鬼神楽・流の章04

 出演キャスト様
キャラ名 キャスト様 台詞数
 水輪一族
10
14
みぎわ 19
13
こさめ 12
瀧子 2
1
潤河 1
洋汰 1
 鬼火一族
彩登 15
珠菜 16
夜紫乃 17
佐久弥 36
比奈伎 37
 過去
AAA
(瀧子の若い頃)
林あさ 様 27
BBB
(瀧子と同じ一族の青年)
織山カヨ 様 15
CCC
(瀧子と同じ一族)
宮口夕樹 様 2


役名 番号 台詞 注釈
夜紫乃 001_001 「水輪の頭領が消えた!?」
比奈伎 002_001 「……」
佐久弥 003_001 「……嫌な空気だね」
比奈伎 004_002 「佐久弥」
佐久弥 005_002 「水輪は、一枚岩じゃないのかもしれない」
比奈伎 006_003 「お前もそう思うか」
佐久弥 007_003 「水流の中で一筋だけ澱んだところがある。そんな感じがする」
比奈伎 008_004 「…どう出るかな……。罠だと思うか?」
佐久弥 009_004 「それはまだ言い切れないな」
夜紫乃 010_002 「水輪の本家の中でも特に上の者を選んで、これ、かぁ。ってことはやっぱり、身内の中に、水輪の長と反する者がいるってことだろ。長の思惑(おもわく)を――覆(くつがえ)そうとしてる、もしくは、とりあえず邪魔をしてる。――例の書き付けの結果は?」
佐久弥 011_005 「どうやら絞れそうだ。それも、本家の中で」
夜紫乃 012_003 「ああ……そっか。……じゃあ、水輪の長の希望が、一つ減っちゃったね」
比奈伎 013_005 「………(溜息)」
佐久弥 014_006 「比奈」
比奈伎 015_006 「出来る限り穏便に済ませろといわれていたが………難しそうだな。瀧子殿のほうは」
夜紫乃 016_004 「また会合があったよ。杯組の一人が急に瀧子様に切りかかったって言って、大騒ぎになってた。切りかかった原因は不明。……これって、どういうことだろ」
比奈伎 017_007 「……」
夜紫乃 018_005 「瀧子様って、水輪一族を治めてるって言うから、朱音さまみたいに強いのかと思ってたけど……そうじゃないんだね。巫女さまって、そういうもの?」
佐久弥 019_007 「私たちと少し違うのは、そこだと思う。瀧子様は巫女で、その身体には水神……竜が降りるんだ。少なくともそれは……偽りではなく」
夜紫乃 020_006 「神様が近くにいるってこと?それって、宗教か何か?」
佐久弥 021_008 「それも少し違うと思う…。彼らは確かに水神を崇めてはいるけれど…まだ結論は出せないな」
夜紫乃 022_007 「――で、どうすんの?比奈伎。とりあえず朱音さまに報(しら)せを飛ばす?」
比奈伎 023_008 「――そうだな。この様子だと、いつ大嵐になるかわからない。お頭には少し足を速めてもらうべきだろう。それから、待機組には、武器の準備を進め、こちらに合流するように伝えてくれ」
夜紫乃 024_008 「りょーかい!(行きかける)」
佐久弥 025_009 「夜紫乃!」
夜紫乃 026_009 「なに、佐久弥」
佐久弥 027_010 「お頭への報せは伊織に任せて、すぐに戻って。いま、こちらの手を減らすわけにはいかないから。それから、亜夏刃にあの武器を借りるのを忘れないでね」
夜紫乃 028_010 「ん、わかってる!」
【ザッと消える】
比奈伎 029_009 「――杯組の男の乱心の話……どう見る?」
佐久弥 030_011 「いまはまだ。……でも、おそらく、人の手によるものだと思う」
比奈伎 031_010 「操るか、扇動するかして、男を動かしたと?」
佐久弥 032_012 「たぶんね。薬か、そういう技なのかはまだわからない。忍には、そういった術があるという話だけれど」
比奈伎 033_011 「ああ。おそらく、『なにか』を見極めるために利用されたんだろう。それから……」
佐久弥 034_013 「なに?」
比奈伎 035_012 「神の力は、俺が引き受ける。手出し無用だぞ、佐久弥」
佐久弥 036_014 「――それは」
比奈伎 037_013 「俺は、頭領の名代として出向く――とすれば、それが最良だ」
佐久弥 038_015 「比奈伎」
比奈伎 039_014 「俺に無理矢理、頭領代理を押し付けたのは朱音だぞ。ならばこれは、朱音の意志も同じ――違うか?」
佐久弥 040_016 「……」
比奈伎 041_015 「佐久弥」
佐久弥 042_017 「…」
比奈伎 043_016 「…どうでも、だめか」
佐久弥 044_018 「――…。…(ふぅ)……比奈。その聞き方はずるいな(苦笑)」
比奈伎 045_017 「そうかな」
佐久弥 046_019 「そういう言い方、朱音そっくりだよ」
比奈伎 047_018 「え――」
佐久弥 048_020 「それなら――。水輪の長の願いを、朱音自身が叶えたかったとして、それは何故だと思う?」
比奈伎 049_019 「それは……朱音の友人だろうから」
佐久弥 050_021 「うん。朱音にとって大切な存在には違いないからね。それに――私も、あの二人は似合いだと思ったよ。朱音も、海をすごく気に入っていたし、ここにこのまま居つくことも考えてた」
比奈伎 051_020 「!そ――」(そんなことが!?)
佐久弥 052_022 「冗談だけど」
比奈伎 053_021 「こ――!」(こんなときに!!)
佐久弥 054_023 「……くすっ」
比奈伎 055_022 「………ッ、……おまえのほうがずるいだろ!」
佐久弥 056_024 「(くすくす)そうかな」
(と、そこに――)
夜紫乃 057_011 「たっだいま!」
比奈伎 058_023 「っ(らしからずちょっとドキッと)」
夜紫乃 059_012 「――ん?」
比奈伎 060_024 「い、いや、なんでもない」
佐久弥 061_025 「(変わらず)夜紫乃。ずいぶん早かったね」
夜紫乃 062_013 「うん、待機組(たいきぐみ)が先を読んでこっちに向かって動いててくれたからさ。あ、朱音さまへの報せは、佐久弥に言われたとおり伊織に頼んだんだけど、瀬比呂が引き受けてくれたよ」
佐久弥 063_026 「そうなんだ」
夜紫乃 064_014 「武器を扱えるものが多く残ってたほうがいいだろうから、って亜夏刃の提案」
佐久弥 065_027 「(頷く)そうだね」
夜紫乃 066_015 「で、僕は、到着した待機組と合流できるように、準備するね」
佐久弥 067_028 「うん。夜紫乃、ご苦労様」
夜紫乃 068_016 「うん!あ、そうだ。水輪の長のことは、寿々加が追ってくれてるから」
比奈伎 069_025 「そうか」
【その時、海のほうから唸り声のようなものが響いてきた気がした】
比奈伎 070_026 「――」
夜紫乃 071_017 「?どしたの、比奈伎」
比奈伎 072_027 「いや――」
佐久弥 073_029 「空気が変わった」
比奈伎 074_028 「……ああ」
佐久弥 075_030 「いよいよ、だね」
比奈伎 076_029 「――ああ。じきに来るぞ、――嵐が」
***
こさめ 077_001 「――気に入らないな。きな臭いどころの話じゃない」
078_001 「親父様と連絡がつかぬゆえ――我らだけではいかんともしがたいな」
079_001 「このことを知ってるのは、まだ俺たちだけだ。そこは了承しておいてくれ」
080_002 「わかっておるよ」
こさめ 081_002 「それにしても、いつまで置いておくつもりだ?」
082_003 「いつまで、とは」
こさめ 083_003 「しらばっくれるんじゃない。鬼火の連中のことだ」
084_001 「彼らは争うために来ているんじゃない。その敵意(てきい)むき出しの姿勢(しせい)を少し控(ひか)えたらどうなんです」
こさめ 085_004 「ふん、ニコニコ笑って受け入れておけとでも?」
086_002 「その度量(どりょう)の狭(せま)さが、自ら水輪を地(ち)に落としているんだと気づけないのは問題なのではありませんか」
こさめ 087_005 「なんだって!」
088_004 「やめぬか、こさめ!」
こさめ 089_006 「最初に言い出したのはアタシじゃない!」
090_002 「こさめの分が悪い。それくらいにしておけ」
こさめ 091_007 「汀」
092_003 「俺だってよそ者なんかに入り込まれて、思うところがないわけじゃないさ。それでも、いま鬼火に噛み付くのはまずいだろう。これは少なくとも、親父様の意思でもある――俺たちはまだ勝手に動くべきじゃない」
093_005 「時期を待てと、そういうことだね?」
094_003 「ただでさえ、本格的に嵐になる前にここの備蓄(びちく)を奪おうと、近隣(きんりん)の大名連中がうるさい時期なんですし……今はまだ、大人しくしておく方が得策(とくさく)でしょう」
こさめ 095_008 「時期って言ったって……肝心の親父様はどこに行ったっていうんだい!」
***
(天候はますます荒れてくる)
096_004 「――そういえば……」
097_006 「うん?漣、どうした」
098_005 「時期といえば……、ずっと前に、瀧子様が似たようなことを仰(おっしゃ)っていたのを思い出して」
こさめ 099_009 「瀧子様が?」
100_006 「ええ。水輪が起(た)って百余年(ひゃくよねん)、……確か、『もうすぐ頃合(ころあい)だ』、と」
101_007 「――頃合?瀧子様がそう仰ったのか?」
102_007 「ええ。いつだったか、会合の終わったあとに」
103_008 「そう……そうか……」
104_008 「滴?」
【滴、懐から書き付けを取り出す】
105_009 「滴、この書き付けは……まさか親父様の部屋から勝手に?」
106_009 「おまえたちは、瀧子様のお力が弱まっていくのを、このままよしとできるのか?」
こさめ 107_010 「それは……そりゃ、不安だけどさ」
108_010 「誰も言わぬのであれば我が言おう。瀧子様のお力は、このままでは回復なさることはない」
こさめ 109_011 「っ」
110_010 「滴!」
111_011 「瀧子様ももうご高齢――。お一人でひっそりと行なう禊(みそぎ)程度では、その御身に充分な水神の加護を受けられぬほど、弱まっておられるのだ」
112_012 「とうとう、この時が来た……瀧子様のお力を、竜神のお力を守るため、これを行うべき時が。来(きた)る大嵐から、大名共から、水輪に降りかかるすべての災厄から、水輪を守る。今が、この水輪を真(しん)に守るべき、その時だ。絶対に逃(のが)してはならない。今が、かつてのごとく真(しん)に神のお力を取り戻すべき時。(キッと向き直って)――こさめ。漣。急ぎ支度をしや」
こさめ 113_012 「……支度?いったいなんの支度だい、滴」
114_013 「――『神降ろしの儀』だ」
【落雷】
***
みぎわ 115_001 「……ねえ、汀」
116_004 「うん?」
みぎわ 117_002 「親父様はさ、内緒で動いてたこと、泪にも言ってないって言ってたでしょ」
118_005 「……うん」
みぎわ 119_003 「……親父様から事情を聞く前に、みんなに話しちゃって、……よかったかなぁ」
120_006 「――」
みぎわ 121_004 「みんなを疑う、とか、そういうわけじゃ……ないんだけど」
122_007 「……そうだな。――俺にも――わからない。これが、吉とでるか、凶とでるかは――……」
みぎわ 123_005 「うん……」
124_008 「とにかく、俺はもう少し鬼火とやらと接触してみようかと思ってる。悪いけど、先に館に戻るよ」
みぎわ 125_006 「ん、りょーかいっ」
(波打ち際を歩いている彩登を発見。みぎわ、駆け寄る)
みぎわ 126_007 「――ん?……あ!おーい!こらー!」
彩登 127_001 「えっ?」
みぎわ 128_008 「こんな日に海の近くに出てちゃダメでしょ!雲を見なさい、もうじき波がもっと荒れて、アンタなんてあっという間に飲み込まれちゃうよ!」
彩登 129_002 「あ……彩登は……ううん、あたしは、その、海を見るのが初めてで、だから……」
みぎわ 130_009 「あれ?――もしかしてアンタも鬼火?」
彩登 131_003 「あ……はい、あの」
みぎわ 132_010 「へえ〜。鬼火にもこんな可愛らしい子がいるんだ〜。あの頭の固いいけ好かない副頭領と、得体の知れない笑顔の男みたいなヤツラばっかりかと思ってたわ」
彩登 133_004 「……えーと;」
みぎわ 134_011 「おじょうちゃん、お名前は何ていうの?私はみぎわ」
彩登 135_005 「彩登、です」
みぎわ 136_012 「彩登。可愛い名前ね」
彩登 137_006 「えへへ。ありがとう」
みぎわ 138_013 「彩登。普段の海はとっても綺麗で見ごたえあるけど、波が荒れたら水輪一族でもない限り、そこから抜けるのは難しいよ。アンタじゃ絶対無理!だから、今日は一緒に館にかえろ。波が収まったら、絶好の場所を教えてあげるから!」
彩登 139_007 「うん!」
***
(瀧子が若かりし頃の話。竜神を降ろす巫女として存在することが、唯一、身内を守る術だった)
【落雷】
AAA 140_001 「親につけてもらったはずの名は、とうに忘れてしまった」
AAA 141_002 「『瀧子』。いまは、それが私の名前。私の、身体を。入れ物をあらわす名」
AAA 142_003 「あの時から、私は私でなくなった。私である必要がなくなった。私が私であってはいけなかった」
AAA 143_004 「―――音も無く、嗅(におい)も無く」
AAA 144_005 「ただ時の波に埋(う)もれ逝(ゆ)くが運命(さだめ)」
(昔の事を回想している)
瀧子 145_001 「――『我ら』に名などはない。闇のさだめの一族」
(昔)
BBB 146_001 「――長が死んだぞ」
AAA 147_006 「……そう。これで、少しは殺し合いの日々から逃(のが)れられるのかしら」
BBB 148_002 「あれは殺し合いなどではない。我らは長の命に従い、敵を排除しているだけだ」
AAA 149_007 「敵だって人間だわ。同じ人間よ」
BBB 150_003 「いい加減にしろ。そんなことで、長亡き後、この一族を守っていけるのか?」
AAA 151_008 「武力などで人をまとめることはできないわ」
BBB 152_004 「間違えるな!この戦乱の世を生き抜くに必要なものは、情けなどではない!」
AAA 153_009 「わかってるわ!!」
BBB 154_005 「いい加減に目を覚ませ!この有様で、貴様はこの一族を率いていけるのか!?」
AAA 155_010 「……ッ!」
AAA 156_011 「好きで次期(じき)頭領(とうりょう)などやるのではない!生まれた時から決められていた。生まれた時からのがれられなかった。そこに自分の意思などただのひとかけらもなかった!」
BBB 157_006 「一族のためだ!!」
AAA 158_012 「あなたは……!!この私が、一族を守るためだけの飾(かざ)りに仕立(した)てあげられても構わないって言うの!?あなたも、この一族とやらを後生(ごしょう)大事(だいじ)に守りたいだけの、そんな人間なの!?」
BBB 159_007 「――それは・・・」
AAA 160_013 「……一族?笑わせないで」
BBB 161_008 「……」
AAA 162_014 「なにが一族よ。名すら持たず、ただ任務(にんむ)をこなすだけの毎日。壊れればすぐに取り替えられるだけの、道具の寄(よ)せ集めじゃない」
BBB 163_009 「しかし、一族を失うわけには――」
AAA 164_015 「一族ですって?笑わせないで。こんなものは――ただの駒(こま)よ」 (馬のアクセント)
BBB 165_010 「――(名を呼ぼうとしたが)」
AAA 166_016 「あなたも一族の人間なら、もう二度と私に近づかないほうがいい。私はこれからこの一族の礎(いしずえ)にされるのよ。一族を守ろうとするものが、それこそ、――目の色を変えて欲しがるでしょうよ。私を守ることで一族の存続(そんぞく)が許されるのだと、本気で信じているの。私を守るためなら、彼らは――どんなことでもするわ」
BBB 167_011 「(うな垂れる)」
AAA 168_017 「――もう、あなたとは会わない。もう、二度と」
BBB 169_012 「――自分は、それでも貴様を――……」
***
BBB 170_013 「グ、オオオッ!!(刺された)な、ぜ……ッ!!」
??? 171_001 「巫女姫に近づくものはあってはならぬ」※全員で
AAA 172_018 「――何故殺した」
??? 173_002 「それがこの一族を救う唯一のすべだ」
AAA 174_019 「何故殺した」
??? 175_003 「この一族を守るため」
AAA 176_020 「何故殺した」
??? 177_004 「あなた様のため」
AAA 178_021 「何故殺した」
??? 179_005 「全ては――あなた様のため」
AAA 180_022 「――ふざけるなぁぁあぁっ!!」
【落雷】【しとしとと雨が降っている】
(そっと近づくCCC。瀧子の若かりし頃の、同僚というか、同期のような存在。女性。)
CCC 181_001 「――泣いているの?」
AAA 182_023 「だれが?私が?」
CCC 183_002 「…………」
AAA 184_024 「涙など、出ないわ」
【ざあああああ……】
AAA 185_025 「人の心など、捨てた」
瀧子 186_002 「人の心など、捨てた」
***
(神降ろしの儀式の直前。何者かによって、濠、潤河、洋汰が殺される)
【ドシュウ!!】
187_001 「――こ、れは……ッ、これは何の真似だァ……ッ!」
【ドシュウ!!】
潤河 188_001 「な、ぜ…………なぜあなたが……ッ!」
【ドシュウ!!】
洋汰 189_001 「っ……、……どう、し、て――……?」
【……どさ、どさ、どさ】
***
AAA 190_026 「――――涙など、出ない」
***
(彩登と一緒に戻ってきたみぎわ。館のなかがずいぶん騒がしい)
みぎわ 191_014 「――あれえ?なんか館がずいぶん賑やか」
彩登 192_008 「ほんとだ……」
みぎわ 193_015 「あ。汀だ。おーい、汀ー!」
194_009 「あ!みぎわ、それに彩登。一緒だったんだ」
彩登 195_009 「うん!」
【たったったった】
みぎわ 196_016 「どうしたの。館中、お祭りみたいになっちゃってるけど」
197_010 「俺も今戻ってきたばっかりで」
(そこに、タイミングよく現れる珠菜)
彩登 198_010 「あ、珠菜!」
珠菜 199_001 「汀、みぎわ!お2人とも、どこにいってらしたの?館の中は今大変なことになってますのよ!」
みぎわ 200_017 「え?」
201_011 「っていうか、まさかあんたも鬼火?」
珠菜 202_002 「そんな紹介なんて後回しですわ。わたくしにはよくわからないのですけれど……、儀式をやるとか。それでみんな、その準備に大忙しで」
みぎわ 203_018 「ぎしき?」
珠菜 204_003 「よくはわかりませんけれど、なんだかとてもまずい雰囲気ですわよ――」
彩登 205_011 「儀式って?」
珠菜 206_004 「――『神降ろしの儀』だとか」
207_012 「――神降ろし!?ちょっと待った、なんでそんな急に――」
(その時、会合の間からたくさんの悲鳴)
ガヤ 208_001 「(たくさんの悲鳴、断末魔)」
209_013 「!!」
みぎわ 210_019 「!!」
珠菜 211_005 「!!」
彩登 212_012 「!!」
213_014 「会合の間だ!」
【走っていく】
彩登 214_013 「あ……っ」
珠菜 215_006 「――彩登。とうとう始まりましたわ」
彩登 216_014 「珠菜……っ」
珠菜 217_007 「夜紫乃がこちらへ向かっていますわ。彩登は、そのまま夜紫乃と合流を。以降は、夜紫乃の指示に従うこと」
彩登 218_015 「うん……、はいっ」
珠菜 219_008 「わたくしは、比奈伎と佐久弥に知らせなくては!」
【ざっと消える】
***
(回想シーン)
AAA 220_027 「――もう、あなたとは会わない。もう、二度と」
BBB 221_014 「――自分は、それでも貴様を――……」
【AAA、去っていく】
BBB 222_015 「自分は――自分は、それでも貴様を想う。……そして、誓おう。もし、貴様がこの一族を支えきれなくなった時――その時は、それを止める『楔』となることを。何年、何十年かかろうとも、必ず――。この姿形を変えてでも、自分は――……必ず、――必ず、傍に」
【波の音に、声が消えていく】
***
(報告に走った珠菜。比奈伎、佐久弥と合流した)
比奈伎 223_030 「――神の力、か」
佐久弥 224_031 「本当は……こうなる前に止めたかったけれど」
比奈伎 225_031 「ああ……」
珠菜 226_009 「このままでは、最悪の結果にまっしぐらですわ」
比奈伎 227_032 「ここには、血が流れすぎた。俺たちは、来るのがあまりにも遅すぎたな」
佐久弥 228_032 「比奈伎……」
珠菜 229_010 「けれど、起こってしまったものはもう仕方がないですわよ」
佐久弥 230_033 「――うん。あとはいかに最小限に抑えることが出来るか、だね」
珠菜 231_011 「ええ」
佐久弥 232_034 「でも……朱音は……、がっかりするね」
比奈伎 233_033 「仕方がない。……覚悟はしていただろう、きっと」
珠菜 234_012 「(武器を構えて)――頭領代理。指示を」
比奈伎 235_034 「(眉を寄せて)珠菜……、その呼び方はやめて欲しいんだが」
珠菜 236_013 「では、鬼火頭領朱音の名代、比奈伎。指示を」
比奈伎 237_035 「…………(むぅぅ)」
佐久弥 238_035 「……(小さくくすりと笑う)」
珠菜 239_014 「さ、お早く!」
比奈伎 240_036 「……、(気を取り直して)――水輪の長の願い通り、『力』を、この海から消滅させる。俺たち鬼火一族は、それに尽力する」
珠菜 241_015 「ええ」
比奈伎 242_037 「――人の手に負えぬ神の力は――――神に返す」
珠菜 243_016 「(頷く)」
佐久弥 244_036 「(頷く)」


formed by N的シナリオチェンジャー