●鬼神楽●
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【〜鬼灯の章・第三話{2}〜】 フォルダ名【ho-zuki03-2_役名】
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キャラ :番号
「セリフ」
寿々加 :01 「…じゃ、武運を祈っててくれ」
千波流 :02 「寿々加、気張れよ」
寿々加 :03 「おう。…死なない程度にな」
(内心どきどきしながら比奈伎に近づく寿々加。どことなくぎこちなく、口調もわざとらしい。
比奈伎、なんとなく警戒)
寿々加 :04 「―――よう、比奈伎!」
比奈伎 :05 「…どうした寿々加。何かあったか」
寿々加 :06 「あ、いや、えーとだな。あ、そうだ! こないだ、久々にお頭と打ち合ったぜ」
比奈伎 :07 「聞いた。見たかったな」
寿々加 :08 「あの人は、やっぱ強いよ」
比奈伎 :09 「当たり前だ」
寿々加 :10 「ああ」
(ややわざとらしく咳払いなどして話題を変えようとする寿々加。
背中には、何やら大きくて細長い包みを背負っているが…)
寿々加 :11 「おっ…と、いけねー、すっかり言い忘れてた!
これな、瀬比呂たちにどうかと思って、睦月に調整しといてもらったヤツ。
何度か試したから安全だぜ」
比奈伎 :12 「…鉄砲じゃないか。どうしたんだ」
寿々加 :13 「拾った」
比奈伎 :14 「抜け抜けと…。
この前の戦から千波流が妙にそわそわしていたのは、これのせいか」
寿々加 :15 「言っとくが、俺が頼んで拾ってきてもらったんだぞ。アイツには関係ない。
…重さは多少キツイかもしれないが、後方支援としては使えるだろ」
比奈伎 :16 「駄目だ」
寿々加 :17 「…言うと思ったぜ…オマエなァ…これで俺の今夜の夕メシは確実にパアだぞ!」
比奈伎 :18 「(溜息)答えを分かっていて、聞いたのはお前だぞ。
だいたい…こんなものをあの二人に持たせるつもりだったのか?」
寿々加 :19 「こんなもんって事はないだろ、これならあいつらは後方にいながら参戦出来る」
比奈伎 :20 「駄目だな。許可出来ない」
寿々加 :21 「何でだよ」
比奈伎 :22 「これでは二人に命を『奪う』感覚が伝わらない。それでは危険だ」
寿々加 :23 「殺しの感覚を、自分の手で感じろって言う持論は分かるが、
それは同時に自分の身の危険だってあるだろうが。
少しでも安全圏にいさせてやりたいんだよ」
比奈伎 :24 「(溜息)…お前は優しすぎる」
寿々加 :25 「…この戦乱の世に、それは無用ってワケかよ」
比奈伎 :26 「…」
寿々加 :27 「お前はいっつもそうだよな。強さでしか人を判断しない…俺は、あいつらを…
瀬比呂や彩登を戦地に、死地のど真ん中に追い込むような事はしたくねーんだ」
比奈伎 :28 「…いつまでも庇えるわけじゃないんだぞ。いつかあの二人も戦地に赴き、
前線にて命がけで戦わなければならない時が、必ず来るんだ」
寿々加 :29 「それを先延ばしにする事の、何がいけない!」
比奈伎 :30 「では先延ばしたとして…後方に万一のことがあって、あの二人が急に前線に
立たなくてはいけなくなったらどうするんだ? 一度も自らの手で
人間の命を奪った事のない者が、いきなり武器を持って相手を殺せると思うのか?
前線に立ったら、お前自身だって自分の事だけで精一杯のはずだ、
そんな事であの二人はどうやって戦う? どうやって守るつもりだ」
寿々加 :31 「後方に万一なんてありえない! 各務もいるし何よりもお頭がいるんだぞ」
比奈伎 :32 「そんな保障がいつまで続くと思ってる! 主はもう…ッ……(ハッとする)
…もう良い。この話は終わりだ。…手間を取らせたな」
寿々加 :33 「主が、どうしたんだよ?」
比奈伎 :34 「何でもない」
寿々加 :35 「何でもないってツラか、それが! 本当に何でもないんなら、それを貫き通せよ!」
比奈伎 :36 「………」
寿々加 :37 「…、な、何だよ…」
比奈伎 :38 「…言う通りだ」
寿々加 :39 「は?」
比奈伎 :40 「お前の、言う通りだ…」
寿々加 :41 「比奈?」
比奈伎 :42 「お前の言う通りなんだ。俺は…強くなんかなれっこない」
寿々加 :43 「比奈伎…?」
比奈伎 :44 「我が主の時代はそう長くない…お頭が言ってたんだ…
主が死ねば、お頭は…、朱音は…」
(初めて、主と朱音との厳しい掟を聞き、激しく驚く寿々加)
寿々加 :45 「…な…何だよそれ…
掟だから、掟だからって、お頭も一緒に、墓に入るってのか…?
まさか、だって今の主が起ってからまだ十五年と経ってねーんだぞ!?
いくらなんでも早すぎるし、めちゃくちゃだ!」
比奈伎 :46 「だがそれが事実なんだ!!」
寿々加 :47 「…っ」
比奈伎 :48 「もたもたしていたら朱音は死ぬんだぞ!! あんな…掟のせいで…ッ!
そんな事になればあの二人も間違いなく、
お前の言う死地のど真ん中に立たされる!
あの二人だけじゃない、一族全員がだ! この俺も、お前も!」
寿々加 :49 「どういう…事だよ」
比奈伎 :50 「寿々加、お前…おかしいと思わないのか? 朱音が頭領に起ったとき―――
ただの一人も、先代頭領の部下が残っていなかった事、
一度も疑問に思った事はないのか!?」
寿々加 :51 「!! け、けど…まさか、そんな…っ」
比奈伎 :52 「主と共に命を絶たなければならないのは、おそらく、頭領だけじゃない―――
このまま掟に従っていたら、先に待つものは、『死』だけだ」
寿々加 :53 「……比奈…お前…」
比奈伎 :54 「………」
寿々加 :55 「お前、まさか」
比奈伎 :56 「…その呼び方は、やめろ」
寿々加 :57 「比奈伎!! お前…まさか、掟を「抜ける」気なのか!?
そんな事したら、お前…ッ!!」
比奈伎 :58 「そんな事は言ってない」
寿々加 :59 「けど…ッ」
比奈伎 :60 「寿々」
寿々加 :61 「…ッ」
比奈伎 :62 「誰にも、言うな」
寿々加 :63 「比奈ッ!!」
(SE:風/戻ってきた寿々加を、期待半分で迎える面々。だが、寿々加はどこかぼうっとした様子)
睦月 :64 「―――おかえりなさい!」
寿々加 :65 「……」
千波流 :66 「…寿々加? どうした?」
寿々加 :67 「いや…」
亜夏刃 :68 「?」
羽霧 :69 「………で?」
伊織 :70 「…どうだったか聞いて良いの?」
寿々加 :71 「あ? …ああ、あ、いや…駄目だった。見事、玉砕」
珠菜 :72 「やっぱりですわねえ…」
夜紫乃 :73 「(真剣な表情で)寿々加」
寿々加 :74 「な、なんだよ」
夜紫乃 :75 「(にかっ)夕飯、みんなで山分けな」
寿々加 :76 「!!! くそー!! やっぱり忘れてなかったかぁ!!」
(会合の間/書状をしまい、部屋に下がろうとする朱音に、意を決して、武器の事を打ち明ける伊織)
朱音 :77 「―――以上で、今回の会合は終わりだ。みんなご苦労だったな、戻って良いぞ」
伊織 :78 「朱音さま。その前に、ちょっと待って下さい」
朱音 :79 「伊織、どうした?」
伊織 :80 「武器の導入を許してもらいたいんです」
朱音 :81 「武器の? 新しいものか」
伊織 :82 「はい。睦月に頼んで…作ってもらいました」
比奈伎 :83 「……そうか。この前の寿々加の『アレ』は、この伏線というわけか」
寿々加 :84 「…すまん」
比奈伎 :85 「という事は、俺が反対するような武器なんだな」
(比奈伎は、極端な火薬嫌いの上、飛び道具もあまり好きではない。
自分の身体の延長線としての武器しか、認めないという持論があるらしい。
みんなは、単なる頑固者だと思っているが、どうやら朱音はワケを知っている?)
睦月 :86 「そ、そうとは限りません!」
各務 :87 「比奈伎。まずはそれを、実際に見てみたらどうえ?」
比奈伎 :88 「必要ない」
伊織 :89 「これは、鉄砲とは違う! 火薬も一切使ってないし…指弾の延長なんだよ!?」
比奈伎 :90 「それでも意味合いは同じだ!」
伊織 :91 「絶対違う!!」
寿々加 :92 「二人とも落ち着けって! まずはゆっくり平和的に話し合おうぜ、な?」
伊織 :93 「(渋々、息を整えて)……これは、火薬を使わずに、バネだけを生かして
飛礫を連射出来る、いわば装置なんだよ。
これなら、比較的軽い力を加えるだけで、強力な指弾と
同じだけの飛礫を、おまけにそれと同じくらいに連射出来る。
指弾の苦手な睦月や、珠菜にだって、実戦で使えるよ」
比奈伎 :94 「指弾は、指弾の出来る者がやれば良いだけの事だろう」
伊織 :95 「比奈伎! 話聞いてよ!」
比奈伎 :96 「聞いてる。それが、確実に力を持つ武器だという事も分かってる」
伊織 :97 「じゃあ…!」
比奈伎 :98 「…とにかく、何を言われようと、俺は反対だ(出て行く)」
(ばん! と引き戸が閉められる)
伊織 :99 「…もう! あの頑固者〜!! アイツ、ちゃんと話の内容、聞いてたワケ?
ねえっ朱音さま、何とか言ってやって下さいよ!」
朱音 :100 「さて…困ったな。何もそこまでして、戦力を高める必要があるか?」
伊織 :101 「…そりゃ、アタシたちは良いんです!
けど…あの二人が実戦に出る日だって近いし」
朱音 :102 「実戦とは言っても、いきなり前線に立たせるわけじゃないさ。
まずは後方支援にて…各務やお前、そして私の手伝いをしてもらう程度だぞ?」
伊織 :103 「それはそうなんですけど」
朱音 :104 「今のままの、お前たちの強さに、私は不安を感じたことは無い。
それでも、必要か?」
伊織 :105 「強さとかじゃなくて…なんていうか」
夜紫乃 :106 「要するにさ、あの二人に何とかして、『助けてもらおう』ってワケなんだよね」
各務 :107 「それはどういう?」
夜紫乃 :108 「あの二人が実戦に出て、大きく役立てば、
自信にもつながるし、自信は強さに繋がるよ」
千波流 :109 「年少組に、『自分たちはみんなを助けることが出来るんだ』と、
気概をもってもらいたいんです」
朱音 :110 「千波流…お前も、そちら派か」
睦月 :111 「微力ですけど、アタシもです」
朱音 :112 「睦月もか…。(ちょっと笑って)その表情からして…羽霧や珠菜もそうか」
羽霧 :113 「まあな」
珠菜 :114 「そういう事になりますわね」
朱音 :115 「さて…困ったな。私は―――比奈伎の考えも、間違いではないと思っているからな」
夜紫乃 :116 「けど、後方に何か無い、とは限らないよ」
比奈伎 :117 「(E)誰にも、言うな」
(比奈伎の言葉を思い出し、寿々加は考え込む。
主が死ねば、朱音はいなくなってしまう、つまり、後方に何かある、という事なのだ)
寿々加 :118 「………」
朱音 :119 「―――寿々加、どうした?」
寿々加 :120 「あ、いや、何でも…」
各務 :121 「寿々加、お前は、どちら派かえ?」
寿々加 :122 「俺は―――俺は…」
(意見を変えてしまった寿々加に、怒り心頭な千波流の激昂が里中に響き渡っている)
千波流 :123 「―――まったく、信じられん!!」
羽霧 :124 「大声を出すなよ、千波流。耳が痛い」
千波流 :125 「信じられん…何なんだいったい!!」
珠菜 :126 「里中に、木霊してますわよ」
千波流 :127 「…土壇場で意見をひっくり返すとは、男の風上にも置けん!!」
寿々加 :128 「しょうがねえだろ! こっちにも、のっぴきならない事情てのがあるんだよ!!」
千波流 :129 「言い訳無用だぞ寿々加!! 何が事情だ! ころころ意見を変えおって!」
寿々加 :130 「ころころは変えてねえだろ!」
亜夏刃 :131 「…これは…ケンカか? だとすれば、良くこんな些細な事で、
目一杯ケンカできるな、お前たちは…。
自分にはいまいち理解出来んが、二人は相当気が合うんだな」
千波流
寿々加
:132_役名 ※「どこが!!」
亜夏刃 :133 「(頷いて)ほらな。息もぴったりだ」
千波流
寿々加
:134_役名 ※「……!!」
珠菜 :135 「…亜夏刃。少し、控えた方がよろしいですわよ」
羽霧 :136 「良いからちょっとだけ、黙っとけ」
亜夏刃 :137 「……。……今のは…禁句だったのか? もしかしなくても」
珠菜 :138 「(神妙な面持ちにて)はい。もしかしなくても」
寿々加 :139 「(はーっと息を吐き出し)…とにかく、アイツがあそこまでこだわるって事は、
それなりの根拠があるって事なんだろーから…」
千波流 :140 「根拠だと!? あの頭でっかちの頑固比奈伎のどこに根拠があるって!?」
寿々加 :141 「(耳を押さえて)そこまで怒鳴ることねえだろ千波流!!」
夜紫乃 :142 「あ〜もう! ちょっと、とにかく落ち着いてよ二人とも!
その根拠が分かれば問題解決なんだろ!?
―――わかったよ、ちゃあんとその根拠とやらを調べるから!
(にっこり)…寿々加がv」
寿々加 :143 「オイ!!」
千波流 :144 「よおし、今度こそ男に二言は無しだぞ、寿々加!」
寿々加 :145 「いや、ていうか、俺が決めたんじゃねえって!」
千波流 :146 「言い逃れするな! 見苦しいぞ!!」
寿々加 :147 「だーもう! 釈明くらいさせろ!!」
羽霧 :148 「―――……ま、結局こういうオチだよな」
珠菜 :149 「実に分かりやすいですわよね」
伊織 :150 「(感心)…けど、さすが夜紫乃だよね…寿々加の使い方を良く分かってるよ」
夜紫乃 :151 「そうかなあ?」
伊織 :152 「上手いよね」
夜紫乃 :153 「そうかな」
伊織 :154 「上手く調べられるのかな」
夜紫乃 :155 「寿々加が何とかするよ」
伊織 :156 「そうだよね」
夜紫乃 :157 「そうだよ」
伊織 :158 「ん〜…、でもさあ…調べるって言ったって、具体的にどうするわけ?」
睦月 :159 「本人が素直に言わないなら、朱音さまに聞いてみれば良いんじゃないでしょうか?
朱音さまなら、きっと本当のわけを知ってると思います。
ちゃんと聞けば、教えてくれると思いますけど…」
伊織 :160 「ああ〜!! それを早く言って欲しかった!!」
(比奈伎がみんなには一線を引いているが、朱音にはそうではないのを、比奈伎本人は隠しているが、
実はみんな知っていたりする。…という事を思い出すのが遅かった…
早く言ってくれればあんなに比奈伎に怒鳴られなくて済んだのに、とちょっと突っ込む伊織)
(出陣の直前、朱音にワケを聞いてみる伊織たち。他の面々は戦の準備中。
みんなの期待通り、やはりワケを知っている朱音さま)
朱音 :161 「―――比奈伎が何故あそこまで、威力のある武器に反対するかって?
そりゃあ、アイツの持論だからさ」
夜紫乃 :162 「ああ…『自らの技量により―――』ってヤツ?
けど、これだって使う側の力量によって、すっごく強力な武器になるよ?」
朱音 :163 「(優しく笑って)そういう事ではないんだ」
伊織 :164 「え?」
朱音 :165 「私はもちろん、お前たちは自らの武器を身体の延長線として扱うだろう?
それによって…相手方の命を確実に奪う。
その感覚は、この身体に深く刻み込まれる。
命を奪うのは並大抵のことではない。
血の臭いも、人の肉の脂の臭いも、この身体に染み付いてしまう。
そういう己を嫌悪する事すらあるだろう。
―――だからこそ、私たちは己の私情などでは決してこの力を使わないだろう?
この装置は、一瞬にして幾人もの命を奪うことが可能だろうな。
だが、それをあの二人が背負いきれるか?」
夜紫乃 :166 「…無理だろうね」
朱音 :167 「(頷いて)少しずつ実戦で経験を積み重ね…
それでもなお、普段から、心も共に更に修練を重ね、
ようやく、私たちのところまでくることが出来るのではないかな。
比奈伎は、あの二人に、命を奪うと言う事の重みを 自らの身体で知り得た上で、
それに打ち勝って欲しいと思ってるのさ」
伊織 :168 「……。…なんか」
朱音 :169 「うん? どうした、伊織」
伊織 :170 「朱音さま…アタシ、バカみたい」
朱音 :171 「(優しく笑って)そんな事は無い。
伊織が誰よりもあの二人のことを思っている事は、比奈伎にも分かっている。
だからこそ、強く反対したのだからな」
千波流 :172 「お頭! 出陣準備が整いました」
朱音 :173 「今行く。…伊織」
伊織 :174 「はい」
朱音 :175 「年少組の援護を頼む」
伊織 :176 「!! ―――それって…!」
朱音 :177 「(力強く頷く)そろそろ、経験をつむ、良い時期なのかもしれないからな」
伊織 :178 「は、はい!!」
朱音 :179 「ただし。今回は、比奈伎の顔を立てて、あの武器の導入は我慢してくれ」
(戦場の近くにて)
伊織 :180 「…夜紫乃あのさ」
夜紫乃 :181 「なに伊織?」
伊織 :182 「もし、もしも、アタシだけで年少組の面倒見切れなくなったら…
援護を頼んでも良い?」
(遠くで、戦が開始したのが聞こえる。後方にて、どきどきしながら呼ばれるのを待つ年少組)
彩登 :183 「…ねえねえ瀬比呂、今度の相手って強いのかな、どうなのかな。
なんだか彩登…どきどきしてきちゃった」
瀬比呂 :184 「ああもうーっ、自分の心臓がすごいうるさいよーっ」
彩登 :185 「実戦に連れてってもらえるなんて…はじめてだもんね…」
伊織 :186 「―――瀬比呂! 彩登! 二人とも、準備は良い?」
彩登 :187 「あ、彩登は、平気!」
瀬比呂 :188 「僕も大丈夫!」
伊織 :189 「よし! 行くよ!!」
(戦に飛び出す伊織、年少組。他の面々はすでに戦いに参加している)
伊織 :190 「二人とも、アタシから離れないでよ!」
彩登 :191 「う、うん!」
瀬比呂 :192 「わかった!」
夜紫乃 :193 「伊織! 後ろは気にしなくて良いから!」
伊織 :194 「うん、ありがと! 夜紫乃、頼りにしてるからね!」
(戦の真っ最中)
朱音 :195 「羽霧、珠菜は巽の方角、寿々加、夜紫乃は艮の方角へ! ―――散れ!!」
寿々加
珠菜
羽霧
夜紫乃
:196_役名 ※「(返事)」
(先ほど伊織に頼られてめちゃめちゃ嬉しい夜紫乃。当然、武器を振るう腕にも力が入ります)
夜紫乃 :197 「ほらほら寿々加、千波流、亜夏刃!! 気を抜いちゃだめじゃんか!
ああ、そっち…一人逃がしたよ、ほら追って、早く!」
寿々加 :198 「オ、オウ!」
夜紫乃 :199 「♪」
(そして何故だか全く分かってない男連中)
寿々加 :200 「(追いながら)…アイツ〜やけに張り切ってないか?」
亜夏刃 :201 「何か良い事でもあったんじゃないのか。昨日の晩飯は、アイツの好物だったしな」
千波流 :202 「単純なヤツだな」
羽霧 :203 「…(疲れたような溜息)単純はどっちだ…
ったく、うちの男どもは鈍いのがそろってるな…」
珠菜 :204 「ですわね…」
各務 :205 「さて―――そろそろ終わりそうだね」
朱音 :206 「よし。みんな、深追いはするなよ! 引き上げだ!」
千波流
寿々加
亜夏刃
珠菜
比奈伎
羽霧
夜紫乃
伊織
睦月
瀬比呂
彩登
:207_役名 ※「(返事)」
(戦が終わって、みんなでいろいろと片付けをしている。比奈伎の背中に思い切って声をかける伊織。
武器の導入の件で比奈伎の本心を知り、謝りたいと思っている)
伊織 :208 「―――あー、あの…比奈伎、あのさ!」
比奈伎 :209 「?」
伊織 :210 「えーとぉ……(いざとなると謝りにくい)」
比奈伎 :211 「…? …なんだ?」
伊織 :212 「あの……ごめん!!!」
羽霧 :213 「あ、それ俺も連盟で!」
珠菜 :214 「わたくしも便乗を」
睦月 :215 「ア、アタシも…」
夜紫乃 :216 「ここは一つ、男らしく」
寿々加 :217 「みんなで謝りゃ怖くない」
千波流 :218 「と、いうわけで」
千波流
寿々加
珠菜
羽霧
夜紫乃
伊織
睦月
:219_役名 ※「すまん!!!」
※「悪い!!」
※「ごめんなさいませね」
※「悪かった!」
※「ごめん!」
※「ごめん!!」
※「ごめんなさい!!」
比奈伎 :220 「……。(ちょっと笑って)……別に気にしていない」
伊織 :221 「そっか、良かった」
比奈伎 :222 「…伊織、睦月。俺の方こそ、怒鳴って悪かったな」
伊織 :223 「ううん」
睦月 :224 「(ほっとする)いいえ」
珠菜 :225 「……あら? 亜夏刃、どうなさいました? そんな物陰で」
羽霧 :226 「しかも全然隠れきれてねえけど」
亜夏刃 :227 「…………。…出遅れたんだ…」
千波流
寿々加
珠菜
羽霧
夜紫乃
伊織
睦月
:228_役名 ※「(笑)」
(頭領の屋敷にて。ある決意をする朱音)
各務 :229 「―――お頭」
朱音 :230 「(書状をばさり、と広げる)…。(やや溜息)とうとうこの時が来たな」
各務 :231 「はい」
朱音 :232 「首尾良く運ぶように…尽力するさ」
(馬に乗っている朱音を見上げる各務)
朱音 :233 「では、行ってくる」
各務 :234 「お気をつけて。ご武運をお祈り申し上げる」
朱音 :235 「ああ。…こんな事は、主の前では、決して大きな声では言えないが…
私にとって、何よりも大事なものはお前たち一族だからな。
比奈伎の言葉じゃないが…主よりもだ」
各務 :236 「はい」
朱音 :237 「…では、また後で会おう、各務」
各務 :238 「―――必ず」
朱音 :239 「ハイッ!(鞭を入れて馬を走らせる)」
(SE:馬が走り去る)
佐久弥 :240 「…お頭は、とうとう行ってしまったね」
各務 :241 「ああ。…(ためいき)」
佐久弥 :242 「どうしたの、各務?」
各務 :243 「…千波流の激昂が聞こえてくるようだ」
佐久弥 :244 「ふふ…でも仕方ないよ。私たちはそれだけの事をしている」
各務 :245 「比奈伎の方は任せる」
佐久弥 :246 「うん」
各務 :247 「佐久弥」
佐久弥 :248 「うん?」
各務 :249 「すまぬな」
佐久弥 :250 「とんでもない。…一人でやるよりは、きっと効率的だと思うよ」
(そんな朱音たちの思いは露ほども知らず、今日の戦での自分たちの動きを
報告したくてたまらない年少組が、朱音を探し回っていた)
彩登 :251 「(走ってくる)瀬比呂ー!」
瀬比呂 :252 「彩登! いた?」
彩登 :253 「ううん。朱音さま、また主の所だって」
瀬比呂 :254 「ええ〜? また〜? こないだ呼ばれたばっかなのに。つまんないなあ」
彩登 :255 「朱音さま、早く戻ってこないかなあ!」
瀬比呂 :256 「朱音さまが帰ってきたら、いっぱい報告したいことがあるのにね」
彩登 :257 「うん!!」
 
【第三話{2}終わり・第四話に続く】