●鬼神楽● ――――――――――――――――――――――― 【〜鬼灯の章・第二話〜】 フォルダ名【ho-zuki02_役名】 ――――――――――――――――――――――― | ||
キャラ | :番号 | |
謎の男 | :01 | 「(E)…お前…に……しているよ…」 |
伊織 | :02 | 「(M)あ……まただ…」 |
謎の男 | :03 | 「(E)私は…お前を信じているよ…」 |
伊織 | :04 | 「(M)戦いの続く毎日だったけど、それでも充分幸せだった。
幸せだと言えた。 …足元に目をやると、息絶えた人間が幾人も倒れていて、 その血が辺りの草花を、自分の掌すらを真っ赤に染め上げていて、 思わず心臓を掴まれるような痛みを 感じることもあったけど。 でも、アタシの中には真実があった。何よりも信じられるものがあった。 大好きな人の隣で戦える事。大事な仲間と共に戦える事。 そして、戦いの間の、みんなと一緒に過ごす暖かい時間が、好きだった。 みんなと修練をしながら、一つずつ 強くなっていく事。 笑いあって、泣きあって、何もかも分かち合える事。 みんなと一緒に、…ずっと一緒に生きていけること。 それだけを胸に抱いて、武器を振るう。 それだけを胸に潜めて、命を奪う。 正直、少し怖いけれど、みんなと一緒なら、ずっと頑張れる。 それが終われば、また、仲間と一緒にいられるから。そうすれば、笑い合えるから。 奪った命の一つ一つを、自分の命に重ねて、 これからもずっと、みんなと一緒に生きていけるから。 短いけれどこの幸せな空間が、 ずっと存在すると、…そう信じていた―――」 |
伊織 | :05 | 「(タイトルコール)『鬼神楽』 〜鬼灯の章・第ニ話〜」 |
(SE:鳥など) | ||
寿々加 | :06 | 「(いきなり声をかける)おい、伊織!」 |
伊織 | :07 | 「! …あ、寿々加…ごめーん、転寝しちゃってたよ!」 |
寿々加 | :08 | 「(ちょっと笑って)良いよ、疲れてるんだろ。…またあの夢か?」 |
伊織 | :09 | 「うん。…誰だかわからないけど、懐かしい声の…夢」 |
寿々加 | :10 | 「その夢を見るようになったの、最近だっけか?」 |
伊織 | :11 | 「最近…最近? どうだったろ、良く思い出せないや」 |
寿々加 | :12 | 「ふーん…。…!(何かに気づく) おい!」 |
(SE:鳥の鳴き声に似た音) | ||
伊織 | :13 | 「……召集だ。ずいぶん早いね」 |
寿々加 | :14 | 「またか…こないだからまだ三日だぞ」 |
伊織 | :15 | 「それだけ、今が荒れてるってコトなんだけど」 |
寿々加 | :16 | 「急ごう…ありゃ? あいつら、一人前だとか口では言っておきながら… 召集合図に気づかねえようじゃ、まだまだ先は長いよなあ」 |
伊織 | :17 | 「ホントは、それはそれで面倒見れるから嬉しいくせにい」 |
寿々加 | :18 | 「うるせー! …ま、ついでだ、あいつらも拾っていくか」 |
伊織 | :19 | 「そだね!」 |
寿々加 | :20 | 「おーい年少組〜召集だぞ!」 |
彩登 瀬比呂 |
:21_役名 | ※「はーい!」 |
(会合の間にて。すでに全員揃っている所に、寿々加たちが駆け込む) | ||
比奈伎 | :22 | 「遅い!」 |
寿々加 伊織 瀬比呂 彩登 |
:23_役名 | ※「悪い!」 ※「ごめーん!」 ※「すいません!」 ※「すいません!」 |
朱音 | :24 | 「良い。座れ」 |
寿々加 伊織 瀬比呂 彩登 |
:25_役名 | ※「はい」 ※「はい」 ※「はい!」 ※「はい!」 |
朱音 | :26 | 「(ぐるりと見回して)―――そろったな。ご苦労」 |
千波流 | :27 | 「お頭。戦況はどうなんですか」 |
朱音 | :28 | 「ん…」 |
千波流 | :29 | 「(苦々しく)…やはり、見通しは立たないんですね」 |
朱音 | :30 | 「…集まってもらったのはほかでもない。その事なんだ。 先日の戦いで勝利は我らが主にもたらされたはずだった。 だが、敵もさるもの…そう簡単には落ちてはくれん。我らが尽力せねばならない。 …そこで今晩また、私は殿にお会いしてくる。それ以後、これからの針路を決める。 みんなもそのつもりで居てくれ。―――比奈伎、後は頼む」 |
比奈伎 | :31 | 「はい」 |
朱音 | :32 | 「千波流。高見だけでなく、補佐も頼む」 |
千波流 | :33 | 「わかりました」 |
朱音 | :34 | 「各務は、今回は同行してくれ」 |
各務 | :35 | 「承知」 |
朱音 | :36 | 「―――私が帰らずとも、急ぎ、戦、ということになるかもしれない。 みな、準備を怠らないように。睦月、亜夏刃、武器の調整・調達を急いでくれ」 |
睦月 | :37 | 「はい!」 |
亜夏刃 | :38 | 「ああ」 |
朱音 | :39 | 「その際、羽霧、珠菜は斥候として動いてもらう事になる」 |
羽霧 | :40 | 「わかった」 |
珠菜 | :41 | 「おまかせを」 |
朱音 | :42 | 「寿々加、夜紫乃はその後方で待機、いつでも斬り込めるように」 |
寿々加 | :43 | 「了解!」 |
夜紫乃 | :44 | 「腕が鳴るね」 |
朱音 | :45 | 「伊織は後方の陣につけ。佐久弥には別に頼みたい事がある」 |
伊織 | :46 | 「わかりました!」 |
佐久弥 | :47 | 「はい」 |
朱音 | :48 | 「瀬比呂、彩登」 |
瀬比呂 彩登 |
:49_役名 | ※「は、はい!」 |
朱音 | :50 | 「お前たちもみんなを手伝うように。頼むぞ」 |
瀬比呂 彩登 |
:51_役名 | ※「はい!!」 |
朱音 | :52 | 「ではひとまず解散してくれ。後ほど、再び召集をかける」 |
比奈伎 | :53 | 「…待ってください」 |
朱音 | :54 | 「何だ?」 |
比奈伎 | :55 | 「……いや、何でもないです。後でまた」 |
朱音 | :56 | 「―――そうか。…では、あとでな」 |
比奈伎 | :57 | 「…はい」 |
(会合あと) | ||
彩登 | :58 | 「ふふふ…朱音さま、『頼むぞ』だって!」 |
瀬比呂 | :59 | 「何言ってんの? あれは僕に言ったんだよ、絶対!」 |
彩登 | :60 | 「えー!? 違うよ彩登にだよ!」 |
瀬比呂 | :61 | 「絶対、僕だよー!」 |
伊織 | :62 | 「どっちでも良いじゃん」 |
瀬比呂 彩登 |
:63_役名 | ※「良くないー!」 |
伊織 | :64 | 「はいはい。…さーってと。 ではお二人にしっかりばっちり、いろいろと手伝ってもらうからね!」 |
瀬比呂 彩登 |
:65_役名 | ※「う、うん」 |
伊織 | :66 | 「返事が小さ〜い!」 |
瀬比呂 彩登 |
:67_役名 | ※「はい!!」 |
千波流 | :68 | 「おっ、二人ともやけに良い返事だな!(笑う)」 |
寿々加 | :69 | 「さーてと、俺らも年少組に負けないようにしっかりやりますか!」 |
夜紫乃 | :70 | 「あ、じゃあ僕、睦月と亜夏刃に頼んである武器調整を手伝うよ」 |
睦月 | :71 | 「はい、助かります」 |
羽霧 | :72 | 「こりゃ、まずは全員腹ごしらえした方が良さそうだな。 珠菜、厨房行くぞ、手伝え」 |
珠菜 | :73 | 「はいはい。全く、人使いが荒い人ですこと」 |
羽霧 | :74 | 「あ、いっけね、山菜切らしてたんだ! 珠菜、ちょっと行ってきてくれ。ついでに肉もな」 |
珠菜 | :75 | 「…わたくしの話、全然聞いてませんのね」 |
羽霧 | :76 | 「どうせお前も食うだろーが」 |
珠菜 | :77 | 「あら心外な。わたくしそんなに食べませんわよ」 |
羽霧 | :78 | 「一人頭、飯一杯の煮干一匹で良いなら良いけどよ」 |
珠菜 | :79 | 「………」 |
伊織 | :80 | 「珠菜ぁ。煮干はきついよ、煮干は」 |
千波流 | :81 | 「…珠菜。ここは折れてくれ。俺らも手が空いたら手伝うから、な」 |
珠菜 | :82 | 「(溜息)はいはい。しょうのないこと」 |
彩登 | :83 | 「珠菜って、絶対いつもおっきなキノコとか見つけてきてくれるから大好き! 彩登、キノコ好きー!」 |
瀬比呂 | :84 | 「あとあと、お肉も食べたい! こないだ珠菜が捕まえた鳥さん、すっごく美味しかった!」 |
珠菜 | :85 | 「(軽やかに笑って)年少組さんは、人を煽てるのがお上手ですわね。 では、ご期待に沿えるように頑張りますわ」 |
瀬比呂 彩登 |
:86_役名 | ※「やったー!!」 |
亜夏刃 | :87 | 「珠菜。自分が手伝うか?」 |
珠菜 | :88 | 「(一瞬、目を見開く)……珍しいこと。 ありがたいですけれど、亜夏刃は、武器の調整の方を優先なさって?」 |
亜夏刃 | :89 | 「睦月、どうだ?」 |
睦月 | :90 | 「えっ?」 |
伊織 | :91 | 「(こそっと脇をつつく)睦月!」 |
睦月 | :92 | 「あっ、あ〜、えーと………こ、こっちは夜紫乃が手伝ってくれるから大丈夫です!」 |
夜紫乃 | :93 | 「そうそう! だから、肉をたくさん頼むよ、亜夏刃!」 |
亜夏刃 | :94 | 「…? わかった。尽力しよう。…珠菜、行くか」 |
珠菜 | :95 | 「いつでも」 |
(SE:戸が閉まる) | ||
伊織 | :96 | 「(二人の後姿を見送って)ね、ね、あの二人、結構良い雰囲気だと思わない?」 |
寿々加 | :97 | 「何だよ、そういう事なのか?」 |
千波流 | :98 | 「何だお前、気づいてなかったのか?」 |
夜紫乃 | :99 | 「いっその事、夫婦(めおと)になっちゃえば良いのにね」 |
(ここから追加シーン) | ||
彩登 | :99-1 | 「めおと? 『めおと』って、なあに? ねえ千波流、それって、なあに?」 |
千波流 | :99-2 | 「へ? あー、めおとって言うのは、つまり…えー… (ぽん、と肩に手を置いて)…寿々加、頼んだ」 |
寿々加 | :99-3 | 「げっ! 卑怯者っ!」 |
彩登 | :99-4 | 「ねぇねぇ寿々加、『めおと』ってなあに?」 |
寿々加 | :99-5 | 「…あー…、めおとって言うのはだな、つまり」 |
瀬比呂 彩登 |
:99-6 | ※「(わくわく)つまり?」 |
寿々加 | :99-7 | 「えー…、つまりぃ…(期待されすぎて何だか言いにくい)」 |
夜紫乃 | :99-8 | 「(静かに)…一生を、共に添い遂げる相手になるって事かな」 |
寿々加 | :99-9 | 「(ほっとして)そうそう、それそれ」 |
瀬比呂 彩登 |
:99-10 | ※「へえ〜…!」 |
彩登 | :99-11 | 「ねえねえ、彩登にもいつか、そういう相手が見つかるかな?」 |
千波流 | :99-12 | 「彩登は器量良しだからな、『引く手数多(あまた)』ってヤツだぞきっと!」 |
彩登 | :99-13 | 「そっかあ…! えへへ」 |
瀬比呂 | :99-14 | 「そんなの、彩登にはまだ早いよー」 |
彩登 | :99-15 | 「そんな事ないもん〜」 |
伊織 | :99-16 | 「なぁに瀬比呂、ヤキモチ焼いてんの?(笑いながら)」 |
瀬比呂 | :99-17 | 「ちっ、違うよぅっ 変な事言わないでよ伊織っ!」 |
彩登 | :99-18 | 「瀬比呂、顔赤ーいっ! ね、ね、その『めおと』に、亜夏刃と珠菜がなるの?」 |
(ここまで追加シーン) | ||
千波流 | :100 | 「…いやー、でもなあ〜…亜夏刃はな……あれじゃどうだか…」 |
伊織 | :101 | 「……。…だよ、ね…」 |
夜紫乃 | :102 | 「にしても…(溜息)今回、伊織は後方かあ」 |
伊織 | :103 | 「なーに夜紫乃、アタシがいないと寂しいワケ?」 |
夜紫乃 | :104 | 「……」 |
伊織 | :105 | 「…何ヨ」 |
夜紫乃 | :106 | 「…実はそうなんだ、って言ったら、どうする?」 |
伊織 | :107 | 「ばーか! 何言ってんの!(殴る・全く本気にしてません…)」 |
夜紫乃 | :108 | 「いってー!! 伊織、今 本気で殴ったろ!! 信じられない馬鹿力!!」 |
伊織 | :109 | 「馬鹿とは何よ、馬鹿とは!! つまんない冗談言ってる暇があったら修練あるのみ!」 |
夜紫乃 | :110 | 「へいへい〜」 |
寿々加 | :111 | 「なんだよ、やけに不満そうじゃねえか」 |
伊織 | :112 | 「ねえ」 |
夜紫乃 | :113 | 「だってさあ。寿々加と二人だけだと、疲れるんだよね、 後先考えないで突っ走るからさあ。 伊織がいてくれると、止められるんだけどなあ」 |
伊織 | :114 | 「アタシは寿々加の手綱ぁ!?」 |
寿々加 | :115 | 「手綱って事はないだろ! それじゃ俺が馬だ!」 |
千波流 | :116 | 「(大笑い)これぞ『言いえて妙』、というヤツだな!」 |
伊織 寿々加 |
:117_役名 | ※「千波流、笑いすぎ!!」 ※「千波流、笑いすぎだ!!」 |
(頭領の館の廊下にて) | ||
比奈伎 | :118 | 「―――佐久弥」 |
佐久弥 | :119 | 「うん? …どうしたの、比奈伎。怖い顔」 |
比奈伎 | :120 | 「お頭が、お前に頼む別件とは何だ」 |
佐久弥 | :121 | 「さあ? 私も詳しくは聞いていないよ」 |
比奈伎 | :122 | 「(小さな溜息)…そうか」 |
佐久弥 | :123 | 「比奈伎。―――お頭を、信じて」 |
比奈伎 | :124 | 「…言われなくても分かってる」 |
佐久弥 | :125 | 「…不安になってるの?」 |
比奈伎 | :126 | 「そういうワケじゃない。…呼び止めて悪かったな」 |
佐久弥 | :127 | 「良いよ。…比奈伎、大丈夫だから」 |
比奈伎 | :128 | 「? ああ」 |
佐久弥 | :129 | 「(去っていく後姿に)大丈夫。…きっと、大丈夫にしてみせるから―――」 |
(夜。各務が様子を見に武器庫に来ると、睦月が一人で調整をしている) | ||
各務 | :130 | 「どれ、調整は総て終わったのかえ?」 |
睦月 | :131 | 「あ、はい! …これでどうですか?」 |
各務 | :132 | 「(武器を触って)良いようだね。相変わらず、睦月は良い仕事をするな」 |
睦月 | :133 | 「ありがとう、各務!」 |
各務 | :134 | 「さて、あちらで賄いさんが首を長くして待っておるよ。早く行っておやり」 |
睦月 | :135 | 「えっ…やだ、もうこんなに暗いの!?」 |
各務 | :136 | 「我らのために頑張ってくれるのはありがたいが、決して無理はせぬようにな」 |
睦月 | :137 | 「はい、…でも大丈夫! アタシ、丈夫さだけが取り柄だし!」 |
各務 | :138 | 「そうか」 |
睦月 | :139 | 「じゃあ、とりあえず行ってきます」 |
各務 | :140 | 「ああ」 |
(睦月走ってきて、みんなが食堂にしている小屋の引き戸を開ける) | ||
羽霧 | :141 | 「―――遅いんだよ睦月!!」 |
睦月 | :142 | 「は、羽霧、すいません〜!」 |
羽霧 | :143 | 「ホラ! もうすっかり冷めちまったぞ?(と言いつつ、暖めてます)」 |
睦月 | :144 | 「わあ、青菜のおひたしだ! 嬉しい〜! いただきます!」 |
羽霧 | :145 | 「おう。あ、こら! 野菜だけじゃなくて魚も食えよ」 |
睦月 | :146 | 「はーい」 |
羽霧 | :147 | 「早く食べないと来ちまうぞ」 |
睦月 | :148 | 「え?」 |
羽霧 | :149 | 「―――ホーラ、来た」 |
(羽霧がそう言い終るやいなや、だんだん近づいてくる寿々加、夜紫乃、千波流の声) | ||
寿々加 | :150 | 「腹減ったぞー!!」 |
夜紫乃 | :151 | 「羽霧〜! なんか夜食ある〜?」 |
千波流 | :152 | 「それよりまず水だ水!」 |
(食堂に入ってくるなり、三人は卓につく。食事中の睦月に気づく千波流) | ||
千波流 | :153 | 「ん? なんだ睦月、今から食事か?」 |
睦月 | :154 | 「あ、はい」 |
珠菜 | :155 | 「あらあら…みなさま、今の今まで打ち合いですの?」 |
亜夏刃 | :156 | 「珠菜、悪いが、自分にも水をくれるか」 |
珠菜 | :157 | 「はいはい。…今夜はいつもよりずいぶん遅いですわよね」 |
寿々加 | :158 | 「ああ、夜紫乃が全然・退かねーのが原因!」 |
夜紫乃 | :159 | 「悪かったね! 負けっぱなしっていうのが気に入らなかったんだから、しょうがないだろ!」 |
羽霧 | :160 | 「勝てなかったのか」 |
夜紫乃 | :161 | 「もうボロ負け! 悔しいけど、勝てないや〜」 |
寿々加 | :162 | 「ヘヘ、俺に勝てるのは千波流とお頭ぐらいなモンだぜ!」 |
千波流 | :163 | 「煽てるなよ。それに…、多分、佐久弥も勝つな」 |
寿々加 | :164 | 「アイツは別格だろ!」 |
亜夏刃 | :165 | 「比奈伎とも良い勝負じゃないか?」 |
寿々加 | :166 | 「アイツは…異常に粘る上に、頭脳戦で来るからな〜…」 |
夜紫乃 | :167 | 「頭を使わない寿々加には、かなり相性悪いんだよね」 |
寿々加 | :168 | 「そうそう…って、一言多いぞ夜紫乃!」 |
亜夏刃 | :169 | 「自分も、力では負けない自信があるんだがな」 |
夜紫乃 | :170 | 「亜夏刃も良いセン行くんだけどね、やっぱり寿々加のあの速さは大きいよな〜」 |
千波流 | :171 | 「加えて、天性の勘というのか…かわすのが抜群に上手い」 |
夜紫乃 | :172 | 「そうそう」 |
寿々加 | :173 | 「武器を交える事なく、勝利を収める…これが鉄則ってヤツだぜ」 |
夜紫乃 | :174 | 「あのかわし方は限りなく本能に近い…動物並みだよね」 |
寿々加 | :175 | 「てめえ!」 |
珠菜 | :176 | 「さあ、みなさん、そろそろお静かに… 奥で伊織と年少組さんたちが寝息を立てはじめましたわ」 |
寿々加 | :177 | 「おっと…」 |
亜夏刃 | :178 | 「…今日も朝一だったな」 |
珠菜 | :179 | 「昨日もですわよ」 |
千波流 | :180 | 「伊織も付き合って、朝からずっと修練してたらしいぞ」 |
羽霧 | :181 | 「(嬉しそうに小さく笑って)お頭に『頼む』と言われたことが、余程嬉しかったんだろ」 |
夜紫乃 | :182 | 「結構、頑張るよなあ」 |
睦月 | :183 | 「なんか…負けられないなって思っちゃいますね」 |
千波流 寿々加 夜紫乃 |
:184_役名 | ※「だな」 ※「だな!」 ※「だね!」 |
(食堂の引き戸が開いて比奈伎が現れる) | ||
比奈伎 | :185 | 「…なんだ、みんなこんなに遅くまで修練していたのか」 |
羽霧 | :186 | 「比奈伎。おまえも何か食うか?」 |
比奈伎 | :187 | 「いや、とりあえず今は良い。何か飲めるか?」 |
羽霧 | :188 | 「じゃ、お茶でも淹れるか」 |
珠菜 | :189 | 「お湯は沸かしてありますわよ」 |
羽霧 | :190 | 「夜紫乃、湯飲み用意してくれ」 |
夜紫乃 | :191 | 「はいよー」 |
(みんなにお茶を配る羽霧と珠菜。みんなで食後の一服) | ||
寿々加 | :192 | 「なあなあ比奈伎、今日の打ち合い、誰が勝ったか聞きたいか?」 |
比奈伎 | :193 | 「聞かなくても結果は分かってる。 途中までお前が勝ってたが、最終的には千波流が勝ったんだろ」 |
寿々加 | :194 | 「ちぇ、可愛くねえなぁ」 |
珠菜 | :195 | 「(小さく笑って)でも当たっていますわよね」 |
夜紫乃 | :196 | 「じゃ、僕らの結果はどう見る?」 |
比奈伎 | :197 | 「(少し考えて)…技で夜紫乃の勝ち、力では亜夏刃の勝ち。 最終的には、粘り強さと元来の持久力で亜夏刃の勝ち…というところか?」 |
夜紫乃 | :198 | 「当たり〜。基本的に、僕自身が主になる戦い方って、どうも苦手なんだよね」 |
羽霧 | :199 | 「それはお前の課題だな」 |
夜紫乃 | :200 | 「うん」 |
亜夏刃 | :201 | 「そのかわり、寿々加と夜紫乃 対 自分と千波流では、どうしても勝てない」 |
千波流 | :202 | 「亜夏刃と夜紫乃 対 俺と寿々加だと、今度はそっちに勝たせてもらえないぞ?」 |
羽霧 | :203 | 「そういや…こないだは俺と珠菜、伊織と夜紫乃で五分五分だったんだぜ」 |
珠菜 | :204 | 「ああ…あれは本当に苦労させられましたわ。 全く、切り込み隊の名が泣きますわよね」 |
夜紫乃 | :205 | 「あれ? そうだっけ?」 |
比奈伎 | :206 | 「お前は人を生かす技に長けているからな。 一対一では分が悪くても、二対二になれば決して引けは取らないさ。 夜紫乃、これからも上手く寿々加たちを助力してやってくれ」 |
夜紫乃 | :207 | 「比奈伎にそんな事言われると、自信持っちゃうよ」 |
寿々加 | :208 | 「エラく素直じゃねえか! 俺が言っても聞かないくせに」 |
亜夏刃 | :209 | 「寿々加と比奈伎では言葉の重みが違う…ということか」 |
夜紫乃 | :210 | 「うわ…っ亜夏刃、さらっとめちゃくちゃひどい事言ってない?」 |
夜紫乃 亜夏刃 珠菜 羽霧 睦月 千波流 寿々加 |
:211_役名 | ※「(思わず笑いをこぼす)」 |
比奈伎 | :212 | 「…そういや(そういえば)、各務は(来て)いないのか?」 |
睦月 | :213 | 「さっき、武器庫に様子を見に来てくれましたよ」 |
比奈伎 | :214 | 「そうか。…お頭は? (見なかったか?)」 |
夜紫乃 | :215 | 「さあ? そー言えば、見てないや」 |
千波流 | :216 | 「確か…昼間、殿からのお呼びがかかったらしいと聞いたが」 |
比奈伎 | :217 | 「またか? …短い期間に何度も呼ぶなんて『わがまま』ぶりもずいぶんだな」 |
千波流 | :218 | 「それだけ、こっちの軍勢の勢いが危ういって事なんだろう」 |
睦月 | :219 | 「近いうちにまた戦がありそうですね」 |
珠菜 | :220 | 「それではみなさま、明日に備えて今日はもうお休みなさいまし」 |
(頭領の屋敷にて、戸を叩く比奈伎) | ||
朱音 | :221 | 「―――比奈伎か」 |
比奈伎 | :222 | 「お頭。今、良いか?」 |
(朱音が自ら近づいてきて戸をあけ、比奈伎を迎え入れる) | ||
朱音 | :223 | 「どうした、こんな遅くに」 |
比奈伎 | :224 | 「帰ってきてたんだな―――また呼び出しか」 |
朱音 | :225 | 「(苦笑)呼び出しだなんて言い方はよせ。仮にも主を相手に」 |
比奈伎 | :226 | 「下に戦わせておいて、顔を見せないヤツに 敬意を払う義理はない」 |
朱音 | :227 | 「比奈伎。私の主だぞ」 |
比奈伎 | :228 | 「……悪かった」 |
朱音 | :229 | 「(ちょっと笑って)しょうのないやつだな」 |
(しばし黙る二人。ゆらゆら蝋燭の火に揺れる影。静かな夜に、虫の音などが聞こえてくる。 書状を読んでいる朱音の背中に、ぽつりと話しかける比奈伎) | ||
比奈伎 | :230 | 「―――お頭」 |
朱音 | :231 | 「ん?」 |
比奈伎 | :232 | 「…主は…殿はどんな…どのような様子なんだ」 |
朱音 | :233 | 「(書状から目を離し)……決して思わしくはない。 私に『頼む』とお声をかけては下さったが… まだお若いのにな。以前の覇気は、ちらとも感じられない状態だ…」 |
比奈伎 | :234 | 「…そんなに悪いのか…」 |
朱音 | :235 | 「………比奈伎」 |
比奈伎 | :236 | 「お前の考えてる事は分かっている。だが、俺はまだごめんだぞ」 |
朱音 | :237 | 「…ダメか?」 |
比奈伎 | :238 | 「当たり前だ。各務に頼め」 |
朱音 | :239 | 「ふふ、お前ならそう言うだろうと思ってな、とっくに打診してあるさ」 |
比奈伎 | :240 | 「どうだったんだ?」 |
朱音 | :241 | 「言わなくても分かるだろう?」 |
比奈伎 | :242 | 「…振られたのか」 |
朱音 | :243 | 「見事にな」 |
比奈伎 | :244 | 「…当たり前だ。だれも、お前の代わりになんかなりたくない」 |
朱音 | :245 | 「…比奈伎。それでも、掟だ」 |
比奈伎 | :246 | 「わかってる。…わかっている」 |
朱音 | :247 | 「今の世の、我が主―――斉彬様ご崩御の折には、 現・頭領である私も共に命を絶つ。 一族は、主が代替わりしようとも、変わらず尽くし戦うものだが… 頭領は、そのときの主だけのものだからな」 |
比奈伎 | :248 | 「(諌めるように)朱音」 |
朱音 | :249 | 「まだ、みんなには言うなよ。 ―――だが、私の主はもう長くは無い。これは現実なんだ。 主の時代が終わると共に私も終わらねばならない。 そうなる前に、きちんと後の整理をしておきたいのさ」 |
比奈伎 | :250 | 「…」 |
朱音 | :251 | 「比奈伎。…私のあとは、…お前に頼むのだと、ずっと決めていたんだ」 |
比奈伎 | :252 | 「俺は……嫌だ。どうしてもというなら、千波流を選んでくれ」 |
朱音 | :253 | 「あれは良いやつだが、上に立てる男じゃない」 |
比奈伎 | :254 | 「じゃあ寿々加を」 |
朱音 | :255 | 「お前がそれを言うか? 悪くは無いがあれも優しすぎる。この戦乱の世では上には立てまい。 もう一つ付け加えるならば…各務もアレで弱いところのある女だ。 その点、弱さはあるが、お前はそれを隠せる。…頭領向きだよ」 |
比奈伎 | :256 | 「…上手く隠せたからって、弱くないとは限らない」 |
朱音 | :257 | 「そりゃそうさ。…私だってそうだ」 |
比奈伎 | :258 | 「朱音」 |
朱音 | :259 | 「…もう時間はあまり無いんだ。―――ごめんな、ヒナ」 |
比奈伎 | :260 | 「……そう呼ぶなよ……」 |
朱音 | :261 | 「どちらにしろ…決意しなくてはならない日が来る。―――近いうちにな」 |