●鬼神楽● ――――――――――――――――――――――――― 【〜鬼灯の章・第三話{2}〜】 フォルダ名【ho-zuki03-2_役名】 ――――――――――――――――――――――――― | ||
キャラ | :番号 | |
寿々加 | :01 | 「…じゃ、武運を祈っててくれ」 |
千波流 | :02 | 「寿々加、気張れよ」 |
寿々加 | :03 | 「おう。…死なない程度にな」 |
(内心どきどきしながら比奈伎に近づく寿々加。どことなくぎこちなく、口調もわざとらしい。 比奈伎、なんとなく警戒) | ||
寿々加 | :04 | 「―――よう、比奈伎!」 |
比奈伎 | :05 | 「…どうした寿々加。何かあったか」 |
寿々加 | :06 | 「あ、いや、えーとだな。あ、そうだ! こないだ、久々にお頭と打ち合ったぜ」 |
比奈伎 | :07 | 「聞いた。見たかったな」 |
寿々加 | :08 | 「あの人は、やっぱ強いよ」 |
比奈伎 | :09 | 「当たり前だ」 |
寿々加 | :10 | 「ああ」 |
(ややわざとらしく咳払いなどして話題を変えようとする寿々加。 背中には、何やら大きくて細長い包みを背負っているが…) | ||
寿々加 | :11 | 「おっ…と、いけねー、すっかり言い忘れてた! これな、瀬比呂たちにどうかと思って、睦月に調整しといてもらったヤツ。 何度か試したから安全だぜ」 |
比奈伎 | :12 | 「…鉄砲じゃないか。どうしたんだ」 |
寿々加 | :13 | 「拾った」 |
比奈伎 | :14 | 「抜け抜けと…。 この前の戦から千波流が妙にそわそわしていたのは、これのせいか」 |
寿々加 | :15 | 「言っとくが、俺が頼んで拾ってきてもらったんだぞ。アイツには関係ない。 …重さは多少キツイかもしれないが、後方支援としては使えるだろ」 |
比奈伎 | :16 | 「駄目だ」 |
寿々加 | :17 | 「…言うと思ったぜ…オマエなァ…これで俺の今夜の夕メシは確実にパアだぞ!」 |
比奈伎 | :18 | 「(溜息)答えを分かっていて、聞いたのはお前だぞ。 だいたい…こんなものをあの二人に持たせるつもりだったのか?」 |
寿々加 | :19 | 「こんなもんって事はないだろ、これならあいつらは後方にいながら参戦出来る」 |
比奈伎 | :20 | 「駄目だな。許可出来ない」 |
寿々加 | :21 | 「何でだよ」 |
比奈伎 | :22 | 「これでは二人に命を『奪う』感覚が伝わらない。それでは危険だ」 |
寿々加 | :23 | 「殺しの感覚を、自分の手で感じろって言う持論は分かるが、 それは同時に自分の身の危険だってあるだろうが。 少しでも安全圏にいさせてやりたいんだよ」 |
比奈伎 | :24 | 「(溜息)…お前は優しすぎる」 |
寿々加 | :25 | 「…この戦乱の世に、それは無用ってワケかよ」 |
比奈伎 | :26 | 「…」 |
寿々加 | :27 | 「お前はいっつもそうだよな。強さでしか人を判断しない…俺は、あいつらを… 瀬比呂や彩登を戦地に、死地のど真ん中に追い込むような事はしたくねーんだ」 |
比奈伎 | :28 | 「…いつまでも庇えるわけじゃないんだぞ。いつかあの二人も戦地に赴き、 前線にて命がけで戦わなければならない時が、必ず来るんだ」 |
寿々加 | :29 | 「それを先延ばしにする事の、何がいけない!」 |
比奈伎 | :30 | 「では先延ばしたとして…後方に万一のことがあって、あの二人が急に前線に 立たなくてはいけなくなったらどうするんだ? 一度も自らの手で 人間の命を奪った事のない者が、いきなり武器を持って相手を殺せると思うのか? 前線に立ったら、お前自身だって自分の事だけで精一杯のはずだ、 そんな事であの二人はどうやって戦う? どうやって守るつもりだ」 |
寿々加 | :31 | 「後方に万一なんてありえない! 各務もいるし何よりもお頭がいるんだぞ」 |
比奈伎 | :32 | 「そんな保障がいつまで続くと思ってる! 主はもう…ッ……(ハッとする) …もう良い。この話は終わりだ。…手間を取らせたな」 |
寿々加 | :33 | 「主が、どうしたんだよ?」 |
比奈伎 | :34 | 「何でもない」 |
寿々加 | :35 | 「何でもないってツラか、それが! 本当に何でもないんなら、それを貫き通せよ!」 |
比奈伎 | :36 | 「………」 |
寿々加 | :37 | 「…、な、何だよ…」 |
比奈伎 | :38 | 「…言う通りだ」 |
寿々加 | :39 | 「は?」 |
比奈伎 | :40 | 「お前の、言う通りだ…」 |
寿々加 | :41 | 「比奈?」 |
比奈伎 | :42 | 「お前の言う通りなんだ。俺は…強くなんかなれっこない」 |
寿々加 | :43 | 「比奈伎…?」 |
比奈伎 | :44 | 「我が主の時代はそう長くない…お頭が言ってたんだ… 主が死ねば、お頭は…、朱音は…」 |
(初めて、主と朱音との厳しい掟を聞き、激しく驚く寿々加) | ||
寿々加 | :45 | 「…な…何だよそれ… 掟だから、掟だからって、お頭も一緒に、墓に入るってのか…? まさか、だって今の主が起ってからまだ十五年と経ってねーんだぞ!? いくらなんでも早すぎるし、めちゃくちゃだ!」 |
比奈伎 | :46 | 「だがそれが事実なんだ!!」 |
寿々加 | :47 | 「…っ」 |
比奈伎 | :48 | 「もたもたしていたら朱音は死ぬんだぞ!! あんな…掟のせいで…ッ! そんな事になればあの二人も間違いなく、 お前の言う死地のど真ん中に立たされる! あの二人だけじゃない、一族全員がだ! この俺も、お前も!」 |
寿々加 | :49 | 「どういう…事だよ」 |
比奈伎 | :50 | 「寿々加、お前…おかしいと思わないのか? 朱音が頭領に起ったとき――― ただの一人も、先代頭領の部下が残っていなかった事、 一度も疑問に思った事はないのか!?」 |
寿々加 | :51 | 「!! け、けど…まさか、そんな…っ」 |
比奈伎 | :52 | 「主と共に命を絶たなければならないのは、おそらく、頭領だけじゃない――― このまま掟に従っていたら、先に待つものは、『死』だけだ」 |
寿々加 | :53 | 「……比奈…お前…」 |
比奈伎 | :54 | 「………」 |
寿々加 | :55 | 「お前、まさか」 |
比奈伎 | :56 | 「…その呼び方は、やめろ」 |
寿々加 | :57 | 「比奈伎!! お前…まさか、掟を「抜ける」気なのか!? そんな事したら、お前…ッ!!」 |
比奈伎 | :58 | 「そんな事は言ってない」 |
寿々加 | :59 | 「けど…ッ」 |
比奈伎 | :60 | 「寿々」 |
寿々加 | :61 | 「…ッ」 |
比奈伎 | :62 | 「誰にも、言うな」 |
寿々加 | :63 | 「比奈ッ!!」 |
(SE:風/戻ってきた寿々加を、期待半分で迎える面々。だが、寿々加はどこかぼうっとした様子) | ||
睦月 | :64 | 「―――おかえりなさい!」 |
寿々加 | :65 | 「……」 |
千波流 | :66 | 「…寿々加? どうした?」 |
寿々加 | :67 | 「いや…」 |
亜夏刃 | :68 | 「?」 |
羽霧 | :69 | 「………で?」 |
伊織 | :70 | 「…どうだったか聞いて良いの?」 |
寿々加 | :71 | 「あ? …ああ、あ、いや…駄目だった。見事、玉砕」 |
珠菜 | :72 | 「やっぱりですわねえ…」 |
夜紫乃 | :73 | 「(真剣な表情で)寿々加」 |
寿々加 | :74 | 「な、なんだよ」 |
夜紫乃 | :75 | 「(にかっ)夕飯、みんなで山分けな」 |
寿々加 | :76 | 「!!! くそー!! やっぱり忘れてなかったかぁ!!」 |
(会合の間/書状をしまい、部屋に下がろうとする朱音に、意を決して、武器の事を打ち明ける伊織) | ||
朱音 | :77 | 「―――以上で、今回の会合は終わりだ。みんなご苦労だったな、戻って良いぞ」 |
伊織 | :78 | 「朱音さま。その前に、ちょっと待って下さい」 |
朱音 | :79 | 「伊織、どうした?」 |
伊織 | :80 | 「武器の導入を許してもらいたいんです」 |
朱音 | :81 | 「武器の? 新しいものか」 |
伊織 | :82 | 「はい。睦月に頼んで…作ってもらいました」 |
比奈伎 | :83 | 「……そうか。この前の寿々加の『アレ』は、この伏線というわけか」 |
寿々加 | :84 | 「…すまん」 |
比奈伎 | :85 | 「という事は、俺が反対するような武器なんだな」 |
(比奈伎は、極端な火薬嫌いの上、飛び道具もあまり好きではない。 自分の身体の延長線としての武器しか、認めないという持論があるらしい。 みんなは、単なる頑固者だと思っているが、どうやら朱音はワケを知っている?) | ||
睦月 | :86 | 「そ、そうとは限りません!」 |
各務 | :87 | 「比奈伎。まずはそれを、実際に見てみたらどうえ?」 |
比奈伎 | :88 | 「必要ない」 |
伊織 | :89 | 「これは、鉄砲とは違う! 火薬も一切使ってないし…指弾の延長なんだよ!?」 |
比奈伎 | :90 | 「それでも意味合いは同じだ!」 |
伊織 | :91 | 「絶対違う!!」 |
寿々加 | :92 | 「二人とも落ち着けって! まずはゆっくり平和的に話し合おうぜ、な?」 |
伊織 | :93 | 「(渋々、息を整えて)……これは、火薬を使わずに、バネだけを生かして 飛礫を連射出来る、いわば装置なんだよ。 これなら、比較的軽い力を加えるだけで、強力な指弾と 同じだけの飛礫を、おまけにそれと同じくらいに連射出来る。 指弾の苦手な睦月や、珠菜にだって、実戦で使えるよ」 |
比奈伎 | :94 | 「指弾は、指弾の出来る者がやれば良いだけの事だろう」 |
伊織 | :95 | 「比奈伎! 話聞いてよ!」 |
比奈伎 | :96 | 「聞いてる。それが、確実に力を持つ武器だという事も分かってる」 |
伊織 | :97 | 「じゃあ…!」 |
比奈伎 | :98 | 「…とにかく、何を言われようと、俺は反対だ(出て行く)」 |
(ばん! と引き戸が閉められる) | ||
伊織 | :99 | 「…もう! あの頑固者〜!! アイツ、ちゃんと話の内容、聞いてたワケ? ねえっ朱音さま、何とか言ってやって下さいよ!」 |
朱音 | :100 | 「さて…困ったな。何もそこまでして、戦力を高める必要があるか?」 |
伊織 | :101 | 「…そりゃ、アタシたちは良いんです! けど…あの二人が実戦に出る日だって近いし」 |
朱音 | :102 | 「実戦とは言っても、いきなり前線に立たせるわけじゃないさ。 まずは後方支援にて…各務やお前、そして私の手伝いをしてもらう程度だぞ?」 |
伊織 | :103 | 「それはそうなんですけど」 |
朱音 | :104 | 「今のままの、お前たちの強さに、私は不安を感じたことは無い。 それでも、必要か?」 |
伊織 | :105 | 「強さとかじゃなくて…なんていうか」 |
夜紫乃 | :106 | 「要するにさ、あの二人に何とかして、『助けてもらおう』ってワケなんだよね」 |
各務 | :107 | 「それはどういう?」 |
夜紫乃 | :108 | 「あの二人が実戦に出て、大きく役立てば、 自信にもつながるし、自信は強さに繋がるよ」 |
千波流 | :109 | 「年少組に、『自分たちはみんなを助けることが出来るんだ』と、 気概をもってもらいたいんです」 |
朱音 | :110 | 「千波流…お前も、そちら派か」 |
睦月 | :111 | 「微力ですけど、アタシもです」 |
朱音 | :112 | 「睦月もか…。(ちょっと笑って)その表情からして…羽霧や珠菜もそうか」 |
羽霧 | :113 | 「まあな」 |
珠菜 | :114 | 「そういう事になりますわね」 |
朱音 | :115 | 「さて…困ったな。私は―――比奈伎の考えも、間違いではないと思っているからな」 |
夜紫乃 | :116 | 「けど、後方に何か無い、とは限らないよ」 |
比奈伎 | :117 | 「(E)誰にも、言うな」 |
(比奈伎の言葉を思い出し、寿々加は考え込む。 主が死ねば、朱音はいなくなってしまう、つまり、後方に何かある、という事なのだ) | ||
寿々加 | :118 | 「………」 |
朱音 | :119 | 「―――寿々加、どうした?」 |
寿々加 | :120 | 「あ、いや、何でも…」 |
各務 | :121 | 「寿々加、お前は、どちら派かえ?」 |
寿々加 | :122 | 「俺は―――俺は…」 |
(意見を変えてしまった寿々加に、怒り心頭な千波流の激昂が里中に響き渡っている) | ||
千波流 | :123 | 「―――まったく、信じられん!!」 |
羽霧 | :124 | 「大声を出すなよ、千波流。耳が痛い」 |
千波流 | :125 | 「信じられん…何なんだいったい!!」 |
珠菜 | :126 | 「里中に、木霊してますわよ」 |
千波流 | :127 | 「…土壇場で意見をひっくり返すとは、男の風上にも置けん!!」 |
寿々加 | :128 | 「しょうがねえだろ! こっちにも、のっぴきならない事情てのがあるんだよ!!」 |
千波流 | :129 | 「言い訳無用だぞ寿々加!! 何が事情だ! ころころ意見を変えおって!」 |
寿々加 | :130 | 「ころころは変えてねえだろ!」 |
亜夏刃 | :131 | 「…これは…ケンカか? だとすれば、良くこんな些細な事で、 目一杯ケンカできるな、お前たちは…。 自分にはいまいち理解出来んが、二人は相当気が合うんだな」 |
千波流 寿々加 |
:132_役名 | ※「どこが!!」 |
亜夏刃 | :133 | 「(頷いて)ほらな。息もぴったりだ」 |
千波流 寿々加 |
:134_役名 | ※「……!!」 |
珠菜 | :135 | 「…亜夏刃。少し、控えた方がよろしいですわよ」 |
羽霧 | :136 | 「良いからちょっとだけ、黙っとけ」 |
亜夏刃 | :137 | 「……。……今のは…禁句だったのか? もしかしなくても」 |
珠菜 | :138 | 「(神妙な面持ちにて)はい。もしかしなくても」 |
寿々加 | :139 | 「(はーっと息を吐き出し)…とにかく、アイツがあそこまでこだわるって事は、 それなりの根拠があるって事なんだろーから…」 |
千波流 | :140 | 「根拠だと!? あの頭でっかちの頑固比奈伎のどこに根拠があるって!?」 |
寿々加 | :141 | 「(耳を押さえて)そこまで怒鳴ることねえだろ千波流!!」 |
夜紫乃 | :142 | 「あ〜もう! ちょっと、とにかく落ち着いてよ二人とも! その根拠が分かれば問題解決なんだろ!? ―――わかったよ、ちゃあんとその根拠とやらを調べるから! (にっこり)…寿々加がv」 |
寿々加 | :143 | 「オイ!!」 |
千波流 | :144 | 「よおし、今度こそ男に二言は無しだぞ、寿々加!」 |
寿々加 | :145 | 「いや、ていうか、俺が決めたんじゃねえって!」 |
千波流 | :146 | 「言い逃れするな! 見苦しいぞ!!」 |
寿々加 | :147 | 「だーもう! 釈明くらいさせろ!!」 |
羽霧 | :148 | 「―――……ま、結局こういうオチだよな」 |
珠菜 | :149 | 「実に分かりやすいですわよね」 |
伊織 | :150 | 「(感心)…けど、さすが夜紫乃だよね…寿々加の使い方を良く分かってるよ」 |
夜紫乃 | :151 | 「そうかなあ?」 |
伊織 | :152 | 「上手いよね」 |
夜紫乃 | :153 | 「そうかな」 |
伊織 | :154 | 「上手く調べられるのかな」 |
夜紫乃 | :155 | 「寿々加が何とかするよ」 |
伊織 | :156 | 「そうだよね」 |
夜紫乃 | :157 | 「そうだよ」 |
伊織 | :158 | 「ん〜…、でもさあ…調べるって言ったって、具体的にどうするわけ?」 |
睦月 | :159 | 「本人が素直に言わないなら、朱音さまに聞いてみれば良いんじゃないでしょうか? 朱音さまなら、きっと本当のわけを知ってると思います。 ちゃんと聞けば、教えてくれると思いますけど…」 |
伊織 | :160 | 「ああ〜!! それを早く言って欲しかった!!」 |
(比奈伎がみんなには一線を引いているが、朱音にはそうではないのを、比奈伎本人は隠しているが、 実はみんな知っていたりする。…という事を思い出すのが遅かった… 早く言ってくれればあんなに比奈伎に怒鳴られなくて済んだのに、とちょっと突っ込む伊織) | ||
(出陣の直前、朱音にワケを聞いてみる伊織たち。他の面々は戦の準備中。 みんなの期待通り、やはりワケを知っている朱音さま) | ||
朱音 | :161 | 「―――比奈伎が何故あそこまで、威力のある武器に反対するかって? そりゃあ、アイツの持論だからさ」 |
夜紫乃 | :162 | 「ああ…『自らの技量により―――』ってヤツ? けど、これだって使う側の力量によって、すっごく強力な武器になるよ?」 |
朱音 | :163 | 「(優しく笑って)そういう事ではないんだ」 |
伊織 | :164 | 「え?」 |
朱音 | :165 | 「私はもちろん、お前たちは自らの武器を身体の延長線として扱うだろう? それによって…相手方の命を確実に奪う。 その感覚は、この身体に深く刻み込まれる。 命を奪うのは並大抵のことではない。 血の臭いも、人の肉の脂の臭いも、この身体に染み付いてしまう。 そういう己を嫌悪する事すらあるだろう。 ―――だからこそ、私たちは己の私情などでは決してこの力を使わないだろう? この装置は、一瞬にして幾人もの命を奪うことが可能だろうな。 だが、それをあの二人が背負いきれるか?」 |
夜紫乃 | :166 | 「…無理だろうね」 |
朱音 | :167 | 「(頷いて)少しずつ実戦で経験を積み重ね… それでもなお、普段から、心も共に更に修練を重ね、 ようやく、私たちのところまでくることが出来るのではないかな。 比奈伎は、あの二人に、命を奪うと言う事の重みを 自らの身体で知り得た上で、 それに打ち勝って欲しいと思ってるのさ」 |
伊織 | :168 | 「……。…なんか」 |
朱音 | :169 | 「うん? どうした、伊織」 |
伊織 | :170 | 「朱音さま…アタシ、バカみたい」 |
朱音 | :171 | 「(優しく笑って)そんな事は無い。 伊織が誰よりもあの二人のことを思っている事は、比奈伎にも分かっている。 だからこそ、強く反対したのだからな」 |
千波流 | :172 | 「お頭! 出陣準備が整いました」 |
朱音 | :173 | 「今行く。…伊織」 |
伊織 | :174 | 「はい」 |
朱音 | :175 | 「年少組の援護を頼む」 |
伊織 | :176 | 「!! ―――それって…!」 |
朱音 | :177 | 「(力強く頷く)そろそろ、経験をつむ、良い時期なのかもしれないからな」 |
伊織 | :178 | 「は、はい!!」 |
朱音 | :179 | 「ただし。今回は、比奈伎の顔を立てて、あの武器の導入は我慢してくれ」 |
(戦場の近くにて) | ||
伊織 | :180 | 「…夜紫乃あのさ」 |
夜紫乃 | :181 | 「なに伊織?」 |
伊織 | :182 | 「もし、もしも、アタシだけで年少組の面倒見切れなくなったら… 援護を頼んでも良い?」 |
(遠くで、戦が開始したのが聞こえる。後方にて、どきどきしながら呼ばれるのを待つ年少組) | ||
彩登 | :183 | 「…ねえねえ瀬比呂、今度の相手って強いのかな、どうなのかな。 なんだか彩登…どきどきしてきちゃった」 |
瀬比呂 | :184 | 「ああもうーっ、自分の心臓がすごいうるさいよーっ」 |
彩登 | :185 | 「実戦に連れてってもらえるなんて…はじめてだもんね…」 |
伊織 | :186 | 「―――瀬比呂! 彩登! 二人とも、準備は良い?」 |
彩登 | :187 | 「あ、彩登は、平気!」 |
瀬比呂 | :188 | 「僕も大丈夫!」 |
伊織 | :189 | 「よし! 行くよ!!」 |
(戦に飛び出す伊織、年少組。他の面々はすでに戦いに参加している) | ||
伊織 | :190 | 「二人とも、アタシから離れないでよ!」 |
彩登 | :191 | 「う、うん!」 |
瀬比呂 | :192 | 「わかった!」 |
夜紫乃 | :193 | 「伊織! 後ろは気にしなくて良いから!」 |
伊織 | :194 | 「うん、ありがと! 夜紫乃、頼りにしてるからね!」 |
(戦の真っ最中) | ||
朱音 | :195 | 「羽霧、珠菜は巽の方角、寿々加、夜紫乃は艮の方角へ! ―――散れ!!」 |
寿々加 珠菜 羽霧 夜紫乃 |
:196_役名 | ※「(返事)」 |
(先ほど伊織に頼られてめちゃめちゃ嬉しい夜紫乃。当然、武器を振るう腕にも力が入ります) | ||
夜紫乃 | :197 | 「ほらほら寿々加、千波流、亜夏刃!! 気を抜いちゃだめじゃんか! ああ、そっち…一人逃がしたよ、ほら追って、早く!」 |
寿々加 | :198 | 「オ、オウ!」 |
夜紫乃 | :199 | 「♪」 |
(そして何故だか全く分かってない男連中) | ||
寿々加 | :200 | 「(追いながら)…アイツ〜やけに張り切ってないか?」 |
亜夏刃 | :201 | 「何か良い事でもあったんじゃないのか。昨日の晩飯は、アイツの好物だったしな」 |
千波流 | :202 | 「単純なヤツだな」 |
羽霧 | :203 | 「…(疲れたような溜息)単純はどっちだ… ったく、うちの男どもは鈍いのがそろってるな…」 |
珠菜 | :204 | 「ですわね…」 |
各務 | :205 | 「さて―――そろそろ終わりそうだね」 |
朱音 | :206 | 「よし。みんな、深追いはするなよ! 引き上げだ!」 |
千波流 寿々加 亜夏刃 珠菜 比奈伎 羽霧 夜紫乃 伊織 睦月 瀬比呂 彩登 |
:207_役名 | ※「(返事)」 |
(戦が終わって、みんなでいろいろと片付けをしている。比奈伎の背中に思い切って声をかける伊織。 武器の導入の件で比奈伎の本心を知り、謝りたいと思っている) | ||
伊織 | :208 | 「―――あー、あの…比奈伎、あのさ!」 |
比奈伎 | :209 | 「?」 |
伊織 | :210 | 「えーとぉ……(いざとなると謝りにくい)」 |
比奈伎 | :211 | 「…? …なんだ?」 |
伊織 | :212 | 「あの……ごめん!!!」 |
羽霧 | :213 | 「あ、それ俺も連盟で!」 |
珠菜 | :214 | 「わたくしも便乗を」 |
睦月 | :215 | 「ア、アタシも…」 |
夜紫乃 | :216 | 「ここは一つ、男らしく」 |
寿々加 | :217 | 「みんなで謝りゃ怖くない」 |
千波流 | :218 | 「と、いうわけで」 |
千波流 寿々加 珠菜 羽霧 夜紫乃 伊織 睦月 |
:219_役名 | ※「すまん!!!」 ※「悪い!!」 ※「ごめんなさいませね」 ※「悪かった!」 ※「ごめん!」 ※「ごめん!!」 ※「ごめんなさい!!」 |
比奈伎 | :220 | 「……。(ちょっと笑って)……別に気にしていない」 |
伊織 | :221 | 「そっか、良かった」 |
比奈伎 | :222 | 「…伊織、睦月。俺の方こそ、怒鳴って悪かったな」 |
伊織 | :223 | 「ううん」 |
睦月 | :224 | 「(ほっとする)いいえ」 |
珠菜 | :225 | 「……あら? 亜夏刃、どうなさいました? そんな物陰で」 |
羽霧 | :226 | 「しかも全然隠れきれてねえけど」 |
亜夏刃 | :227 | 「…………。…出遅れたんだ…」 |
千波流 寿々加 珠菜 羽霧 夜紫乃 伊織 睦月 |
:228_役名 | ※「(笑)」 |
(頭領の屋敷にて。ある決意をする朱音) | ||
各務 | :229 | 「―――お頭」 |
朱音 | :230 | 「(書状をばさり、と広げる)…。(やや溜息)とうとうこの時が来たな」 |
各務 | :231 | 「はい」 |
朱音 | :232 | 「首尾良く運ぶように…尽力するさ」 |
(馬に乗っている朱音を見上げる各務) | ||
朱音 | :233 | 「では、行ってくる」 |
各務 | :234 | 「お気をつけて。ご武運をお祈り申し上げる」 |
朱音 | :235 | 「ああ。…こんな事は、主の前では、決して大きな声では言えないが… 私にとって、何よりも大事なものはお前たち一族だからな。 比奈伎の言葉じゃないが…主よりもだ」 |
各務 | :236 | 「はい」 |
朱音 | :237 | 「…では、また後で会おう、各務」 |
各務 | :238 | 「―――必ず」 |
朱音 | :239 | 「ハイッ!(鞭を入れて馬を走らせる)」 |
(SE:馬が走り去る) | ||
佐久弥 | :240 | 「…お頭は、とうとう行ってしまったね」 |
各務 | :241 | 「ああ。…(ためいき)」 |
佐久弥 | :242 | 「どうしたの、各務?」 |
各務 | :243 | 「…千波流の激昂が聞こえてくるようだ」 |
佐久弥 | :244 | 「ふふ…でも仕方ないよ。私たちはそれだけの事をしている」 |
各務 | :245 | 「比奈伎の方は任せる」 |
佐久弥 | :246 | 「うん」 |
各務 | :247 | 「佐久弥」 |
佐久弥 | :248 | 「うん?」 |
各務 | :249 | 「すまぬな」 |
佐久弥 | :250 | 「とんでもない。…一人でやるよりは、きっと効率的だと思うよ」 |
(そんな朱音たちの思いは露ほども知らず、今日の戦での自分たちの動きを 報告したくてたまらない年少組が、朱音を探し回っていた) | ||
彩登 | :251 | 「(走ってくる)瀬比呂ー!」 |
瀬比呂 | :252 | 「彩登! いた?」 |
彩登 | :253 | 「ううん。朱音さま、また主の所だって」 |
瀬比呂 | :254 | 「ええ〜? また〜? こないだ呼ばれたばっかなのに。つまんないなあ」 |
彩登 | :255 | 「朱音さま、早く戻ってこないかなあ!」 |
瀬比呂 | :256 | 「朱音さまが帰ってきたら、いっぱい報告したいことがあるのにね」 |
彩登 | :257 | 「うん!!」 |