第を報告しましょう」
(屋敷から離れたところにいる、謎の少年と鬼火頭領朱音。ここまで爆煙が見える)
42_黒幕 「ふふ…そろそろ、始まったかな。派手に煙が上がってる」
43_朱音 「東風と鬼火…私たち二つの一族を戦わせてどうするつもりだ」
44_黒幕 「その結論は、朱音。お前たち自身で出すんだよ」
45_朱音 「……何が望みだ」
46_黒幕 「(くすくす)それは、もう直ぐ分かる」
47_朱音 「お前は―――何者なんだ」
48_黒幕 「―――それも、もう直ぐ分かる」
(東風の里)
49_近衛 「武士共が?」
50_巴 「ええ、近衛。彼らは、明らかに私たちを狙ってきたわ」
51_円 「…どういう事なんだ」
52_茶々 「武士は、茶々たちが鬼火を殲滅させるための手伝いに…来ているかと思っていたのに」
53_芳 「アタシたち東風一族も、標的に? それは主の命令なのかい?」
54_真木 「はっきりとは分かりませんわよ。けれど、武士を動かせるのは主だけ…
だとすれば、自ずとそういう事になりますわね」
55_近衛 「本当にこれが主の引き起こした事だとしたら…
我らが先に鬼火を捕らえた方が良いかもしれん」
56_円 「捕らえるんですか?近衛。 殺すのではなく?」
57_近衛 「そうだ。…出来る限り、だがな」
58_芳 「それも、武士たちよりも先に? 何故そんな事を」
59_円 「近衛…それは…主に対する裏切りになるのではありませんか?」
60_芳 「裏切りと言うのなら、先に裏切ったのは主の方じゃないのかい」
61_近衛 「(頷き)芳の言う通りだな。
ただ我ら一族を戦わせたいだけであれば、わざわざ武士共をそろえる必要はない。
これは、武士とも競えと言う事ではないか」
62_春日 「何それ。俺たちなめられてんの?」
63_巴 「…つまり、鬼火と戦わせる事、そのものに、何か裏があると言うことね?」
64_真木 「巴の言うように、主が、ただわたくしたちと鬼火一族を競わせるためだけに、
これを仕組んだのではない、とすれば…」
65_近衛 「主の屋敷に入ったその瞬間、鬼火だけでなく武士も総て敵となる、と言う事だろう。
…現に、お前たちが攻撃されたようにな」
66_円 「主は……鬼火だけでなく、東風一族をも、…殲滅させるつもりだということですか」
67_碧 「せ、…殲滅…っ!? 円、それはいくらなんでも…」
68_春日 「えっ…ちょっと待てよ!
じゃあ先に行った三人は、鬼火も武士も全部相手してるって事!?」
69_芳 「そういう事だね。それはさすがにあの三人でも骨が折れるだろう」
70_碧 「じゃあ芳、やっぱりアタシたちも手伝いに行った方が良いんじゃない?」
71_八重 「でもさあ碧、ヘタに手出ししたら、白銀とかは怒るんじゃないの?」
72_真木 「そんな事は先刻承知ですわよ。けれど、別に彼らへの手助けではありませんわ。
わたくしたちはわたくしたちで、やるべき事をやるだけですわよ」
73_茶々 「そうね。真木の言う通りだわ。
それにその方がきっと、すべてが早めに収まると茶々は思うわ」
74_真木 「ですわね」
75_芳 「静を一人で残すのは心配だけどねえ…」
76_巴 「かといって、戦場に連れて行くのはもっと不安でしょ、芳」
77_芳 「そうだね。仕方が無い。静にはアタシから話しておくよ」
78_真木 「そうですわね」
79_浅葱 「それでは私たちも屋敷に向かいましょう」
80_円 「浅葱…お前、あの三人を捨石にすると言っていたくせにか」
81_浅葱 「円。私は、白銀、左京、卓麻を捨石にする事も考えている、とは言いましたが、
私自身が戦いに参加しない、とは言っていませんよ」
82_円 「…」
83_春日 「……ひねてる」
84_八重 「……ひねてるよね」
85_浅葱 「春日。八重。何か言いましたか?(にっこり)」
86_春日
86_八重
※「い〜え、何にも!」
87_近衛 「では、みんな、行くぞ!」
88_円
88_浅葱
88_八重
88_芳
88_茶々
88_巴
88_真木
88_春日
88_碧
※「(返事)」
(主の屋敷にて・歩いている三人)
89_寿々加 「お頭に、手を握ってもらう夢ぇ?」
90_比奈伎 「お前は見た事はないのか? 寿々加」
91_寿々加 「さー…どーだったかなぁ、見たと言えば見たような、見てないと言えば見てないような…」
92_比奈伎 「覚えてないのか?」
93_寿々加 「だってしょうがねえだろ、夢なんていちいち覚えてねえよ」
94_比奈伎 「ぼんやりでも見たのかどうかくらいは覚えているだろう」
95_寿々加 「過去の事は引きずらないタチなんでな」
96_比奈伎 「…単に物忘れが酷いだけじゃないのか」
97_寿々加 「言いやがったな? だいたい、何でそんな内容なんだよ。
そんな事されて嬉しいヤツなんているのかよ、比奈伎じゃあるまいし」
98_比奈伎 「な!? お、俺はそんな夢見てない!」
99_寿々加 「ほんとか〜?」
100_比奈伎 「本当だ!」
101_寿々加 「お前こそ、覚えてねえだけじゃねえの?」
102_比奈伎 「絶対に見てない!」
103_寿々加 「どーだか。佐久弥、お前だってそうそう覚えてないだろ、自分の見た夢なんかさ」
104_佐久弥 「ふふ、そうだね、私もあまり夢を見ないから」
105_寿々加 「ほーら見ろ」
106_佐久弥 「でも…」
107_寿々加 「ん?」
108_佐久弥 「一つだけ、良く覚えているのもあるよ」
109_寿々加 「佐久弥もみんなと同じ、お頭と手をつなぐ夢か?」
110_佐久弥 「…私の夢はみんなとは違う。真っ暗な闇の中で、漂うような浮遊感…
そしてそこには、私だけなんだ。私だけが、たった独りきり
―――『私が、一番最初だ』と思っている夢」
111_寿々加 「最初って…何が?」
112_佐久弥 「それは分からない。ただ、漠然と、それを知っているだけ」
113_寿々加 「ふうん…『始まりを暗示するもの』か。何だか意味ありげ、だな」
114_佐久弥 「そうかな?」
115_比奈伎 「…闇の中で、独りか」
116_寿々加 「ま、佐久弥らしいっちゃ佐久弥らしい夢だよな」
117_佐久弥 「私らしい? どういう理屈なんだろう、それ」
118_寿々加 「ま、細かい事は気にするな。俺にも分かんねーし」
119_佐久弥 「そうなの?」
120_寿々加 「そうなんだよ。 比奈伎、お前はどんなのを覚えてる?」
121_比奈伎 「俺は、…夢は好きじゃない」
122_寿々加 「って、お前の場合は眠ること自体が好きじゃないんだろーが」
123_比奈伎 「別に、…眠るのが怖いわけじゃない…っ、ただ、…っ」
124_寿々加 「ただ、何だよ」
125_比奈伎 「…何でもないっ」
126_寿々加 「怖い夢でも見て、それから寝るのが怖くなったんだろ」
127_比奈伎 「そ…うじゃないっ!」
128_寿々加 「お前、結構怖がりだしなー」
129_比奈伎 「………っ、…もう良い」
130_佐久弥 「…」
131_寿々加 「…嘘だって。冗談冗談、そんな怒るなよ比奈」
132_比奈伎 「…………………別に怒ってない」
133_寿々加 「………嘘付け。めちゃくちゃ怒ってんじゃねーか」
(ところ戻って、東風の女性陣)
134_武士:ガヤ ※(武士がやたらと襲い掛かってくる。攻撃の掛け声、そして返り討ちの悲鳴など。
以下の、彼女たちの会話のバックに10秒ほど流す予定)
135_春日 「くそーっ…あとからあとから…! やっぱりすごい人数だよ…!」
136_巴 「(攻撃をかわして)…春日の言う通り、キリがないわね」
137_茶々 「そうね…いつまでもここに足止めされているわけにもいかないわ…」
138_八重 「巴、茶々、さっさと鬼火を見つけ出そうよ」
139_真木 「(頷いて)わたくしは八重に賛成ですわ。
では、ここからは二手…いえ、三手(みて)に分かれましょう」
140_碧 「え…っ真木、バラバラにならない方が良いんじゃないっ!?」
141_春日 「碧、怖がってんの?」
142_碧 「そうじゃなくてっ! ただ…っ」
143_巴 「落ち着いて、碧。確かに、相手は多勢だけど、所詮はザコの集まりよ。
私たちの敵じゃないわ」
144_真木 「巴の言う通りですわね。
それに、こうやってここでくさくさしている方がよほど時間の無駄ですわよ!」
145_茶々 「では、茶々は一度近衛たちと合流する。それから、またこちらへ戻るわ」
146_真木 「では、わたくしも茶々と一緒に行きますわ。春日は碧と」
147_春日 「分かった」
148_碧 「うん」
149_巴 「私は一人で平気よ。後から追いつくわ」
150_八重 「巴! 八重が一緒に行ってあげるよ」
151_巴 「八重が?」
152_八重 「見て、これ!」
153_春日 「あーっ! これ…あの、睦月とか言う子が持ってたヤツ!?」
154_碧 「黙って持ってきちゃったの!?」
155_八重 「だって、使えそうだったしさ、あのままにしといてももったいないじゃん」
156_茶々 「確かに…強力な武器になるわ」
157_巴 「それじゃ、私は八重とこちらに」
158_春日 「じゃあ、俺たちは反対側」
159_真木 「では、後ほど」
160_八重
160_茶々
160_巴
160_春日
160_碧
※「(返事)」
(それぞれ、散る/主の屋敷の片側で、再び寿々加たち)
161_寿々加 「…んー…実はなぁ、比奈伎…さっきの話に戻るんだけどよ」
162_比奈伎 「なんだ寿々加、急に」
163_寿々加 「俺も見た事あるぜ、お頭が手を貸してくれる夢」
164_比奈伎 「は? …さっき、覚えてないと言ったじゃないか」
165_寿々加 「そんな事言ったか?(真剣に)」
166_比奈伎 「お、お前がそう言ったんだろうっ」
167_寿々加 「さぁ? 良く覚えてねえや。
何しろお前の言った通り、物忘れが酷いんでな(おどけて)」
168_比奈伎 「―――っ!」
169_佐久弥 「(ぷっ)」
170_寿々加 「はははは!」
171_比奈伎 「ゎ、笑うな寿々っ! 佐久っ、お前もだ!」
172_佐久弥 「ふふっ、ごめんごめん」
173_比奈伎 「…全く…!」
174_寿々加 「(笑いを納めつつ)さっきまでほんとすっかり忘れてたんだよ。
何しろ、随分昔の事だったからさ」
175_佐久弥 「じゃあ、最近は見ていないんだね」
176_寿々加 「ああ。その夢を見たのは…まだ俺が十三くらいん時じゃなかったかな〜、
あん時は朱音の方が俺より上背があって…」
177_比奈伎 「―――ッ」
178_寿々加 「なぁんだよ、まだ怒ってんのか? 比奈伎」
179_比奈伎 「―――ちが…う」
180_佐久弥 「…比奈伎」
181_比奈伎 「…大丈夫だ」
182_寿々加 「比奈伎」
183_比奈伎 「…ない」
184_佐久弥 「え?」
185_比奈伎 「夢は、関係ない」
186_佐久弥 「…比奈伎」
187_比奈伎 「関係、無いんだ」
(夜紫乃と伊織、息を切らせて走って来て、ざっと物陰に入り込んだ)
188_夜紫乃 「(息を切らしつつ、後ろを伺って)
良し、武士はついてきてない…気配も、感じない、よな。
とりあえず、撒けた、かな…? (振り向いて)伊織、瀬比呂は!?」
189_伊織 「(息を切らしつつ)えっ…、瀬比呂! 瀬比呂…! ―――やだ…いない、の…?」
190_夜紫乃 「(呆然…)そんな…彩登だけじゃなくって、瀬比呂まで居なくなるなんて……」
191_伊織 「…っ!! ごめん夜紫乃、アタシ…アタシ…っ!」
192_夜紫乃 「(息を静めて首を振る)ううん…伊織だけのせいじゃない。
僕だって、ちゃんと気をつけてなかったのがいけなかったんだから」
193_伊織 「……なんで、…なんでこんな事になっちゃったんだろう…っ」
194_夜紫乃 「…伊織、急いで手持ちの武器の確認して」
195_伊織 「う、うん…」
196_夜紫乃 「時間的に、僕らだけじゃなくて先発隊も横槍隊も、みんな屋敷に入ってるはずなんだ。
だからきっと、みんなに会えるよ。それまでは粘ろう」
197_伊織 「みんなと…」
198_夜紫乃 「もしかしたら、彩登と瀬比呂も、千波流とかが見つけてくれてるかもしれない。
案外、平気な顔してそっちにいるかもよ、二人とも」
199_伊織 「…そう、だと良いな…」
200_夜紫乃 「きっとそうだよ! だから、とにかくみんなを探して合流しよう」
201_伊織 「でも…アタシたちだけで、そんな事…」
202_夜紫乃 「落ち着いてよ、伊織。あいつらは、いつも僕らが戦ってる武士だよ」
203_伊織 「う、うん」
204_夜紫乃 「僕らはあいつらなんかに負けたりしない。…そうだろ」
205_伊織 「―――うん」
206_夜紫乃 「伊織。僕のこと助けてくれるだろ?」
207_伊織 「うん。…あ、夜紫乃みたいに、上手く補佐出来ないかもしれないけど」
208_夜紫乃 「(少し笑って、伊織を見つめる)頼りにしてる」
(そのすぐ裏側では)
209_八重 「巴〜、全然いないじゃん、鬼火の一族っての。おまけに、武士までいないよ」
210_巴 「そうね…向こうが当たりだったかしらね」
211_八重 「ちぇっ、せっかく武器まで持ってきたのにな〜」
212_巴 「シッ! 八重…なんだか、変な音がしない?」
213_八重 「音…?」
214_巴 「え!? か、壁が…!」
215_八重 「と、巴ーっ!!」
(目の前で壁が閉まり、巴と八重がはぐれる)
216_巴 「八重っ!? 八重!! なんて事なの…! こんなところではぐれるなんて!」
(武士を相手に戦っている夜紫乃と伊織)
217_夜紫乃 「伊織、伏せてっ!!」
218_伊織 「!!」
219_夜紫乃 「(相手を切る)」
220_武士:7 「ぎゃあっ!」
221_夜紫乃 「伊織!」
222_伊織 「任せて! ヤアッ!(小刀を2本投げつける)」
223_武士:4 「(小刀が首に刺さる)」
224_武士:5 「(小刀が首に刺さる)」
225_夜紫乃 「(手を打って)伊織、お見事!」
226_伊織 「(少し笑って、得意げに)小刀は、アタシの得意分野だからね!」
227_夜紫乃 「ふぅ…やっと片ついたかな」
228_伊織 「夜紫乃! 夜紫乃、こっち来て! …ほら、風が動いてる」
229_夜紫乃 「よし、行ってみよう!」
(白銀が去ったあと、白銀にやられた各務が倒れるその寸前、千波流たちが走ってくる)
230_千波流 「(遠くから)―――各務っ!!」
231_彩登 「(遠くから)各務ーっ!!」
232_千波流 「(走ってくる)各務…お前!」
233_各務 「千波流、彩、と―――(ぐらりと倒れる)」
234_千波流 「各務っ!(抱きとめる)」
235_各務 「…っ(抱きとめられて崩れる)」
236_珠菜 「しっかりなさって! 今、血止めをしますわ、亜夏刃、手伝って!」
237_亜夏刃 「こちらへ運ぼう」
238_各務 「…良い…我を置いて、…お頭を、探しておくれ」
239_珠菜 「(テキパキと処置しながら)何を弱気な事を。各務らしくありませんわよ」
240_各務 「…そうか」
241_彩登 「各務ぃ…っ」
242_各務 「彩登…しっかり、みなを助けるのだよ」
243_彩登 「各務」
244_各務 「亜夏刃…、変わらず、みなを、支えておくれね…」
245_亜夏刃 「分かっている」
246_各務 「千波流、しっかりと、みなを…守っておくれ」
247_千波流 「心得た」
248_各務 「珠菜…」
249_珠菜 「嫌ですわ各務、そんな…最期の頼みのような事を。わたくしは、聞きませんわよ」
250_各務 「(苦笑)…そうかえ」
251_珠菜 「そうですわ。お願いでしたら、あとでゆっくりいくらでも聞いて差し上げます」
252_各務 「…珠菜。いつものように、先陣を切ってみなを導いておくれ」
253_珠菜 「各務(ちょっと咎めるように)」
254_各務 「(珠菜にふふふ、と笑って)…我、は…」
255_朱音 「(E)―――各務」
256_各務 「(目を見開く)! …あぁ…、お頭…!」
257_千波流 「え?」
258_各務 「お頭―――我は―――」
(回想シーン{鬼灯第三話・2の237〜参照})
259_朱音 「(E)…では、また後で会おう、各務」
260_各務 「(E)―――必ず」
(回想エコー終わり)
261_各務 「…あの誓い…―――我は…守れぬようだ…―――」
262_千波流 「各務?」
263_各務 「(咳き込んで)…みな……、あの人を…お頭を…頼むえ…我は、ここで…終わる…」
264_亜夏刃 「! …各務」
265_彩登 「やだぁっ、各務…っ!」
266_各務 「必ず、頼むえ…、…お頭、を―――…」
267_千波流 「っ、各務ッ!?」
268_亜夏刃 「…っ……駄目だ……もう…息がない―――」
269_彩登 「各務…!」
270_珠菜 「……各務」
271_彩登 「こんな…こんなの…ひどい…っ、ひどいよぉお…っ!」
272_武士:1 「―――いたぞ!!」
273_武士:ガヤ ※(標的を発見し、武士を集める一言)
「見つけたぞ!」「こっちだ!」「急げ!」など
274_千波流
274_亜夏刃
274_珠菜
274_彩登
※「!!」
275_亜夏刃 「(舌打ち)武士に見つかったか…」
276_武士:2 「鬼火だ!」
277_武士:6 「見つけたぞ! 4人いる!」
278_武士:7 「一人残らず殺せ!!」
279_武士:4 「殺せ!!」
280_大将 「構えろ! 鉄砲隊準備!!」
281_千波流 「しまった…っ」
282_彩登 「千波流っ、各務はどうするの!?」
283_千波流 「…この状況では…」
284_亜夏刃 「ここに置いて行くしかないだろうな」
285_彩登 「そんなぁ…」
286_大将 「弾込め! 発射用意!」
287_千波流 「とにかく退け(ひけ)! 俺が抑える―――」
288_珠菜 「(千波流にかぶせて武器を抜き)ここはわたくしが」
289_千波流 「珠菜! 一人では無理だ!!」
290_珠菜 「いいえ。…わたくしにやらせてくださいませ」
291_亜夏刃 「珠菜!」
292_珠菜 「千波流、彩登、…亜夏刃。三人はお先にお行きなさいな。
足手まといは必要ありませんわ」
293_亜夏刃 「…珠菜」
294_珠菜 「亜夏刃。わたくしを信じて」
295_亜夏刃 「……当たり前だ。信じなかった事など今までに一度も無い」
296_珠菜 「(微笑む)…それで、充分ですわよ」
297_亜夏刃 「…。…死ぬなよ」
298_珠菜 「あなたこそ」
299_亜夏刃 「珠菜」
300_珠菜 「はい」
301_亜夏刃 「―――死ぬなよ」
302_珠菜 「………。―――はい」
303_彩登 「珠菜…」
304_珠菜 「わたくしは大丈夫と言ったはずですわよ、彩登」
305_彩登 「う、うん…」
306_珠菜 「―――さあ、行って!!」
(武士の騒ぐ声の中、千波流・亜夏刃・彩登、走り去る/突然音が途絶えて、屋敷の片側では)
307_寿々加 「佐久弥。―――比奈伎のヤツ、随分調子悪そうだな」
308_佐久弥 「…うん」
309_寿々加 「いつも以上じゃねえのか?」
310_佐久弥 「……」
311_寿々加 「怖い夢ってのは…禁句だったんだな。アイツはそれが…現実になる事を恐れてる」
312_佐久弥 「…」
313_寿々加 「ま、どんなもんかは想像つくけどな」
314_佐久弥 「寿々加」
315_寿々加 「アイツが今一番恐れているのは、一族の存亡でも何でもない―――朱音の」
(そのころ、黒幕少年姿と、朱音は)
316_黒幕 「―――死だ」
317_朱音 「死、だと」
318_黒幕 「そうだよ、朱音。生き死にをかけて、お前たちをこれから試すんだ」
319_朱音 「試す?」
320_黒幕 「頑張って、生き残る事だね。そうすれば、面白いものが見られるかもしれないよ」
321_朱音 「面白い、だと…? 生死をかけて戦う事を、お前は―――」
(千波流・亜夏刃・彩登走ってくる)
322_亜夏刃 「千波流、彩登、伏せろっ!!」
(物陰から、睦月の装置から矢が発射されて刺さる)
323_千波流 「これは―――睦月の作った装置の…!? まさか、睦月か!?」
324_亜夏刃 「違う! …あそこだ!」
325_千波流 「こ、子どもか!? 何故こんなところに!」
326_八重 「八重は子どもじゃない!」
327_彩登 「……やえ?」
328_千波流 「彩登、出てくるな危ない!」
329_八重 「…なんだ。そっちだって、子どもがいるじゃんか」
330_彩登 「あ、彩登だって、子どもじゃないもんっ!」
331_八重 「八重だって、子どもじゃない!」
332_彩登 「彩登の方が、背が高いもん!」
333_八重 「(ちょっとガーン)そんな事関係ないだろ!?」
334_千波流 「ちょ、ちょっと待て! …お前は、…東風の人間か」
335_八重 「…」
336_千波流 「その狐の面…そうなんだな?」
337_八重 「そうだよ」
338_千波流 「お前たち一族は、何故俺たち鬼火一族を狙うんだ!?」
339_八重 「お前たちを滅ぼして、八重たち東風一族が表に立つためだよ」
340_千波流 「それで…お頭を攫い、…羽霧や、各務を…」
341_八重 「それが嫌なら負けなきゃ良いだろ。死んだのはそいつらが弱いからだよ」
342_彩登 「違うもん…!!」
343_八重 「!」
344_彩登 「みんな強かったもん…! それなのに…っ、羽霧も、各務も、死んじゃった…っ。
ねえ…っ、このままみんな、死んじゃうの!?」
345_千波流 「彩登…」
346_武士:5 「こっちだ! いたぞ!」
347_武士:1 「一人も逃がすな!!」
348_武士:2 「出あえ、出あえー!!」
349_武士:6 「殲滅せし!」
350_武士:全員 ※「センメツセシ!!」
351_千波流 「ちっ、もう追いついてきたか…!」
352_彩登 「ねえっ、千波流…! もう彩登たちには、何にも出来ないの!?
みんな、ここで死んじゃうの…っ?」
353_千波流 「彩登…」
354_八重 「……」
355_彩登 「死んじゃうの…?(泣く)」
356_八重 「…何言ってるの? このまま「ハイ、終わり」になるわけないじゃん?」
357_彩登 「え…?」
358_八重 「…まだだよ、八重ならまだやれる(くるりと武士に向かって走り出す)」
359_千波流 「何!?」
360_彩登 「え…っ、ね、ねえちょっと待ってよ…! 八重! 八重ーっ!!」
(小さな影が走り去り、その方向で爆発音/その爆音が収まったころ、巴、到着)
361_巴 「! …爆音…? …。八重の気配がここで途切れているわ…
八重…一体何があったというの!?」
362_千波流 「(少し遠くから)そこに居るのは誰だ!?」
363_巴 「! 鬼の面―――鬼火一族!」
364_千波流 「また狐の面…お前も東風一族だな!」
365_巴 「…そうよ」
366_亜夏刃 「見たところ、女のようだが」
367_巴 「え…!? こ、この声……さ、左京…!?」
368_亜夏刃 「? …何を驚いているんだ?」
369_千波流 「女。お前の名前は?」
370_巴 「…私は―――東風の巴」
371_武士:7 「(少し遠くの方から)見つけたぞ!」
372_武士:5 「鬼の面に、狐の面だ! 鬼火、東風双方そろっている!」
373_千波流
373_亜夏刃
373_彩登

373_巴
※「!!」
374_武士:4 「撃て撃て!」
375_亜夏刃 「ぐっ…面が!(一発面にかすって、面が割れて落ちる)」
376_巴 「(亜夏刃の顔を見て更に驚く)―――そんな、まさか…!!」
377_武士:6 「撃てー!!!」
378_巴 「危ない! (亜夏刃を庇って銃弾を受ける)―――うっ」
379_亜夏刃 「!! おい…!」
380_千波流 「おのれ…っ!(切り捨てる)」
381_武士:5 「ぎゃあ!」
382_亜夏刃 「っ(刀を振るう)」
383_武士:6 「ぎゃあ!」
384_千波流 「亜夏刃! 大丈夫か!?」
385_亜夏刃 「ああ、自分はなんとも無い。だが、女が―――」
386_巴 「あ、げは……(M)ああ…立ち姿も…声も……顔すら…こんなに似ているというのに。
それでも…貴方は、…左京じゃ、ない―――」
(巴の狐の面が割れて、落ちる。下から現れたのは、珠菜そっくりの顔だった)
387_亜夏刃 「…何!?」
388_千波流
388_亜夏刃
388_彩登
※「た、珠菜!?」
※「珠菜!」
※「た、珠菜!?」
389_巴 「…(よろり、と倒れる)」
390_亜夏刃 「おい!(支える)」
391_巴 「…わ、たし…」
392_亜夏刃 「―――何故、庇ったんだ。自分は…サキョウじゃない、鬼火の、亜夏刃なんだ」
393_巴 「……良いのよ」
394_彩登 「…そ、…そんなに、似てる…の?」
395_巴 「ええ―――そうね。…とても良く…似ているわ。低く…豊かな声も…高い背も…
…顔……も……全く、見分けが…つかないくらいに…」
396_彩登 「お姉さんは…その人の事、好き…だったの?」
397_巴 「―――」
398_千波流 「彩登」
399_巴 「…ええ、…そうね。きっと、そうなんだわ…きっと、私…」
400_亜夏刃 「…」
401_巴 「(小さく咳き込んで)………夢を…見たかったの…」
402_亜夏刃 「夢?」
403_巴 「そうよ…小さな、小さな、夢…
叶う事は決してない運命(さだめ)の、夢―――あなたは、笑うでしょうけど」
404_亜夏刃 「…笑わない。笑わない、絶対に」
405_巴 「ふふ。ありがとう……優しいのね。顔は似ていても、
やっぱりあなたは…左京とは、全然、違う、わ―――」
406_亜夏刃 「! オイ―――」
407_千波流 「亜夏刃」
408_亜夏刃 「駄目だ。…死んだ」
409_彩登 「えっ…、し、…死んじゃったの…!?」
410_千波流 「ああ」
411_亜夏刃 「…自分を、庇ったせいだ」
412_千波流 「それは確かに感謝している。…だが、そいつは東風一族だ。俺たちの敵だぞ」
413_亜夏刃 「わかってる」
414_千波流 「それに、…いくらそっくりでも珠菜本人ではないんだ」
415_亜夏刃 「わかっている!」
416_千波流 「! …亜夏刃」
417_彩登 「亜夏刃ぁ…」
418_亜夏刃 「こんなものが運命だというのか。…こんな…」
419_羽霧 「(E)面を取って―――気をつけろ」
420_亜夏刃 「…羽霧の言っていたのは…この事だったんじゃないのか、千波流」
421_千波流 「(頷く)―――どういうわけだか分からんが…
仲間と全く同じ顔をした者が、いると…言う事なのか…」
422_彩登 「お、同じ顔って…じゃあ、それで羽霧は…」
423_亜夏刃 「…まだ、はっきりとは分からないが…この女は、珠菜にそっくりだ。
いや、…そのものだ。似ているというだけでは表せないほどに」
424_千波流 「…信じられん。いや、…確かに、この女の顔は…珠菜そのものだが」
425_亜夏刃 「…嫌なものだ」
426_千波流 「亜夏刃…」
427_亜夏刃 「敵だと分かっていても―――仲間と、…同じ顔をした者を…」
【続く】