●鬼神楽●
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【〜鬼灯の章・第三話{1}〜】 フォルダ名【ho-zuki03-1_役名】
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キャラ :番号
「セリフ」
(爽やかな朝。修練場にて、年少組が訓練中、朱音が近寄る)
彩登 :01 「あ! 朱音さまー!」
朱音 :02 「彩登は今日も朝から剣術の修練か」
彩登 :03 「彩登はもっともっと強くなって、朱音さまをお助けするの!」
朱音 :04 「そうか、では期待しているぞ。いつか私の隣に立て」
彩登 :05 「はい!」
瀬比呂 :06 「ずるいよ、僕だってずっとずっと訓練してるんだよ!?
朱音さまのお役に立つのは、絶対に僕の方が先! だから、朱音さまの隣も僕!」
彩登 :07 「彩登が先に頼まれたもん!」
瀬比呂 :08 「ええー!? 早い者勝ちなんてずるいよお!」
朱音 :09 「ハハハ! 頼もしいな、彩登、瀬比呂!」
各務 :10 「(少し遠くから呼びかける)お頭」
朱音 :11 「ん」
(何故か心配そうに、朱音のすそを引く彩登に、優しく笑いかける朱音)
彩登 :12 「朱音さまぁ…」
朱音 :13 「大丈夫だ。すぐに帰ってくるよ」
瀬比呂 :14 「絶対だよ!」
彩登 :15 「約束!」
朱音 :16 「ああ、わかった。絶対だ。約束する」
瀬比呂
彩登
:17_役名 ※「いってらっしゃーい!」
(各務と朱音が二人並んで歩いていると、朱音が急に立ち止まり、年少組を振り返る)
各務 :18 「―――お頭、どうした?」
朱音 :19 「(やや楽しげに思い出し笑い)…あの二人、やはり一族だな」
各務 :20 「急に何を?」
朱音 :21 「存外に勘が鋭い…私がどこか遠くへ行ってしまうと感じたようだ」
各務 :22 「…お頭」
朱音 :23 「ん、何だ各務、急に怖い顔をして」
各務 :24 「我は世界の裏は良くわからぬが…それを知る事が良いとも思えぬよ」
朱音 :25 「……ん。そうだな…」
各務 :26 「お頭。睦月にも言うた事だが、あえて言わせてもらう。『決して無理はせぬように』」
朱音 :27 「……ああ。…ありがとう、各務。…肝に銘じるよ―――」
羽霧 :28 「(M)―――もし『戦うのが好きか?』と聞かれたら、正直に「嫌いだ」と答える。
楽しそうに戦ってるって? しょうがねえだろ。
どうせやらなきゃいけない事なら、少しでも自分自身が
気持ちを持ち上げていかねえと、心底、滅入っちまうよ。

本当は、肉を断つ感触も、骨を砕く感覚も好きじゃないね。
何よりも、あの、辺り一面に満ちた 血の臭いが最低だ。
あれは、いつまでたっても慣れるようなもんじゃない。

けれど、自分の中にはそれを上回るものがある。
それは、確実に自分の中で自己主張している。

一族の誰も失いたくない。今までの何も失いたくない。
誰か一人でも 欠けてしまう事は絶対にありえない。
だから、戦える。だから、武器を振るえる。
だから、敵を殺せる。命を奪うことが出来る。

主のためだとか、大義名分がどうだとか、
そういう難しい事は、正直どうだって良い。
ただ、自分がそうしたいからするだけだ。ただ、それだけの事。
そうじゃなければ、きっと戦ってなんかいられないだろう。

―――改めて思うよ。
一族がいなかったら、仲間がいなかったら、俺はここまで強くなれないんだと。
だからこそ、この強さは仲間のために使うんだと」
羽霧 :29 「(タイトルコール)『鬼神楽』 〜鬼灯の章・第三話〜」
(静かな夜。虫の音などが聞こえてくる。夜中に訪ねて来た比奈伎の続き)
比奈伎 :29-01 「―――それじゃ」
朱音 :29-02 「ああ。…おやすみ、比奈」
比奈伎 :29-03 「…ああ。…おやすみ」
(比奈伎、立ち去る。見送る朱音、ふと佐久弥の気配に気づいた)
朱音 :30 「―――佐久弥か」
佐久弥 :31 「―――はい」
朱音 :32 「聞いたな(聞いたか、という確認)」
佐久弥 :33 「はい。しかし…あのような言い方では、彼はきっと『抜けて』しまう」
(佐久弥は、朱音が主と共に死ななければならない事を知っているため、
比奈伎の気持ちを思うと、朱音を死なせないために比奈伎が掟に背こうとするのでは、と考えた)
朱音 :34 「…そうだな。というよりも…むしろ私はそうして欲しいと思っている。
もちろん、あいつだけではなく…全員を引き連れて、だが」
佐久弥 :35 「それもあなたの計算のうち、というわけ…。
…あなたは、彼の気持ちを利用するんだね」
朱音 :36 「…そうだな」
佐久弥 :37 「ひどい人だ」
朱音 :38 「そうだな」
佐久弥 :39 「でも、つらいね」
朱音 :40 「(一瞬、息を呑んで、吐き出す)………ああ、そうだな。
とてもつらいよ。…とても。…佐久弥。比奈伎を頼む」
佐久弥 :41 「私で良ければ」
朱音 :42 「(去ろうとする佐久弥を静かに呼び止める)―――佐久弥」
佐久弥 :43 「(ふと立ち止まる)…?」
朱音 :44 「…すまない。お前が一番つらいな」
佐久弥 :45 「(ふふ、)こういう事に気がついてしまうのは、私の性格だからね。仕方ないよ」
朱音 :46 「すまない―――」
(昼間の食堂にて/SE:お湯などの煮立つ音。
睦月が、大の苦手とする料理に挑戦。もちろん、羽霧が指導しているのだが…)
羽霧 :47 「あー!! バカ!! んなトコで塩をふるなよ!!」
睦月 :48 「えっでも、どうせ振るんでしょ?」
羽霧 :49 「ちょうど良い瞬間てのがあるんだよ! このバカ!」
睦月 :50 「もー! バカバカ言わないでくださいってば!!」
珠菜 :51 「うるさいこと…どうでもよろしいじゃありませんか」
羽霧 :52 「珠菜…じゃあ、お前がやんのかよ」
珠菜 :53 「………。(優しく)…睦月」
睦月 :54 「は、はい?」
珠菜 :55 「駄目じゃありませんか。羽霧の言う通りにやらなければ、ねえ(にっこ)」
睦月 :56 「は、はいぃ…」
(怖いくらい優しすぎる珠菜の笑顔に、逆らえない、と笑顔で泣きそうになる睦月…)
(修練場にて/真剣を打ち合う音が響いている。
寿々加は、瀬比呂相手に真剣勝負。伊織は、彩登相手に小刀で応戦。彩登は、必死に避けている。
寿々加や伊織に比べ、年少組はすでに息が上がってきてしまっている)
寿々加 :57 「ほらほら…っ、動きが全然ついてきてねーじゃん、瀬比呂ッ!
そんなんじゃ…斬られちまうぞ!」
瀬比呂 :58 「う、うん! ―――ヤアッ!!」
寿々加 :59 「おっ、今の突きは良い!」
伊織 :60 「ほーらほら彩登! 余所見しない!!」
彩登 :61 「うん!」
(さらに修練は続いたが、やがて年少組がダウンして座り込んでしまう)
瀬比呂 :62 「ああ〜! もう駄目だー!」
彩登 :63 「彩登もへとへと…」
伊織 :64 「(笑って)でもまあ、いつも以上に頑張ったよね」
寿々加 :65 「んじゃ、年少組に俺からのご褒美だな! ほーら!」
(寿々加、思いっきり変な顔をして下さい(笑)みんな耐えられず笑い出し、転げまわる)
伊織
瀬比呂
彩登
:66_役名 ※「…っ、あはははは!(しばらく笑い転げてください)」
※「…っ、あは、あはははは! あははは!!(しばらく笑い転げてください)」
※「きゃははは〜! やだ〜寿々加、すっごい変な顔〜!!」
彩登 :67 「あっ、やめちゃ駄目ー!! ねえ、ねえねえ、もう一回やって〜!」
寿々加 :68 「(笑って)高いぜ〜」
朱音 :69 「ずいぶん賑やかだな」
瀬比呂 :70 「あっ、朱音さまー!」
各務 :71 「頑張っておるようだね」
彩登 :72 「うん!」
寿々加 :73 「各務、こいつら、結構やるぞ」
各務 :74 「それはそれは…毎日の修練の賜物かえ」
瀬比呂
彩登
:75_役名 ※「えへへ」
(朱音が、腰の剣を抜きながら寿々加に近づく)
朱音 :76 「寿々加、まだやれるか?」
寿々加 :77 「もちろん」
朱音 :78 「よし、今度は私の相手をしてくれ」
寿々加 :79 「手加減はしませんよ」
朱音 :80 「こちらこそ」
(お互いに、真剣を構える/しばらくのにらみ合いが続く。
息を呑んで緊張する年少組、嬉しそうに見守る伊織、ちょうどそこに通りかかる夜紫乃は
年少組のすぐわきにしゃがみこんで一緒に見物。亜夏刃、千波流もやってきた)
瀬比呂 :81 「……。(ごくりと息を飲む)…なんか…」
彩登 :82 「こっちが緊張しちゃうね…」
夜紫乃 :83 「面白そうな事になってるじゃん!」
亜夏刃 :84 「珍しいな」
千波流 :85 「じっくり見物させてもらうか」
伊織 :86 「シィッ! みんな静かに!」
朱音
寿々加
:87_役名 ※「―――ハ!!」
※「ハアッ!」
(同時に真剣を突き出し、激しい打ち合いを続ける二人。
朱音が下から剣を振るえば、寿々加はそれを刀の鍔で受け、その勢いで顔面に突き出す。
さらに朱音はそれをぎりぎりで交わし、一瞬で懐に飛び込む)
朱音 :88 「ヤアッ!」
寿々加 :89 「クゥッ!!」
朱音 :90 「ハッ!!」
寿々加 :91 「……」
朱音 :92 「……」
(喉元に構えられた刀に、ふーっと息を吐いて両手を上げ、明るく降参する寿々加。
軽く笑って、刀を引く朱音)
寿々加 :93 「参った」
朱音 :94 「なんの」
(一瞬の、すさまじい打ち合いに、大興奮の年少組・ほか)
瀬比呂 :95 「………………………す」
彩登 :96 「すごーい!!」
瀬比呂 :97 「すごいすごい!!」
千波流 :98 「お頭、お見事です」
伊織 :99 「さすがですね!」
夜紫乃 :100 「途中までは、寿々加がいけると思ったんだけどなあ」
伊織 :101 「詰めが甘いよね!」
千波流 :102 「しかし…三合目でお頭が下から突いてくるのが、良く分かったな。
あれをかわすのは、至難の業だぞ」
寿々加 :103 「ああ、ありゃ勘だよ! 我ながら良く避けたもんだぜ!」
亜夏刃 :104 「それを言うなら、寿々加の五合目も、充分意外だったぞ。
自分は、目で追いきれなかった」
朱音 :105 「(笑って)それこそ、私だってあれは勘で避けたさ」
瀬比呂
彩登
:106_役名 ※「へえええ…」
千波流 :107 「勘と言っても、戦歴によるものだからなぁ。やはり、格が違う。
二人とも、良いものを見せてもらったな」
瀬比呂
彩登
:108_役名 ※「うん…!」
伊織 :109 「要するに、もうバテバテの年少組は、
まだまだ朱音さまの足元にも及ばないって事ね!(瀬比呂を軽く叩く)」
瀬比呂 :110 「いてっ」
伊織 :111 「あ〜、今日はこれで休めるぅ…」
彩登 :112 「むーっ!!」
瀬比呂 :113 「伊織!まだ帰っちゃ駄目だよ!」
伊織 :114 「ええ!?」
彩登 :115 「もう一回修練やるのー!」
伊織 :116 「だってアンタたち、さっきもう『バテバテ』だって!」
瀬比呂
彩登
:117_役名 ※「僕はまだやれるんだからー!!」
※「彩登はまだやれるんだからー!!」
夜紫乃 :118 「―――(ぽん、と肩を叩いて)いーおり。諦めなよ」
伊織 :119 「あーもう! 墓穴掘っちゃった!!」
(食堂の引き戸が開き、へろへろの伊織が入ってくる)
伊織 :120 「な、何か飲ませて〜!!」
睦月 :121 「あ、伊織! お疲れ様です」
伊織 :122 「(卓にもたれ込んで)も〜へとへとだよ! アイツら、諦め悪いんだもん!」
珠菜 :123 「(くすくす笑って)お疲れ様ですわね。さ、どうぞ。
(お茶を差し出す)それで、どうなりました?」
伊織 :124 「ありがと珠菜! (ひとまずお茶を飲んで一息つく)は〜、生き返る…。
今日は久しぶりに、朱音さまと寿々加が打ち合ってサ、
もちろん朱音さまの勝ちだけど!
それ見て、年少組が更に張り切っちゃってサ! キリが無いよ〜」
羽霧 :125 「へえ、良い物見れたじゃねえか」
伊織 :126 「(興奮冷めやらず)うん、すごかったよ! やっぱり強いよねえ、朱音さま!
寿々加も、良いとこまでは攻めたんだけどさ、結局読まれちゃってて!」
珠菜 :127 「残念、わたくしたちも見たかったですわねえ」
伊織 :128 「…ところで…。(鼻をひくひくさせて)……何、この臭い…」
睦月 :129 「うっ! …えぇーと、それが…そのう…」
羽霧 :130 「本当に不思議だぜ…俺がそばで見ながら作ってんのに、
何でこんな物が出来上がっちまうのか…」
珠菜 :131 「我が里の、三大不思議ですわね」
睦月 :132 「そこまで…言わなくても…(T▽T)」
(SE:夕飯の準備・夕方)
伊織 :133 「そうだ! ずっと睦月に相談しようと思ってたんだけど…武器の事なんだけどさ。
鉄砲とまでは言わないけど、何かこう…飛距離を稼いで攻撃できる、
弓矢とは違う武器って言うのを、作れないかなあ」
睦月 :134 「―――ええ? そんな物を…? いえそれは…っ、…ちょっと難しいかも…です…」
伊織 :135 「…やっぱり…?」
睦月 :136 「はい…それに」
羽霧 :137 「当面の問題は、比奈伎だろ。
アイツ、長距離攻撃型の物は、なかなか『うん』って言わねえからなあ〜」
睦月 :138 「アタシも、そう思います…」
珠菜 :139 「では、比奈伎に気づかれないような、音のしない物を作ればよろしいのでは?」
睦月 :140 「音のしない物…ですか? それも難しいですね…」
伊織 :141 「ていうかさ、いくらなんでも実際に使っちゃったら、絶対バレるよ!」
羽霧 :142 「だよなぁ…弓矢だって渋々、って感じのアイツが、納得するワケないよなあ。
戦中だってのに、怒り出すかもしれねえぞ?」
珠菜 :143 「では、反対出来ないような物を 作ればよろしいのでしょ?」
伊織 :144 「反対出来ないようなモンかあ…」
珠菜 :145 「弓矢に似た…例えば、飛礫を、もっと効率よく連射出来るような…
装置というのかしら?」
睦月 :146 「飛礫を連射する装置…ですか…(考え込む)」
伊織 :147 「なるほど飛礫かあ! そうだよね、アタシとかは指弾は得意だけど、
睦月も珠菜も、あんまり得意じゃないよね。年少組にいたっては、もちろんでしょ。
鉄砲は火薬を使うから アタシも好きじゃないけど、
指弾の原理を生かした装置なら…比奈伎の持論にも反しないんじゃない?」
珠菜 :148 「そうねえ…それも、かなり小型化出来れば、
暗器として仕込む事も出来るのでは?」
羽霧 :149 「その辺、各務にも意見をもらってみるか」
睦月 :150 「そうですね」
伊織 :151 「そう思って、実は、武器の小型化の事については、
各務にもう考えてもらってるんだよね。
どう? 出来そう? もしそれが実戦で使えるなら、
年少組の力になると思うんだけどさ」
睦月 :152 「―――(いたずらっぽく笑って)はい、わかりました。
じゃあひとまず、アタシに任せてください。今夜から考えてみます。
アタシでも、指弾を有効に使えるようになるんなら、嬉しいですもん。
よおおし、張り切って腕を振るっちゃいますよ!」
伊織 :153 「うん、お願い!」
羽霧 :154 「ま、少なくとも、睦月にとっちゃ、料理よりは得意分野だしな!」
睦月 :155 「羽霧ったら!!」
(ここから追加シーン)
彩登 :155-01 「あっ、居た! ねえねえ、睦月!」
睦月 :155-02 「はい? あれ? 彩登、どうしたんですか?」
珠菜 :155-03 「伊織とたくさんお稽古をして、疲れてしまったと聞きましたけれど?」
彩登 :155-04 「ちょっと休んだから、もう大丈夫! 伊織は?」
羽霧 :155-05 「さっきまでいたけどな。何か用事だったのか?」
彩登 :155-06 「あ、ううん! 伊織じゃなくて睦月に聞きたかったから、良いの」
睦月 :155-07 「アタシに、ですか?」
彩登 :155-08 「うん、だって睦月、たくさんいろんな事知ってるし…
ええと、あの、あのね、ちょっと聞いても良い?」
睦月 :155-09 「はい、もちろん。アタシで答えられる事なら」
彩登 :155-10 「…あのね。【おかあさん】ってなあに?」
睦月 :155-11 「……え、お母さん、ですか?」
羽霧 :155-12 「急にどうした?」
彩登 :155-13 「…一昨日、お仕事で里の近くに下りたときにね、
里の子だと思うんだけど、女の子が…女の人につかまって、…そう呼んでたの」
睦月 :155-14 「一昨日…一緒にお仕事に行ったの、亜夏刃…でしたっけ?」
彩登 :155-15 「うん、彩登と、瀬比呂と、亜夏刃と、伊織と、夜紫乃」
羽霧 :155-16 「ああ…物資の調達の手伝いだな」
彩登 :155-17 「うん、そう」
珠菜 :155-18 「…そうですか」
彩登 :155-19 「それでね、その女の人も、その女の子にすごく優しくてね、
ええとでもね、彩登が傍で見てるっていう事には、気がついてなくてね…」
羽霧 :155-20 「珠菜」
珠菜 :155-21 「(頷く)睦月、ちょっと失礼いたしますわね」
睦月 :155-22 「あ、はい」
(少し離れた所に亜夏刃を引っ張っていき、気持ちこそこそと)
珠菜 :155-23 「…それで? 本当にそうなんですの? 亜夏刃」
亜夏刃 :155-24 「……。…そういえば、そうだったかもしれん」
羽霧 :155-25 「うかつだぞ、亜夏刃。まだ年少の彩登に里人たちの会話を聞かせるなんて」
亜夏刃 :155-26 「すまん。少しだけだが、目を離した時間があったんだ」
羽霧 :155-27 「お前が付いていながら…情けない」
亜夏刃 :155-28 「すまん、注意が足りなかった。伊織と夜紫乃が一緒だったので、つい」
珠菜 :155-29 「(溜息)…聞いてしまったものは、もう仕方ないですわよ。
亜夏刃を責めても何も変わりませんわ」
羽霧 :155-30 「そうだな。あとであの二人にも言っておこう…。瀬比呂は聞いてないだろうな?」
亜夏刃 :155-31 「だと思うが。瀬比呂は、間違いなく、ずっと自分の傍にいたからな」
珠菜 :155-32 「念のため、それとなく確認はしておきましょう…」
羽霧 :155-33 「(軽く溜息)全く。年少組に、いきなり掟を破らせてどうするんだよ」
亜夏刃 :155-34 「…面目ない」
彩登 :155-35 「…? 珠菜、羽霧? あれえ? それに、亜夏刃まで。
どうしたの? そんな隅っこで」
羽霧 :155-36 「(心配ない、というように明るく)ああ、何でもねえよ」
珠菜 :155-37 「ねえ、彩登。何故、急にそんな話を?」
睦月 :155-38 「おかあさんが、羨ましかったからですか?」
彩登 :155-39 「え? どうして?」
珠菜 :155-40 「? どうしてって…。羨ましいと思いませんでしたの?
だから、何なのか、聞こうとしたのではありませんの?」
羽霧 :155-41 「おかあさんって、いたら良いなあ…とか、考えなかったか?」
彩登 :155-42 「ええ!? 羨ましいなんて思わないよぉ!」
亜夏刃 :155-43 「…? そうなのか? それなら、何故?」
彩登 :155-44 「(笑って)だって、彩登にはみんながいるもん!
【おかあさん】はいなくても平気だよ?
あの女の子には、みんなの変わりに、おかあさんって言う人がいるんでしょ?
でも、みんなみたいに、強く無さそうだったし…どんな人なのかなあ、って思って」
羽霧 :155-45 「は? …それだけか?」
彩登 :155-46 「(明るく)うん」
羽霧 :155-47 「ははは、何だよ、それだけか」
彩登 :155-48 「そうだよ? ? …? なんか、おかしい?」
珠菜 :155-49 「いいえ? ちっともおかしい事なんてありませんわ。…だ、そうですわよ、亜夏刃」
亜夏刃 :155-50 「(軽くほっとして)…そうか」
睦月 :155-51 「(くすくす…)何だか、ほっとしてますね、亜夏刃」
亜夏刃 :155-52 「ん、そうか? …そうかもしれんな」
珠菜 :155-53 「でも、彩登、偉いですわよね。もうそんな立派なお仕事をこなせるんですもの。
物資調達も、大切なお仕事の一つですものね」
彩登 :155-54 「うん! でも、彩登も瀬比呂も、すぐ戦にも出られるようになるんだから!」
羽霧 :155-55 「あっはは、そうか、そりゃ頼もしい言葉だな」
彩登 :155-56 「ほんとだもん〜!!」
珠菜 :155-57 「あらあら、それじゃあまず彩登は、夜一人で眠れるようにならなくてはね?」
羽霧 :155-58 「あははは! そうだな!」
彩登 :155-59 「(笑って)珠菜、羽霧、ひどーい!!」
睦月 :155-60 「(笑って)じゃあ、今夜はアタシは付いていなくて大丈夫ですねえ」
彩登 :155-61 「ええっ!? やだぁ、駄目ー!(笑う)」
亜夏刃
珠菜
羽霧
睦月
彩登
:155-62
_役名
※「(楽しそうに笑う)」
(ここまで追加シーン)
(SE:夜)
佐久弥 :156 「―――夜紫乃。どうしたんだ、こんな夜分に」
夜紫乃 :157 「…佐久弥さぁ。最近、戦に参加してないけど…どっかに行ってるの?」
佐久弥 :158 「何故、そんな事を?」
夜紫乃 :159 「いや、何か気になったと言うかさ。
あ、けど、佐久弥を疑った事なんかないよ。これは本当だ」
佐久弥 :160 「ありがとう―――シッ! (うかがうように)…誰?」
夜紫乃 :161 「(出てきた人物を見て)…亜夏刃? どうしたんだよ、隠れたりして」
亜夏刃 :162 「(大きな身体を竦めて)……すまん。なにやら深刻そうだったので」
佐久弥 :163 「良いよ、別に。…ね、夜紫乃」
夜紫乃 :164 「(何でもなかったように)うん。みんなは?」
亜夏刃 :165 「それだ。夜紫乃を呼びに来たんだ」
(夜中に、こそこそと集まってくる/そこはかとなく、みんな小声で)
伊織 :166 「…来た?」
千波流 :167 「来たぞ!」
羽霧 :168 「睦月! 遅いぞ!」
睦月 :169 「すいません、年少組がなかなか寝付かなくて…
抜けてくるのに時間がかかっちゃった」
珠菜 :170 「それで、例のアレ―――どうなんですの?」
睦月 :171 「はい。―――これです(布の中から武器を取り出す)」
伊織 :172 「へええ…思ったより小さく出来たね!」
睦月 :173 「はい。大きさは最小限に抑えて、
それでいてバネの威力は最大限に生かせるように―――
これを、利き腕と反対の方の腕にこうやって装着して…ここを引くんです」
羽霧 :174 「実際に、威力は? 試したんだろ?」
睦月 :175 「はい。鉄砲の引き金を引くのと同じくらいのわずかな力で、
飛礫を岩盤に めり込ませる事が出来ました」
千波流 :176 「(思わず叫ぶ)すごいな!!
やったじゃないか、これは世紀の大発明ってヤツだぞ!」
寿々加
珠菜
羽霧
伊織
睦月
:177_役名 ※「シーッ!!!」
(全員にがばっと口元を押さえられる千波流。自分でも慌てて押さえる)
千波流 :178 「!!」
伊織 :179 「まだ比奈伎には内緒なんだからサ…!
とにかく、実戦で実際に使っちゃうまでは!」
千波流 :180 「そうだった…!」
佐久弥 :181 「何が内緒?」
(突然声をかけられて、びっくりして全員飛び上がる)
千波流
寿々加
珠菜
羽霧
伊織
睦月
:182_役名 ※「!!」
夜紫乃 :183 「こんな遅くに、雁首並べて何 企んでんの」
伊織 :184 「人聞き悪いよ!(ぽかっ!)」
夜紫乃 :185 「いてっ!」
(こっそり、睦月に頼んで武器を作っていた事を佐久弥にバラす。あまり良い顔をしない佐久弥)
佐久弥 :186 「―――なるほど…。そりゃあ、みんなの言い分はわかるよ…
でも、どんな理由でも、仲間に黙ったまま、新しい…
それも、抜群の殺傷力を持つような武器を 導入するのは、私は反対だな」
睦月 :187 「やっぱり…そうですか…」
夜紫乃 :188 「素直に比奈伎に話す?」
千波流 :189 「絶対反対するぞ」
伊織 :190 「そこを何とか、説得する方向で、って事? 難しいなあ…」
寿々加 :191 「…うーん…じゃあ、まずは俺が先発隊として出て、討たれるか」
亜夏刃 :192 「どういう事だ?」
寿々加 :193 「ホラ、こないだ拾ってきたヤツ!」
睦月 :194 「―――あ!!」

【第三話{1}終わり・{2}に続く】