●鬼神楽●
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【〜鬼灯の章・第五話{2}〜】 フォルダ名【ho-zuki05-2_役名】
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キャラ :番号
「セリフ」
(ここで、各務と佐久弥から、『横槍』について説明する)
羽霧 :01 「―――何だと!? しばらく待機ィ!? ふざけるな、冗談じゃないぜ!
こんな大事な時に、のんきに待ってなんか居られるか!
だいたい、何で俺がそんな貧乏くじを 引かされなきゃならないんだ!!」
佐久弥 :02 「落ち着いて、羽霧。ずっと待機してもらうわけじゃない、
時が来ればもちろん動いてもらうよ。その前に、睦月にこれを頼みたいんだけど」
睦月 :03 「(渡された図面を見て)これは…この前アタシが作った…!
あ、でも、こんな短時間では、いくらなんでも…無茶です!」
佐久弥 :04 「良いんだよ、いくつもはいらない。もう二つ三つあれば良いんだ。頼める?」
各務 :05 「我も手伝おう」
伊織 :06 「比奈伎。あの武器、使うよ。絶対有効利用出来るよ」
寿々加 :07 「おーっと、『反対だ』は反対な」
比奈伎 :08 「使わなくても作戦に影響はないはずだぞ」
千波流 :09 「だが、使えば確実に成果を上げられるぞ」
伊織 :10 「良いから、これ見てよ! ていうかちゃんと見て!!」
比奈伎 :11 「引っ張るなよ伊織!」
伊織 :12 「今回は、絶対反対なんかさせないんだからね、
そのためにずっとずっと準備してたんだから!
各務にだって見てもらって、最初の時よりずっと安全だし!」
比奈伎 :13 「…各務…お前まで関わってたのか」
各務 :14 「(すまなそうに)行きがかり上な」
伊織 :15 「今回の戦には、あった方が良いよ! 佐久弥だってそう言ってるし」
佐久弥 :16 「でも、使うのは年少組じゃないよ、伊織」
伊織 :17 「え? 佐久弥、それどういう意味?」
佐久弥 :18 「それはあとでね」
各務 :19 「さて。先発隊は、先に準備に取り掛かりや。時間はないのだよ」
佐久弥 :20 「切り込み役の珠菜と亜夏刃はもちろん、
先発隊には、そのまま主の屋敷へ入ってもらうことになる。
充分準備をして。特に、防護をしっかりした方が良いと思う」
千波流
寿々加
:21_役名 ※「おう」
※「わかったよ。…普段大人しいやつが、一番人使い荒いってのは…」
千波流 :22 「(笑って)ぼやくなぼやくな。
どうせお前じゃ、佐久弥以上の良い案は考えられんだろ」
(先発隊、意気揚々・渋々と、それぞれ仕度に取り掛かるため出て行きます)
各務 :23 「―――さて。先にも説明したとおり、亜夏刃、珠菜は切り込み役。
それに千波流、寿々加を合わせてひと組。
佐久弥、比奈伎でひと組。我もこれに加わる。
さらに、夜紫乃、伊織、瀬比呂、彩登でもう一組」
佐久弥 :24 「私たちは、実質上は「三組」に分かれて行動する。
ひと組は正面から主の屋敷へ。
ひと組は、それを援護し、先に屋敷への侵入を済ませた者の後ろを守る。
もうひと組は、その間に裏から、主の屋敷へ。
…そして、隠されたもうひと組が、主の死角から横槍を入れる」
睦月 :25 「横槍…ですか?」
佐久弥 :26 「そうだよ」
各務 :27 「散々調べまわって、ようやっとわかったのが、たったこれ一つだけ、
と言うのは口惜しいが…それでも、これはただ一つの光明だ」
佐久弥 :28 「それを任せられるのは、睦月の武器作りの腕と、
そしてそれを扱うことの出来る羽霧だけだ」
睦月 :29 「…わかりました! 出来うる限り尽力します」
各務 :30 「羽霧も、良いね?」
羽霧 :31 「(ニヤッと笑って)ったく、そこまで言われちゃしょうがねえな。
わかったよ、やってやろうじゃん。俺たちに任せとけって。
じゃ、俺らもすぐに準備に入るぜ」
(羽霧・睦月、準備のために出て行きます)
佐久弥 :32 「…もう分かってると思うけど、屋敷の正面から行く私たちよりも、
山腹から向かう夜紫乃の組の方が、人数的にも一人ひとりの負担は大きいと思う。
だから、瀬比呂、彩登。夜紫乃と伊織をしっかり助けるんだよ」
瀬比呂
彩登
:33_役名 ※「はい!」
各務 :34 「とは言うたが、年少組はなるべく支援で済むように―――伊織、夜紫乃、頼むえ」
伊織 :35 「わかってる」
夜紫乃 :36 「任せといてよ」
瀬比呂 :37 「大丈夫だよ、僕たち、頑張るから!」
彩登 :38 「うん。彩登もいっぱいいっぱい頑張るよ!」
伊織 :39 「(頷いて)アタシと、夜紫乃と、瀬比呂と、彩登は、
みんなが敵を引きつけてくれてるうちに、山腹を抜けて屋敷に侵入。
朱音さまを探すよ。しっかりやろうね」
瀬比呂
彩登
:40_役名 ※「うん」
夜紫乃 :41 「うん。絶対に、お頭を探し出そう」
(夜紫乃・伊織・瀬比呂・彩登、準備のために出て行きます)
(ここから追加シーン  フォルダ名【05-2-02_役名】
(準備のため部屋を出て、廊下を歩く千波流と寿々加)
千波流 :41-01 「………いつだったか…」
寿々加 :41-02 「うん?」
千波流 :41-03 「…だいぶ前になるが…。お頭が、戦の会合のあと
俺たち年長の連中だけを残した事があっただろう」
寿々加 :41-04 「ああ、あれか…。次期頭領の件で話があったときだろ?」
千波流 :41-05 「ああ」
(回想シーンへ)
各務 :41-06 「―――比奈伎を次期頭領に?」
千波流 :41-07 「良いんじゃないか? 現に今、副頭領なのだから、おかしくは無い。
俺は、異存ありません」
朱音 :41-08 「そうか」
寿々加 :41-09 「うー、ん…」
千波流 :41-10 「何だ寿々加、お前は随分煮え切らないようだが」
寿々加 :41-11 「んー…、(朱音に向き合い)比奈伎を次代の頭領とし、
それをみんなで支えていくと言うのには 俺も異存は無い」
朱音 :41-12 「(頷く)そうか」
寿々加 :41-13 「異存は無いけどなあ…」
朱音 :41-14 「無いが、何だ? 寿々加」
各務 :41-15 「あれの技量には問題はないえ。
確かに、比奈伎なら頭領を勤め上げる事が出来るであろ」
寿々加 :41-16 「んー、…何ていうか、そういう事じゃなくてだな」
亜夏刃 :41-17 「…副頭領という今の立場でさえ、己を押さえ込み、
心を隠している状態で、…保つか、と言う事だろう?」
寿々加 :41-18 「…ま、そういう事だ」
朱音 :41-19 「はは、ずいぶん信頼が無いんだな、比奈伎は」
寿々加 :41-20 「そういう事じゃねえよ。…分かってんだろ」
朱音 :41-21 「…(苦笑)…あれも、変な所で頑固だからな。
何が何でも、自分は副頭領として立っていなくてはならない、と、
意固地になってる部分もあるんだろう」
寿々加 :41-22 「(溜息)もう少し肩の力を抜きゃあ、楽になるのになあ」
亜夏刃 :41-23 「全く、その通りだな。…といっても、抜きすぎるのも困るが」
寿々加 :41-24 「…亜夏刃。なんでそこで俺を見るんだよ」
亜夏刃 :41-25 「いや別に」
千波流 :41-26 「それに、次代の頭領候補ともなれば、主にもお許しを
いただかなければならないでしょうし…主はご存知なのですか?」
朱音 :41-27 「いや、それは…折を見て、いずれな」
各務 :41-28 「どのみち、比奈伎本人が承諾しない限り、難しいだろうねえ」
朱音 :41-29 「はは、そうだよな。まあ、頑張って口説き落としてみるさ」
千波流 :41-30 「しかし…何故急にそんな話を…。
貴方が俺たちの頭領で居続ける事に、誰も不満などはないが」
朱音 :41-31 「ははは、嬉しい言葉だな千波流」
千波流 :41-32 「決して世辞では無い。……お頭。何か理由(わけ)でも?」
朱音 :41-33 「(微笑んで)…いや、そんな大したことじゃあないさ。
ただそれでも、私は女子(おなご)だからな。いずれ能力的にも限界が来る」
各務 :41-34 「これは…お頭にしては随分と弱気な言葉だね」
朱音 :41-35 「そうか? 各務、お前はどう思う」
各務 :41-36 「そうだねえ…。我は良いと思うえ。
比奈伎は、多少の無理はあるかも知れないが…
上手く補佐があれば良い頭領としてたつであろ」
朱音 :41-37 「うん、そうだよな」
亜夏刃 :41-38 「しかし…もうすでに、そんな先のことを考えているというのか? お頭は」
朱音 :41-39 「ふふっ…ああ。予め、頼りになる次期頭領の存在と、それを補佐してくれる
心強い仲間がいると分かっていれば、私はいつでも安心して隠居出来るだろう?」
千波流 :41-40 「はははは、隠居、ですか。どうにも想像出来ないが」
各務 :41-41 「ふふ、そうえ。それに、周りが大人しく隠居などさせまいよ」
寿々加 :41-42 「(明るく)ま、そうだよな。例え引っ込んだ所で引きずり出されるのがオチだ」
千波流 :41-43 「それは言えるな(笑う)」
朱音 :41-44 「(笑いながら)なんだ、みんな随分厳しいな」
(だんだん会話がFOして、回想シーンが終わる)
千波流 :41-45 「何故、お頭はあんな時期にそんな話を…と思っていたが―――
漸く合点がいった」
寿々加 :41-46 「…ああ。お頭は―――あの時 既に、覚悟を決めていたんだな―――」
千波流 :41-47 「クソ…ッ、何故気づけなかったんだ…!」
寿々加 :41-48 「千波流―――」
羽霧 :41-49 「(遠くから)―――あ、居た! 千波流、ちょっと手伝ってくれ」
千波流 :41-50 「……っ。…ああ、分かった! …じゃあ、後でな、寿々加」
寿々加 :41-51 「…おう。(見送る)………」
(ここまで追加シーン)
(夜紫乃・伊織・瀬比呂・彩登、準備のために出て行きます/その背を廊下で見送って)
各務 :42 「…みんな、頼むえ」
朱音 :43 「(E・小さく)―――頼む」
各務 :44 「(小さくはっとする)―――(考え込む)」
(そのころ、室内では)
比奈伎 :45 「(息をつく)決まったな」
佐久弥 :46 「うん。決まったね。…実際には攻める側よりも、
私たちしんがりの方が厳しい立場になると思う。
相手が、『まさか攻めてくるわけが無い』と思い込んでいる所に攻め込むから、
屋敷の周りを固めている護衛の武士たちが
我に返った後、それを抑える力が必要だからね」
比奈伎 :47 「ああ」
佐久弥 :48 「それにしても…(苦笑)」
比奈伎 :49 「…なんだ」
佐久弥 :50 「上手くいったから良いものの、…意外と無茶するんだよね」
比奈伎 :51 「うるさいぞ」
佐久弥 :52 「(くすくす)まさか、あんな風に千波流を怒らせて、
先発隊をやらせる事が出来るなんて…思わなかったな」
比奈伎 :53 「仕方ないだろう。
正直に『しんがりが今回の反乱の要なので、俺がなる』と言った所で、
『しんがりは自分の役目だ!』と怒鳴るのが目に見えてる」
佐久弥 :54 「ちょっと強引だったけどね」
比奈伎 :55 「強引でも卑怯でも何でも良い。
今回だけは、しんがりを譲る事は出来ないからな」
佐久弥 :56 「(頷く)陽動はむしろ、先発隊ではなく後方部隊の方だからね。
まず先発隊が敵の目を引き―――そのあと私たちが動けば、
間違いなく私たちを要と見るだろう。
打算的だと思うけど、副頭領の比奈伎がいてくれた方が、敵の目を引きやすい」
比奈伎 :57 「(頷いて)それを隠れ蓑に、横槍が上手く入れば良いんだが」
佐久弥 :58 「うん―――こんな事は言えないけど、先発隊では、
決して主の下には辿り着けないだろうから」
比奈伎 :59 「(頷いて)それに―――だ。
珠菜も言っていた『かなりの実力者たち』が潜んでいる可能性も捨て切れない。
そいつらが、俺たちに食い付いてくれれば良いんだがな」
佐久弥 :60 「その正体も気になるしね―――」
比奈伎 :61 「万一の時は、俺たちが楯になって全員を逃がすつもりでいないとな」
朱音 :62 「(E)佐久弥。比奈伎を頼む―――」
佐久弥 :63 「……比奈。ごめん」
比奈伎 :64 「…? 何のことだ」
佐久弥 :65 「大丈夫だと言ったのに、嘘になってしまった」
比奈伎 :66 「…佐久弥。俺は、まだ駄目だとは思っていない。
これから大丈夫にすれば良いだけの話だろう」
佐久弥 :67 「…そうか。そうだね」
比奈伎 :68 「とにかく今はまだ、主の意思によって…
いや、万一、本当に主が死んだとしてもだ、
それはお頭だけじゃなく、俺たち鬼火一族そのものの存在も
危なくなると言う話だけは、伏せておこう」
佐久弥 :69 「うん、それは私もそう思う。これ以上、いたずらに動揺させる必要はない」
(みんなが出て行ったのを見送って、各務が戻ってくる)
各務 :70 「(何やら考え込んでいる様子)………」
佐久弥 :71 「―――どうかした、各務。難しい顔をして」
各務 :72 「いや―――少し、思い出してな。お頭の言葉を―――」
(回想シーン・総てエコー)
朱音 :73 「睦月は偉いな。こんなにしっかりと武器の手入れもして、最近では作成までする。
私は、良い仲間に恵まれているな」
各務 :74 「―――お頭」
朱音 :75 「(苦笑)……気が引けるか」
各務 :76 「(小さく笑って)それはそうであろ。
これらの武器を調整するのに、あの子は寝る間も惜しんで頑張っておるのだよ?
今夜も、お頭のお刀を研ぐのだと言って、それこそ寝食も忘れてな。
だと言うのに、それを使って、…掟から抜け…
いや、みなの信じている『主』に反するとは―――」
朱音 :77 「それは言ってくれるな。睦月には本当にすまないが…これも皆のためだ。
今の私では、それしか選択肢がないんだ」
各務 :78 「(軽く溜息)それも分かっておるよ。…お頭の、苦渋の選択もな」
朱音 :79 「(苦笑)すまん。私は…おまえたちに甘えてばかりだな」
各務 :80 「(ゆるく首を振って)何を申すやら。それは、こちらの言葉―――」
朱音 :81 「私が戻らない時は―――頼む」
各務 :82 「不吉な事を」
朱音 :83 「私だって、こんな事は口にしたくないが…だが、予感がするんだ」
各務 :84 「予感とは?」
朱音 :85 「―――比奈伎の言葉じゃないが、私たちに戦わせておいて、
姿を全く現さないというのは本当に失礼な話だ。
その上、主が死ねば、私も共に自害だぞ?
私は―――顔も見た事の無いような、そんな人間と共に死ななければならない。
…しかし、それは掟だと言われれば仕方の無い事なんだろう。だが―――

―――おかしいと思わないか?
ただの一度も、おかしいと感じたことはないか?
いつの戦でも、来ている鎧、掲げる旗は確かに違う。
…だが、同じ―――同じ匂い、同じ気配を感じるのはどういう事なんだ―――?
主の敵とは―――私たちの戦っている相手とは―――いったい、誰なんだ?
いや―――。我が『主』とは―――斉彬とは、いったい何者なんだ?」
朱音 :86 「各務―――私が戻らない時は、頼む…」
(ここまでエコー/回想シーン終了)
各務 :87 「(T)そのときの、お頭の顔が―――夢と重なったのだよ」
佐久弥 :88 「―――夢?」
各務 :89 「ああ、以前に話した―――
まだ少女の面影を残したお頭が、我を迎え入れてくれる夢だ」
比奈伎 :90 「…その夢、誰かに聞いた覚えがある」
佐久弥 :91 「ほかにも、見た人が居るの?」
各務 :92 「そうらしい。偶然だが千波流ともその話になってな。
どうやら…あれも、見た覚えがあるらしい」
佐久弥 :93 「その夢―――気になるね」
各務 :94 「たかが夢では無いと言うのかえ?」
佐久弥 :95 「わからないけど…」
各務 :96 「そう言えば―――伊織も、羽霧も珠菜も見たと言っていた。
…此度の事と…関係があると?」
佐久弥 :97 「それはまだ分からない」
比奈伎 :98 「なんにしても―――お頭は、俺たちにすら気づかせないほどに
密やかに、だが長いあいだ『主』を疑っていた事は確かなんだな」
各務 :99 「そうだ。お頭は、総てを語ったわけではないがな」
佐久弥 :100 「…各務は怖くはない? 真実を知ってしまうことが」
各務 :101 「…恐ろしくないと言えば、嘘であろうな。…けれど。
けれど、気に入らぬ。何者の仕組んだ事であろうと、このまま
思い通りに事を運ばせるのは、癪に障ると言うもの…そうであろ?」
比奈伎 :102 「聞くなよ」
佐久弥 :103 「ふふ、私も同じことを思ってたよ」
(ここから追加シーン  フォルダ名【05-2-03_役名】
(場面転換)
亜夏刃 :103-01 「―――佐久弥」
佐久弥 :103-02 「亜夏刃。どうかした?」
亜夏刃 :103-03 「アレはどうだ?」
佐久弥 :103-04 「…アレ? 睦月に作ってもらっている武器の事?」
亜夏刃 :103-05 「いや、それでは無い方の【アレ】だ」
佐久弥 :103-06 「ああ、……アレって(苦笑)。…うん、まあ…大丈夫―――…ではないと思うけど」
亜夏刃 :103-07 「そうか。…だろうな」
佐久弥 :103-08 「うん―――本人は、大丈夫だと思ってるみたいだけどね」
寿々加 :103-09 「―――マジでそう思い込んでる辺り、アブネーというか何と言うか」
亜夏刃 :103-10 「寿々加」
寿々加 :103-11 「あの自覚の無さは何とかならねえもんかな」
佐久弥 :103-12 「言葉で自覚を促したからといって、自覚出来るものでも無いから…」
寿々加 :103-13 「そーだけどよ。(ぼそ)…どこが大丈夫なんだか」
佐久弥 :103-14 「それで、比奈伎は?」
寿々加 :103-15 「支度を終わらせて、みんなの所にいるぜ。
(溜息)…ったく…ひでえ顔してやがって―――バレバレなんだよなァ」
亜夏刃 :103-16 「年中組以下には隠せていると思うが」
寿々加 :103-17 「どうだか」
佐久弥 :103-18 「それは―――大丈夫だと思うよ」
寿々加 :103-19 「…」
亜夏刃 :103-20 「ああ。何にしても…今はそうするしかないだろう」
寿々加 :103-21 「まあ、そーなんだけどな」
佐久弥 :103-22 「…さあ、寿々加、亜夏刃。私たちもそろそろ仕度に入ろう」
亜夏刃 :103-23 「(頷いて)そうだな」
寿々加 :103-24 「アイツなぁ…」
佐久弥 :103-25 「え?」
千波流 :103-26 「(現れて)―――何だ、お前たちこんなところに居たのか。どうした?」
寿々加 :103-27 「ああ、いや、ええと…」
千波流 :103-28 「? なんだ寿々加」
佐久弥 :103-29 「……」
亜夏刃 :103-30 「千波流、そちらの様子はどうだ? みなの準備は進んでいるのか」
千波流 :103-31 「ああ、そうだった。武器をいくつか見て欲しくてな。
亜夏刃、お前を探しに来たところだ」
亜夏刃 :103-32 「了解した。では、行こう」
(去っていく千波流と亜夏刃。見送って)
寿々加 :103-33 「―――さーてと、俺も最終確認してくるかな(独り言)」
佐久弥 :103-34 「―――寿々加」
寿々加 :103-35 「うん?」
佐久弥 :103-36 「―――アイツが、何」
寿々加 :103-37 「…。何でもねえよ」
佐久弥 :103-38 「寿々加」
寿々加 :103-39 「………。(頭をかいて)―――アイツなぁ…震えてたんだよなァ…ずっと」
佐久弥 :103-40 「………」
寿々加 :103-41 「見てるこっちが、怖い―――」
佐久弥 :103-42 「…うん」
(再び回想シーン。夜)
朱音 :103-43 「お前は、比奈伎を次期頭領とするのは不服か? ―――佐久弥」
佐久弥 :103-44 「………私は、特には。貴方が決めた事だから」
朱音 :103-45 「(優しく微笑んで)そうか」
(静かに時が過ぎる)
朱音 :103-46 「私は…、…いや、これは私の我侭なんだ」
佐久弥 :103-47 「……」
朱音 :103-48 「こんな事は決して誰にも言えないが―――自らの全てを、
私の物だと言う―――私のためだけに、その命があるのだと言うあれは…
心強く思う反面、ひどく―――不安なのさ」
佐久弥 :103-49 「…怖いの?」
朱音 :103-50 「私は、…そう、怖いんだ。
比奈は、私が…逝ったあと、私を―――追うのじゃないか、とな」
佐久弥 :103-51 「………朱音」
朱音 :103-52 「こんな事は想像もしたくないが、それでも…きっと、あいつはそうする。
分かりたくも無いのに、分かってしまう。
(小さく微笑んで)それはそれで…その想いは確かに嬉しいさ。
あれほど、想ってくれる事には、本当に…嬉しいと思っている」
佐久弥 :103-53 「…そうだね」
朱音 :103-54 「けれど、私の望みはそんなものじゃない」
佐久弥 :103-55 「うん」
朱音 :103-56 「共に逝くことではなく―――あれには、生きて欲しいんだ」
佐久弥 :103-57 「…うん、そうだね」
朱音 :103-58 「私は、私の唯一の財産でもある『一族』という存在で、
比奈伎をこの現し世に繋ぎ止めたいのさ。
私の頼みと…一族のみながいれば…きっと。
私に何かあっても、追わずにいてくれるよう…
頭領という足枷をつけたいんだ―――身勝手だとは思うがな」
佐久弥 :103-59 「…それでも、それが貴方の望みなら」
朱音 :103-60 「ああ。…佐久弥」
佐久弥 :103-61 「何?」
朱音 :103-62 「今まで私を助けてくれたように、比奈伎を補佐してやってくれるか」
佐久弥 :103-63 「―――そうだね」
朱音 :103-64 「(眼を伏せて、微笑む)そうか」
(静かに月が辺りを照らしている)
朱音 :103-65 「…望む事は多くは無いはずなのに。
…それを守り続けるのは、とても…大変な事だな」
佐久弥 :103-66 「うん。…それでも」
朱音 :103-67 「ああ。―――それでも。私は―――私は」
(回想シーン終わり)
佐久弥 :103-68 「…それでも」
寿々加 :103-69 「え?」
佐久弥 :103-70 「(微笑んで)ううん。…そんな事には、させないから」
寿々加 :103-71 「…佐久弥」
佐久弥 :103-72 「何?」
寿々加 :103-73 「俺は、…お前も心配だぞ?」
佐久弥 :103-74 「…私? 私は―――大丈夫だよ」
(エコー)
朱音 :103-75 「私だとて、最初から何もかも諦めているわけじゃない。
私は、そして、私の一族は生き延びる。生きてみせる。
今は、そのためだけに―――全てを懸ける」
(エコー終わり)
佐久弥 :103-76 「―――私もだよ」
(時は戻って)
各務 :103-77 「…さて。そろそろみなも仕度を終えたであろ―――」
(ここまで追加シーン)
千波流 :104 「(少し遠くから)先発隊、用意出来たぞ!
すでに高見も終えた! 山腹に50程度、残りは屋敷だ!」
佐久弥 :105 「(立ち上がる)―――さあ、行こうか」
(戦場へ移動)
武士2 :106 「たいまつを絶やすな!」
武士3 :107 「鉄砲隊準備!」
武士4 :108 「指示を待て!!」
ガヤ :109_お名前 (多くの武士が指示を待っていてざわざわしています)
「まだか!」「こちらにも松明を!」「もたもたするな、隊列を組め!」など
(林に隠れた状態で、武士たちの様子を探っている)
寿々加 :110 「こりゃあ…」
夜紫乃 :111 「思ったより、すごいね」
千波流 :112 「残りを総動員してるという感じだな。―――行けるか?」
伊織 :113 「大丈夫。瀬比呂の高見を信じてるし。
山腹の方は、楽勝だよ。すぐに屋敷に入ってみせる」
瀬比呂 :114 「うん! 千波流たちも、気をつけてね」
彩登 :115 「正面の方が、ずっと多いんだから!」
千波流 :116 「大丈夫だ」
寿々加 :117 「任せとけ」
夜紫乃 :118 「じゃあ、こっちの武運を祈っててよ」
寿々加 :119 「(力強く笑って頷く)お前もな」
伊織 :120 「行こう!」
(伊織、夜紫乃、瀬比呂、彩登のチーム、別行動開始)
寿々加 :121 「じゃ、俺たちも」
千波流 :122 「行くか!」
(武器を構える)
珠菜 :123 「(大きく息をつく)……」
亜夏刃 :124 「どうした? やはり、いつもの相棒で無ければ不安か?」
珠菜 :125 「あら、そうお思いでしたら、きちんと援護を頼みますわね」
亜夏刃 :126 「(頷く)全力で」
珠菜 :127 「では―――参りましょう」
(武器を構えた亜夏刃と珠菜が突然現れ、驚く武士たち)
ガヤ :128_お名前 「なんだ!?」「どうした!」など驚きを一言
武士1 :129 「―――な、何奴!?」
武士2 :130 「いったいどこから…!!」
珠菜 :131 「さあ皆さま、ご遠慮なさらず…。来ないのであればこちらから参りますわよ!」
武士3 :132 「なんだと!? おなごのクセに生意気な!!」
武士4 :133 「鬼の面だと…面妖な! 妖かしの類ではないのか!?
一刀両断にしてくれる!!」
珠菜 :134 「あらあら…それはこちらの言うべき事ですわ!(武器を一閃)」
武士1 :135 「ぎゃああ!! う、腕があ!」
ガヤ :136_お名前 「うわああ!!」「き、斬れ斬れー!!」「鉄砲隊、構えー!!」
「なんだ!?」「どうした!」悲鳴・驚愕などを一言
大将 :137 「何をもたついておるのだ! たかだか二人ではないか!! 蹴散らせ!!」
珠菜 :138 「仰りますわね…けれど、こちらは量より質で勝負ですわ」
大将 :139 「撃てー!!!!」
(鉄砲連射、かろうじて避ける亜夏刃、珠菜)
亜夏刃 :140 「珠菜!」
珠菜 :141 「(息を整え)大丈夫ですわ」
亜夏刃 :142 「…寿々加の拾ってきた鉄砲、導入しなくて正解だったな」
珠菜 :143 「本当ですわね。あんなものでは―――本来の強さを見誤りますわよ」
(互いに背中を合わせ)
亜夏刃 :144 「珠菜、飛ばしすぎるなよ」
珠菜 :145 「亜夏刃、あなたこそ」
武士2 :146 「騎馬隊前へ―――!!!」
(馬のいななき、何頭も暴れだし、騒然)
ガヤ :147_お名前 「何!?」「どうした!?」「な、何事だ!?」など驚きを一言
武士3 :148 「く、曲者―――!!」
武士4 :149 「こっちも曲者だー!! う、馬がやられた!!」
大将 :150 「なんだと!?」
亜夏刃 :151 「千波流と寿々加だな」
珠菜 :152 「足をつぶすとは、うまいですわね」
亜夏刃 :153 「では俺たちも、もうひと暴れするか」
珠菜 :154 「ですわね。鉄砲隊をつぶしましょう」
(こちら、やや先発隊に遅れて)
各務 :155 「派手にやっておるようだね。良い動きだ」
比奈伎 :156 「…しんがりを務めるのは久方ぶりだ」
佐久弥 :157 「私は、戦に参戦自体が久しぶりだよ」
各務 :158 「腕は鈍っていないかえ?」
比奈伎
佐久弥
:159_役名 ※「もちろん」
武士1 :160 「おぬしらはいったい…!?」
武士2 :161 「いったい、何者なのだ…!?」
亜夏刃 :162 「我らは―――」
朱音 :163 「(E)―――我らは―――」
珠菜 :164 「我らは」
朱音 :165 「(E)我らは鬼火一族!」
寿々加 :166 「我らは鬼火一族!!」
ガヤ :167_お名前 ※「お、鬼火一族だと…!?」など、驚愕を一言
朱音 :168 「(E)ただ今より参戦いたす!」
比奈伎 :169 「これより参戦する!!」
朱音 :170 「(E)武器を退かれよ!」
千波流 :171 「すみやかに武器を退かれよ!!」
(一族の面々、ゆっくりと、歩み出る)
佐久弥 :172 「―――鬼火の頭(かしら)を、迎えに来た」
各務 :173 「さて…返してもらおう」
朱音 :174 「(E)いざ―――」
千波流
各務
寿々加
珠菜
亜夏刃
比奈伎
佐久弥
:175_役名 ※「いざ、参る!!」
 
【〜鬼灯の章〜終わり・神立風の章〜へ続く】